バスの中で。
四人の子を連れたママが乗ってきた。
空席は多く、一番小さい子を抱いたママは後方の席にゆったりと座った。
ほかの三人は運転席のすぐ後ろ、一段高い席に座りたくて、
押しあいへしあいして騒ぐ。
運転手さんが
「危ないですから、座ってくださ~い」と呼びかけるが、
子どもたちはアナウンスなんか、聞いちゃおらん。
「動きますよ~、気をつけてくださ~い」
子どもたちはひとつの席に2人で掛け、
その膝にもう一人がよりかっている。
「あぶないですよ、後ろが空いてますよ」
穏和なひとなのだろう、運転手さんは優しく何度も呼びかける。
後方でママは赤子を抱いたままスマホに夢中である。
「動きますよ、気をつけてくださ~い」
親はなにしてるんだ!と風子は切れそうになる。
しかし、バアサンが何をぬかすかと言われそうで、
怖いから、何も言えない。
そこで、また思う。
いまどき、4人も産んで育てるママはこうでないと
やってらんないのかもしれないなあ。
ママは強しなんだなあ。