風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

悪癖

2018-03-21 12:15:00 | 日記

 本を読むのも新聞を読むのも好きである。

常に目の前に紙類を置く。

食事中でも何かが手もとにないと寂しい。悪癖である。

活字は映像よりも想像力が膨らむ。

なにもなければとりあえずチラシの類でもかまわない。

 マンションの間取りを見ながら、ここにパソコンを置いて、

ここに観葉植物を並べて、

孫たちが来たらここに寝かせてと想像するのは楽しい。

求人案内のチラシでは時給を確認する。

ふうん、850円で午前中だけ3時間働いたらいくらになるかなあ。

自転車を買い替えたいなあ。

 こうして、チラシを眺めているだけで時は過ぎて行く。

そうして、はっと我に返る、風子はすでに80歳になっている。

もうマンションを買える年齢でも

スーパーのレジ係、マンションの管理人、どれも出来ない。

介護士、看護師さんたちには……、お世話になる側にいる。

自転車なんぞ買い替えるどころか乗るのは危険である。

それでも、想像の世界で遊ばせてもらえるのは

活字と紙類のおかげである。