風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

猫好き

2012-09-16 00:19:18 | 猫および動物
                 タマの母親は野良だった。
            野良猫ではあるが、これに餌を与えて可愛がってくれる人がいた。

           彼女は、猫好きだが、たった一間きりの間借り暮らしだから猫は飼えなかった。
                餌を与えていた野良猫が五匹の仔を生むと、
                彼女は仔猫たちを抱えて獣医に連れていった。

                 五匹ぜんぶの避妊手術の費用を持つので、
             そのかわり、この仔たちを貰ってくれる人を探してほしいと。

         獣医さんは、仔猫たちの写真を撮り、ペットクリニックの入口に張りだした。

                  その中の一匹がタマである。
         「どこで引き取られたか知りたいと言ってますので、ひとこと連絡してあげてください」
           と獣医さんは言った。

                 むろん、風子はすぐに電話をかけた。

             その後、折りにふれてタマ子姫の成長ぶりを知らせた。

       「五匹の中で一番器量が悪くて心配したのに、タマちゃんが一番幸せそうね」と彼女は言った。
              器量が悪いと言われて、気を悪くしたわけでもないが、
                いつからか、彼女との連絡も途絶えた。

               決して豊かとは言いかねる暮らし向きに見えたが、
                 彼女は五匹もの猫の避妊手術代を払った。
              そんなことをしているからお金持ちになれなかったのか、
                 お金持ちでないから野良に優しかったのか。

                      お元気でいるだろうか。
             タマとの楽しい18年間は、もとは言えば彼女から貰ったものである。


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2 コメント

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よくありますね (やまだスズメ)
2012-09-16 21:31:02
ネコでもイヌでもあまり可愛いと仰るので実物にあったら、
これのどこが? というのにたまに会うことあります。
飼っている人にとっては不器量を超越しているんですよね。

最後の一行いい言葉せすねえ。

ははん (fuuko)
2012-09-16 22:42:31
スズメさん
これのどこが? て思われるといけないので、
タマの写真はもう見せないことにしようっと。

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