タマの母親は野良だった。
野良猫ではあるが、これに餌を与えて可愛がってくれる人がいた。
彼女は、猫好きだが、たった一間きりの間借り暮らしだから猫は飼えなかった。
餌を与えていた野良猫が五匹の仔を生むと、
彼女は仔猫たちを抱えて獣医に連れていった。
五匹ぜんぶの避妊手術の費用を持つので、
そのかわり、この仔たちを貰ってくれる人を探してほしいと。
獣医さんは、仔猫たちの写真を撮り、ペットクリニックの入口に張りだした。
その中の一匹がタマである。
「どこで引き取られたか知りたいと言ってますので、ひとこと連絡してあげてください」
と獣医さんは言った。
むろん、風子はすぐに電話をかけた。
その後、折りにふれてタマ子姫の成長ぶりを知らせた。
「五匹の中で一番器量が悪くて心配したのに、タマちゃんが一番幸せそうね」と彼女は言った。
器量が悪いと言われて、気を悪くしたわけでもないが、
いつからか、彼女との連絡も途絶えた。
決して豊かとは言いかねる暮らし向きに見えたが、
彼女は五匹もの猫の避妊手術代を払った。
そんなことをしているからお金持ちになれなかったのか、
お金持ちでないから野良に優しかったのか。
お元気でいるだろうか。
タマとの楽しい18年間は、もとは言えば彼女から貰ったものである。
野良猫ではあるが、これに餌を与えて可愛がってくれる人がいた。
彼女は、猫好きだが、たった一間きりの間借り暮らしだから猫は飼えなかった。
餌を与えていた野良猫が五匹の仔を生むと、
彼女は仔猫たちを抱えて獣医に連れていった。
五匹ぜんぶの避妊手術の費用を持つので、
そのかわり、この仔たちを貰ってくれる人を探してほしいと。
獣医さんは、仔猫たちの写真を撮り、ペットクリニックの入口に張りだした。
その中の一匹がタマである。
「どこで引き取られたか知りたいと言ってますので、ひとこと連絡してあげてください」
と獣医さんは言った。
むろん、風子はすぐに電話をかけた。
その後、折りにふれてタマ子姫の成長ぶりを知らせた。
「五匹の中で一番器量が悪くて心配したのに、タマちゃんが一番幸せそうね」と彼女は言った。
器量が悪いと言われて、気を悪くしたわけでもないが、
いつからか、彼女との連絡も途絶えた。
決して豊かとは言いかねる暮らし向きに見えたが、
彼女は五匹もの猫の避妊手術代を払った。
そんなことをしているからお金持ちになれなかったのか、
お金持ちでないから野良に優しかったのか。
お元気でいるだろうか。
タマとの楽しい18年間は、もとは言えば彼女から貰ったものである。
これのどこが? というのにたまに会うことあります。
飼っている人にとっては不器量を超越しているんですよね。
最後の一行いい言葉せすねえ。
これのどこが? て思われるといけないので、
タマの写真はもう見せないことにしようっと。