園児の整列

　近くのショッピングセンターに、
先生に引率された幼稚園児たちが来ていた。
　お買い物体験レッスンのようであった。

　お釣りを数えたり、消しゴムを見せ合ったりと可愛い。
そのあと整列になった。

　小さく前にならへ！　
　先生の号令で、幼児たちは、脇を閉めたまま、掌だけを前に突き出す整列をした。

　なるほどなあ、広い野っぱらではないから、長々の行列になってはまずいのだ。

　ばあさんの時代にはなかった小さく前にならへ……の愛らしい行列を見送った。

　今や、なんでも、「小さく」ばやりである。
マンションの畳、ミニキッチン、トマトだって、西瓜だって、ミニが幅を利かせている。

　ばあさんたちの日なたぼっこだって、昔のように広々した縁側というわけにはいかない。
　老人ホームのワンルームは、ベッドひとつがやっとのミニである。

　そういえば、ショッピングセンターには、ヘルパーさんに引率されたデイケアのおばあさんたちも時々見かける。

今にばあさんたちも、小さく前にならへ、の練習をさせられるのかもしれない。
　あんまり可愛くないなあ。