バスの中で後ろの座席から聞こえてきた話である。
「一枚のハガキって映画、よかったわよ」
この声は、はっきり言って年寄りの声である。
そうそう、私も見たもんね、と風子ばあさんは一人頷く。
「えっ、それって何ですか」
どうやら後ろの連れは、うんとお若いらしく、
99歳の巨匠の映画には関心がないらしい。
ま、仕方ないね、若いんだから……と聞いていた。
後ろの年寄りの声が、太平洋戦争というのがあってねと、
解説をはじめると、若い方がそれを遮り、
「ねえ、それより、ハガキってなんですか?」と訊いた。
「えっ! ハガキ知らないの」
後ろの連れがびっくりしている。
風子も仰天して、思わず振り向きかけたが、辛うじて踏みとどまった。
車窓に流れる街の景色を眺めながら、つらつら考えた。
なにも仰天することはないのかもしれない。
物心ついたときから携帯電話とパソコンが当たり前の人たちが、
何を好きこのんで一筆啓上などするもんか……。
思えば、この風子ばあさんだって、
このごろはたいがいのことはメールで済ませているではないか。
時は移ろうのである。
しかし、それにしてもなあ。
昔、ハガキはなくてはならない大事な伝達手段であった。
書くのも、貰うのも楽しみなものだった。
古い友人たちからの色褪せたハガキの束は、今も大事にとってある。
「一枚のハガキって映画、よかったわよ」
この声は、はっきり言って年寄りの声である。
そうそう、私も見たもんね、と風子ばあさんは一人頷く。
「えっ、それって何ですか」
どうやら後ろの連れは、うんとお若いらしく、
99歳の巨匠の映画には関心がないらしい。
ま、仕方ないね、若いんだから……と聞いていた。
後ろの年寄りの声が、太平洋戦争というのがあってねと、
解説をはじめると、若い方がそれを遮り、
「ねえ、それより、ハガキってなんですか?」と訊いた。
「えっ! ハガキ知らないの」
後ろの連れがびっくりしている。
風子も仰天して、思わず振り向きかけたが、辛うじて踏みとどまった。
車窓に流れる街の景色を眺めながら、つらつら考えた。
なにも仰天することはないのかもしれない。
物心ついたときから携帯電話とパソコンが当たり前の人たちが、
何を好きこのんで一筆啓上などするもんか……。
思えば、この風子ばあさんだって、
このごろはたいがいのことはメールで済ませているではないか。
時は移ろうのである。
しかし、それにしてもなあ。
昔、ハガキはなくてはならない大事な伝達手段であった。
書くのも、貰うのも楽しみなものだった。
古い友人たちからの色褪せたハガキの束は、今も大事にとってある。
手書きのハガキを頂くのは、嬉しさもひとしおですものね。
くれた人の温もりも感じることが出来ますから。
お元気でよかったです。
いつもありがとうございます。
元気で~す。