惚れっぽい、と言っても男とは限らない。
子どものころ、クラスのM子ちゃんと仲良しになると、
片ときも傍を離れたくなくて、行きも帰りも一緒がうれしい、
というあれである。
ちょっと親切にされると、いい人だなあと感心する。
はっきりものを言うひとには、信念のあるひとだなあと尊敬する。
優しくされればすぐにメロメロに嬉しくなる。
80年生きてきて、子どものころからの性分はかわらぬもんだなあと
あらためて思う。
しかし、80年生きてきたから、少しは反省もある。
人は本心をなかなか見せない。
心底からその人を知ることなんかほんとは出来ないのじゃないか。
はじめは優しいひとも、賢く見えたひとも、
20年、30年と付き合って後に見えてくることや分かることがある。
あららあ、あの人、あんがいお喋りだったのねえ、
あんなこと言わなきゃよかった、と思っても、もう手遅れだけど。