昔サークルで一緒だった男性が、たまに電話をしてくる。
これが、なかなか意地悪でいやなジイサンなのである。
どう意地悪かというと、
禿げた仲間が帽子をかぶっていると、
××さん、室内では帽子を脱いだ方がいいよ、などというのだ。
風子にメデタイことがあったとき、祝杯をあげようと誘ったくせに、
勘定のときになったら消えていて、
出たところで、ご馳走さん、と言ったりするのだ。
何度腹をたて、ケチ、意地悪……と言ったかしれない。
すると、カッカッカッカと笑ってごまかすのだが、
実をいえば風子はこのジイサンがそれほど嫌いではないのだ。
昨日、また電話があった。
俺ねえ、グランドゴルフでねえ、1等賞になったのよぉ!
そんなことを自慢して電話してくるのだ。
「グランドゴルフはねえ、楽しいよう、若い女性も来てるしねえ」
「へえ、若いって、いくつくらい?」
「72歳、可愛いんだ」
「! ?」
「だって、俺、もう88歳だよ」
「そっかあ」
「でもね、俺、九州で一番可愛いのは風子さんって思ってるけどね」
世界一とか日本一とか言わずに九州一というところが泣かせる。
こういうことを言ってくれるから、
風子はこのジイサンがマンザラ嫌いではないのである。
これが、なかなか意地悪でいやなジイサンなのである。
どう意地悪かというと、
禿げた仲間が帽子をかぶっていると、
××さん、室内では帽子を脱いだ方がいいよ、などというのだ。
風子にメデタイことがあったとき、祝杯をあげようと誘ったくせに、
勘定のときになったら消えていて、
出たところで、ご馳走さん、と言ったりするのだ。
何度腹をたて、ケチ、意地悪……と言ったかしれない。
すると、カッカッカッカと笑ってごまかすのだが、
実をいえば風子はこのジイサンがそれほど嫌いではないのだ。
昨日、また電話があった。
俺ねえ、グランドゴルフでねえ、1等賞になったのよぉ!
そんなことを自慢して電話してくるのだ。
「グランドゴルフはねえ、楽しいよう、若い女性も来てるしねえ」
「へえ、若いって、いくつくらい?」
「72歳、可愛いんだ」
「! ?」
「だって、俺、もう88歳だよ」
「そっかあ」
「でもね、俺、九州で一番可愛いのは風子さんって思ってるけどね」
世界一とか日本一とか言わずに九州一というところが泣かせる。
こういうことを言ってくれるから、
風子はこのジイサンがマンザラ嫌いではないのである。