近くの愛宕神社は桜の名所である。
急な坂や石段があって、バアサンにはきついのだが、満開と聞き、
来年登れるかどうかわからないので、昨日は頑張って登った。
拝殿からの帰途、うちの隣の奥さんにたまたま出会った。
赤いジャンパーを着ているが、彼女は一人暮らしの85歳である。
風子よりひとまわり年上である。
負けたなあ。
来年登れるかどうかわからん、などと思ったらいかんなあ。
一緒に帰りましょうか? と訊いたら、
いえいえ……と一人が気楽なようだった。
元気で長生きのひとは、人をあてにせず、一人で楽しむ強さを持っているのだろう。
帰り道、社務所からのアナウンスの声が響き渡った。
本日は、ご参拝有難うございます。
ただいま桜饅頭を販売致しております。
売り切れ次第終了となります。
残り少なくなりました、お急ぎください。
あなかしこ、あなかしこである。