メル友じいさんのパソコン作業を手伝ったら、
風子さんは甘いものが好きなようだからと、饅頭を送ってくれた。
お礼を言うべく電話をしたら、
車の運転中だから、30分後にかけてくれ、とのこと。
ははん、外出中だったかと、30分後、今度は自宅に電話をかけた。
「はい、××でございます」
思いがけずに若々しく艶のある奥さんの声が出た。
奥さんは仕事を持っていて昼間は家にいることはなく、
これまで電話に出たことはなかった。
爺さんと風子は、べつに怪しい関係なんぞではない。
名乗ればよかったのだ。
しかし、爺さんがいつも、鬼女房、鬼女房とメールに書いてくるので、
つい、うろたえた。
「あ、間違えました、またかけます、失礼します」と言ってしまった。
「いいえ、こちらこそ失礼します……」
とても鬼女房には聞こえぬ声が優しく答えてくれた。
悪かったなあ、年甲斐もなく、馬鹿なことをしたものである。
とっさのこととはいえ「間違えました」と言いながら、
「またかけます」……では辻褄も合わない。
今どきのことだから、ディスプレイにこちらの名前が出たかもしれない。
奥さん、不愉快だったろうなあ。
すぐに爺さんの携帯に電話をして、奥さんに謝っといて下さいと言った。
爺さん、アハアハアハと笑っていた。
お互い年寄りだからかまわないようなものだが、
若いときならもう少しヤバかったかもしれない。
風子さんは甘いものが好きなようだからと、饅頭を送ってくれた。
お礼を言うべく電話をしたら、
車の運転中だから、30分後にかけてくれ、とのこと。
ははん、外出中だったかと、30分後、今度は自宅に電話をかけた。
「はい、××でございます」
思いがけずに若々しく艶のある奥さんの声が出た。
奥さんは仕事を持っていて昼間は家にいることはなく、
これまで電話に出たことはなかった。
爺さんと風子は、べつに怪しい関係なんぞではない。
名乗ればよかったのだ。
しかし、爺さんがいつも、鬼女房、鬼女房とメールに書いてくるので、
つい、うろたえた。
「あ、間違えました、またかけます、失礼します」と言ってしまった。
「いいえ、こちらこそ失礼します……」
とても鬼女房には聞こえぬ声が優しく答えてくれた。
悪かったなあ、年甲斐もなく、馬鹿なことをしたものである。
とっさのこととはいえ「間違えました」と言いながら、
「またかけます」……では辻褄も合わない。
今どきのことだから、ディスプレイにこちらの名前が出たかもしれない。
奥さん、不愉快だったろうなあ。
すぐに爺さんの携帯に電話をして、奥さんに謝っといて下さいと言った。
爺さん、アハアハアハと笑っていた。
お互い年寄りだからかまわないようなものだが、
若いときならもう少しヤバかったかもしれない。