家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

先輩施主のアドバイス

2005年08月19日 | 家について思ったことなど
 施主となる人は住宅についてさまざまな勉強をすることになる。
 家を建て終わった先輩施主の中には、せっかく身につけた知識を無駄にしないように、新人施主に親切心からアドバイスしてくれる人もいる。ネットのおかげでそういう情報は集めやすくなった。プロ顔負けの知識を身につけた人が施主の視点で解説してくれるのはとてもありがたく、参考になることは多い。
ただ、そこには注意点がある。

それは、その先輩施主が何にポイントを置いて家を建てたのかということだ。先輩施主がある項目についてアドバイスしてくれたとしても、その先輩施主が建てた家とポイントが違う家を建てるのであれば、そのアドバイスの有用性は、先輩施主が熱心に教えてくれたほどには高くないかもしれない。
ある施主が前提条件・絶対条件としている項目が別の施主にとっては前提でも絶対でもなんでもないということだってある。
私のように、通風をかなり重要な条件と位置づけている人間もいれば、風通しは二の次という施主だっている。アドバイスの内容が風通し以外の項目についての話題だったとしても、その項目を充足するために風通しをどのくらい犠牲にできるかによって解決策は違ってくることだってある。
我が家ではデフォルトな通風状態を作れるようにドアをなくしてしまったが、部屋間の防音を何よりも重視したいと考えていたのならきっとドアを導入していたことだろう。
そのほか、「超」高気密・高断熱住宅にするのであれば、大開口のはきだし窓などは設置しにくいとか、高度な耐震性を求めるならコーナーサッシなどは避けたほうがいいとか、通風や防音、気密・断熱、耐震といったそれぞれの要素をどのくらい重要と考えているかによって、開口部の取り方は変わってくる。
逆に開口部の形状にこだわりがあって、どうしてもこうしたいという形があるのなら、他の条件について譲歩する覚悟も必要になる。
吹き抜けの壁1面すべてをガラス窓にしてなおかつ断熱性能で最高水準の数値を出せ、なんていう要望は相当に無理があることなのだ。
極端な吹き抜け・ガラス窓はともかく、高水準の断熱性能を優先する中で極力、採光や眺望、開放感を求めるのか、採光・眺望・開放感を充足する形にした中で極力断熱性能を高めるのか、をはっきりしてから設計に入らないとおかしなことになる。ましてや、前者の立場の先輩施主が後者の立場の新人施主に文章でアドバイスしたってどれほど役に立つのか疑問である。その逆の立場でも同様だ。

家を構成する要素のいろいろな選択肢において何が良い/悪いというのは施主ごとに違うはずなのに、ネット上の掲示板などでは、ともすれば一般論的に良い/悪いを判定するように議論が展開されていって、結果、ミスリードされてしまうリスクを感じることがある。

アドバイスしてくれる施主は毎回毎回自分の前提条件を開示したりはしない。それはいたしかたないことであり、読み手の方で発言者の志向・嗜好を知る努力をしなければならない。

「いい家」の条件は施主によって違うもの。先輩施主のアドバイスは背景に何があるのか注意して読もう、というのが、私の先輩(になりたての)施主としてのアドバイスになろうか。

このblogはタイトル下にあるように「ヘンなコダワリ」を持っている施主が書いている。変なアドバイスになっているかもしれないことを、注意して読まなければならないことは言うまでもない。

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