家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

インハウス建築家?

2006年03月14日 | 家について思ったことなど
 三井ホームが「あなたと、『建築家+インテリアコーディネーター』で建てる」という事業を展開している。
はて、ハウスメーカーと建築家って、基本的に協業は相当難しいはずでは? などと思いつつ三井ホームのサイトを見てみる。
「建築家」のプロフィールを覗いてみれば、すべて三井ホームか三井ホームデザイン研究所の所属。つまり施工側のインハウスの人材である。
ここで、これまで考えてきた建築家の定義が揺らぐ。
部材・設備の種別や規格外の寸法などで、施主の要望と施工者の都合が合わなかった時、安易に施工者の都合に押し切られないよう差配するのが建築家ではなかったか。客観的に施工監理をするのが建築家ではなかったのか。「建築家」が施工側に所属しているとすると、その人間は基本的に施工者の都合を優先し、施工に手違いがあったときも施工者側の立場から発言するのではないのか。

そもそも施工会社のインハウスの設計者を「建築家」と呼ぶのは適切なのだろうか。建築家とは施主が直接契約するもので、どちらかと言えば施主側のインハウスだと考えていたが・・・。
建てずに死ねるか!建築家住宅」の大島健二分類にもインハウスの建築家というのはなかったように思う。

公的資格である「建築士」と違って、「建築家」という呼称は誰にも管理されていないので、こうしたことがおきるのだろう。そして、業界関係者でもない私が、「どれが正しい」などとは言えない。

誤解しないでほしいのだが、インハウスで優秀な設計者やデザイナーはたくさんいると思っている。インハウスだからこそ力を発揮できる人材もいるだろう。住宅以外に目を向けても、工業デザインの大半はインハウスデザイナーによるものだ。その中にはほれぼれするようなデザインも多い。
何を隠そう私は子供のころ、将来の進路としてインダストリアルデザイナーを思い浮かべたこともあるくらいだから、蔑視するような気持ちはカケラもない。

「建築家」を、「優れたデザインをする設計者」というような超広義な位置付けにすれば、独立していようがインハウスだろうがいいのかもしれない。一個人としてはそう決められているといわれればそういうものだとして判断するしかない。
ただ、家づくりという事業を起こす施主としては、ウデの良し悪しとは別に、設計者の立ち位置はちゃんと区別してもらいたく、それを言葉で分かるようにしてほしいのだ。そしてこれまでそれは「建築家」という言葉によってなされていると思っていた。
「独立した設計事務所に所属する建築士」そんな言い方で区別しなければならないとしたら非常にめんどうくさい。うまく整理してもらいたいものだ。

三井ホームのサイトでは、「建築家」設計の家を「作品」とせず「実例」と紹介していたのを見て、微妙で複雑な問題が端的にあらわれているようにも思えた。