家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

ポストイットホルダー付きIDカードホルダー

2008年06月29日 | レザークラフト


                           
    
ここのところの極私的製品開発において「ポストイットもの」が多くなっている(※1)が、またしても「ポストイットもの」を思いついたので、製作した(※2)。

題して
「ポストイットホルダー付きIDカードホルダー」

「開発」に至る経緯はこうだ。
ポストイットをハードに使うある業務向けのホルダーを作ることを想像していたところ、ネックストラップをつけて持ち歩いたら便利そうだ、というアイディアが浮かんだ。
よく考えたらこのアイディアは汎用性があって、自分の職場環境でも応用できる。
職場環境とネックストラップに絡んですぐに思い浮かぶのはIDカードである。
最近は企業のセキュリティ意識が高まっていて、オフィスに入るのにIDカードが必要となっているところが多い。私の職場もそうだ。オフィスに着いて帰宅するまでIDカードをネックストラップ付きのホルダーに入れて首からぶら下げている。
そこで、IDカードホルダーにポストイットホルダーを兼務させてしまえばいい、と思いついた。
メモツールとして、自作の「ポストイットホルダー」とか「DAIGOすぐメモホルダー」などを持ち歩いているのだが、社内に居る時間はいつも持ち歩くIDカードと一体化していればそれだけ持てばいい。


これまで使用してきたのは会社から支給されたチンケなIDカードホルダーだ。
ずいぶん前にfinziさんがブルックリンのかっこいいIDカードホルダーを紹介しているのに刺激され、いずれレザークラフトで自作しようと考えていた。
これまで作らなかったのは単純な構造のものしか思い浮かばず、極私的製品開発の醍醐味であるオリジナリティが出しにくくて、いまいち乗り気にならなかったためである。
しかし、ポストイットホルダーを兼ねるという案を思いついたことで、俄然創作意欲が高まったという次第。

仕様を検討し、以下のような要件とした。
・ IDカードが見える窓があること(あたりまえ)
・ IDカード類は3枚収納する
・ 75mm×25mmのポストイットを格納する
・ ペンを持ってないときにも使えるようWalkie penも格納する
・ 首にかけたままメモしやすいようネックストラップには伸縮するリール式のツールをつける
・ 単純なポストイットホルダーに比べると厚く・重くなるが、それを極力抑える

厚みは10mm以下、できれば8mm程度を想定。
そのために、
・ ポストイットは20-30枚程度の格納にとどめる
・ ポストイットを貼り付ける土台は塩ビシートなどを用いずに、IDカードそのものを土台とする
というような工夫をした↓。
       

そのほかの工夫もある。
定期入れなどでよくあることだが、革の部分はなんともないのに、「窓」に用いた透明なシートが傷ついたり、劣化して割れたりして使えなくなることがある。それを防ぐために、「市販の透明ホルダーに入れて、それごとカードホルダーに格納する」という入れ子構造とした。

    

これで透明ホルダーが劣化しても、それを交換すれば済む。透明ホルダーは数十円で購入できる。
この製品名を正確にあらわすとこうなる↓

 伸縮リール付きネックストラップ型「(IDカード+透明ホルダー)ホルダー+ポストイットホルダー+ペンホルダー」

 「ホルダー馬鹿」万歳!


<使い方>

こんなふうに伸ばして
    
    
メモを取りたいときはひっくり返して
    

スナップをはずして開く
    



※1
例えばコレ↓
http://blog.goo.ne.jp/garaika/e/3f5bd3c09bb2374a7aac325d88d0b9f8

※2<おまけ>
実は他にも多々「ポストイットもの」を思いついている。
それらは、ポストイット以外の要件の検討が煮詰まっていない、必然性に乏しい、などの理由で「開発」に至っていない。
その中の一例↓
「ポストイットホルダー付きフリスクケース」
・ 企画意図
 フリスクフリークはいつもフリスクを持ち歩いている(関連エントリLINK)。フリスクフリークの中にはポストイットを業務で駆使しているひとも多いだろう。その場合、フリスクケースと75mm×25mmのポストイットホルダーを合体してしまえば一石二鳥だ。
・ 停滞理由
(1) 私はそこまでのフリスクフリークではない(笑)
(2) ポストイットとフリスクが、タテ並びがいいか横並びがいいか決めかねている


m-loiusさんの名刺入れ――「超S、だけどM」なモノ

2008年06月15日 | レザークラフト

      

しばらく前に谷中M類栖のm-loiusさんから名刺入れの作成依頼が来た。
ちょうど名刺を新調したタイミングで、「Eさんの名刺入れ」を見て、名刺入れが欲しくなったという。
以前物欲がないとこぼしていたm-louisさんの物欲を刺激できたことは誇らしいことであり、こころよくお受けした。
それがこのたび出来上がったので紹介する。

<名刺入れの要件>
・ヌメ革を使用
・2つ折で2つのポケット、計15枚ほど収納することを想定
・ステッチが"M"の字になるよう縫製する
・太めの糸を使用する

書いてみれば非常にシンプルな要件だが、これを決めるまで何回もメールでやりとりをしている。

名刺入れは単純な機能のものなのでオリジナリティを出しにくい。
いや、装飾を施せばいくらでもオリジナリティは具現できるが、私は装飾で勝負したいタイプではないので、苦心した。
その結果オリジナリティを出すために「"M"の字ステッチ」というシンプルな装飾をすることで落ち着いた。
装飾といっても、"M"の字のうち、両側の"I"は必要不可欠な縫製部分であって、谷間のような"V"部分だけが装飾目的の部分である。
それに持ち主m-louisさんのイニシャル"M"を表しているので実用的な装飾なのである。そんなところに製作者のヘンなコダワリがある。

名刺入れで複数の選択肢があるのは、ポケットの「マチ」。
今回は革を湿らせて立体化する「ウエットフォーミング」という手法でマチを作った。↓
    

なぜその形にしたかというと、できるだけシンプルな構成にしたかったからだ。
その思惑は装飾の"M"の字の件とちょっとかかわっている。機能的には余分な縫製部分"V"の存在があったがゆえに、逆に「"M"以外にステッチが無い」というところまでステッチを簡素化したいと考えたのだ。
マチを別パーツにするとステッチが増えてしまうので、別パーツがいらない立体化形式にしたというわけ。結果、この名刺入れの型紙パーツはたった1つになった(※)。
"M"以外にステッチが無いことで、"M"が際立つ効果も出る。だから裏側も"M"にしてある。
m-louisさんにはこの製品のコンセプトを「超imple、だけど""」 と告げたのだが、上記のような意図があったわけである。「だけどド"M"」でもよかったが、くどいし下品になるのでやめた(笑)。

m-loiusさんが提示した要件には経年変化、つまりエイジングへの期待があった。だからヌメ革をそのまま使用した。無色のミンクオイルなどを擦り込んだだけである。今後、日焼けやm-louisさんの使用方法によって独特なモノに仕上がっていくはずだ。
家と同じく、使用者が育てるわけである。そういうモノの方が使用者も、製作者も、モノそのものにとっても、幸せなことだと私は思っている。

m-louisさんからは、名刺入れと同時に手帳用のペンホルダーも受注し、製作している。
これは、名刺入れの要件検討過程で、「名刺入れにペンホルダーをつけられないか」という想定外の要望が出てきたことに端を発する。
よく聞けば、m-louisさんが使用している手帳にペンホルダーが付いていないのでペンの収納場所がほしいということだった。
いくら名刺入れをオーダーで作るからといって、それにペンホルダーをつけるのは「渡りに船」とはいえない(「渡りに丸太」くらいのイメージ)。実際に使用するシーンを考えてもオススメできなかった。
で提案したのは、手帳にブックマークのように挟み込むペンホルダー。
市販品でもそのようなものがあることを知っていたので紹介した。↓
http://www.assiston.co.jp/?item=1542

これと同機能を持ったモノをm-louisさんの手帳サイズに合うように作ることになった。
そこでちょっとした思い違いが発生。m-louisさんは市販品のポケット機能が気に入ってしまったのだ。「このポケットがあれば名刺入れがいらないんじゃないか」と。
一方、私の方はペンホルダー機能のアイディアだけをいただき、ポケットを排除しようと考えていた。その理由は製品の厚みにある。
市販品のスペックでは厚さが2.5mm。文庫本サイズの大きめの手帳ならばその程度の厚みは許容範囲だが、m-louisさんの手帳は文庫本サイズよりスリムで薄いのだ。2.5mmもの厚みのあるものを挟み込むと使用時に不恰好になる。しかもポケットに名刺などを5枚も入れたら3.5mm以上になってしまう。
名刺入れ代わりにこれを用いることは製作者の立場から反対した。無理を言う施主とそれを諭す建築家の構図のようになった(笑)。
結局、名刺入れとペンホルダーは別々に作ることで落ち着いた。
しかし、m-louisさんがそこまでポケットを気に入ったことが頭にこびりつき、要望を何とかかなえられないかと熟考することになる。名刺2枚くらいなら何とか入るようなポケットがつけられないか、と。
そもそもは2mm以下の薄さにしたいと考えていたため、当初は0.8-1mm厚程度の革を張り合わせるように構想していた。それなら1.6-2mmほどにおさまる。
ポケットのないホルダーだったらそれでよかったが、ポケットに名刺を入れた上で2mm以下に収めるためにはもっと薄い革にしなければならない。
結局0.5mm厚という極薄の革を使うことにしたのだが、そうすると製品全体がぺらぺらになり、強度が不安だ。そこで、芯を入れることにした。ポストイットホルダーの台紙として使った塩ビシートなら0.3mm厚。0.5mm厚の革の2枚合わせにこれを芯に挟んでも計算上は1.3mmで済む。
残る課題はポケットの出し入れ口の位置である。市販品のように最上部に口をつけたならば、ポケット内の最下部に納まるであろう名刺は取り出しにくくなる。そしてポケットに指をつっこんだりすると、使っているうちに極薄の革が伸びて型崩れしてしまう。
いろいろと考えた末、ポケットの口は裏側の中間部に開口することにした。
結果、このペンホルダーの要件は以下のようになった。
・5mm径のミニシャープペンを格納する
・手帳にぴったりおさまるサイズとする
・色は手帳に合わせて黒
・名刺が2枚ほど入れられるポケットを装備
・こげ茶色のゴムバンドで手帳に固定する
・ゴムは劣化を考慮して取替え可能な構造とする(市販品は取替えできない)
・"M"のステッチを施す
・名刺入れと同じ糸を使用する

"M"のステッチで同じ糸を使用ということで名刺入れと兄弟っぽくしようという思惑である。
ただ、このチョイスは結果的に失敗だった。
極薄の革に太い糸という組み合わせになったことが無理につながり、ステッチが満足できる仕上がりにならなかったのである。結果論で言えば細い糸を使用すべきだった。
とはいえ完成させてしまったので、そうした欠点を指摘したうえで、お渡しした。
設計に問題があったというべきか、設計は良かったが施工者の腕が悪かったというべきか・・・。
住宅建築の現場で聞くような失敗談となってしまった。

    


製作にはさらにおまけ話があるというか、おまけそのものがある。
ペンホルダーの要件が固まり、一部の材料を購入しようと東急ハンズに出かけたとき、まったく別アイディアのペンホルダーが思い浮かんでしまったのだ。
それはついでに寄った文具売り場でプッチンクリップという商品を見かけたのがきっかけだ。
このクリップで手帳に固定するペンホルダーが作れそうだ、と。
実はクリップでノートに外付けするペンホルダー商品はいくつかある。
 スプリングペンクリップ↓
http://www.uniquestandards.com/item/2506-377.html
 トラベラーズノートのペンホルダー↓(ページの中ほどに掲示)
http://www.midori-japan.co.jp/tr/product/index.html

ただ、いずれも手帳から大きくはみ出す構造のため、m-louisさんの手帳用としては向かないとしてこの方式を採用しようとは思っていなかったのだ。
ところが、このクリップならば手帳に密着する形でセッティングが可能。
要件が固まった前述のペンホルダーを作ることはすでに決めていたが、このアイディアでも一つ作ってしまおう、うまくできない可能性もあるけれど、構造は簡単で革の使用量もちょっとで済む、クライアントの了承は特に必要あるまい、という判断をして製作したのだった。
    
でこれは注文外のおまけとして謹呈した。

今回のエントリは、実験的な試みとしてm-louisさんとほぼ同時に開示している。何を書くかは相談していない。
モノに対する依頼者と製作者の見方の違いや、イメージと現物の違い、依頼者と製作者の「化合」状況などがわかったら面白いと思う。
オーダーメイドのものづくりの過程は、オーダーメイドの家づくりとやはり似ている。
そういう意味で今回「建築家と施主ごっこ」を楽しんだと言えなくもないだろう。

    
         表題:「M類」なモノたち


※ Eさんの名刺入れはパーツが6ある。さらにパーツの多いものの例としては妻のバッグに関連したこのエントリ(LINK)を見てほしい。

 


Eさんの名刺入れ

2008年04月08日 | レザークラフト

かつての同僚Eさん(女性)から注文された名刺入れができた。
Eさんには昔、二つ折り財布を依頼されて作ったことがある。もう10年も前になるだろうか。
Eさんは会社をやめ、いったん主婦生活をしていたのだけれども、今はまたビジネスの世界に復帰し名刺入れが必要になったようだ。
こうしてふたたび依頼してくれたことを嬉しく思う。前回の作品に満足してくれた証だから…。

今回は財布ほど難しいものではない。
オーダーも、色の好みと、薄型、ポケットが二つある、という程度の希望で、あまりオリジナリティは出しにくい注文であった。
そうはいいつつ、どこにでもあるものではつまらないので、Eさん向けのアクセントをつけた。
アルファベットの「E」をモチーフとした装飾をほどこした。
これでEさんらしくなった(笑)。
女性の持ち物なので、やわらかさを出すために微妙にラインに曲線をつけてあるのがミソ。


お気に入り製品で極私的コラボレーション

2008年03月02日 | レザークラフト


        

前回、手間がかかるものを作ったせいで、ハイな気分が残っていて、何か作りたくなって作ったもの。
今回はメモホルダーである。ポストイットホルダーよりやや大きいが、それでもメモ用途のモノとしてはかなり小さい部類に入ると思う。
コンパクトさがわかるように、以前作ったほぼ日手帳カバーの上に乗せてみた。

このメモの本体はDAIGOの「すぐメモ」という。
RHODIAQUO VADIS ような売れ筋の定番商品ではないのだが、私はこれを一目見て気に入って、購入していたのである。

このメモはRHODIAのようにミシン目が入っていて切り取ることができるメモなのだが、RHODIAのNo11より一回りは小さい。

ごらんのように↓ホルダーに入れてもRHODIAより小さい。

    

もちろん小さければいいというものではない。このメモが優れているのは、ミシン目で切り取ったときのサイズにある。
切り取ったサイズは84mm×56mm。このサイズが何かというと、ジャストクレジットカードサイズなのだ。
ということはどういうことかというと、メモをした紙片を、財布や定期入れ、手帳などのカードホルダーにすっぽりと収めることができるということである。
DAIGOというのは手帳メーカーなのだが、この商品説明にそのことが書いてない。
ちょっともったいないと思う。

カップリングしたペンも私のお気に入り。
これはWalkie Penという超コンパクトペンシリーズの新製品である。
Walkie Penの素晴らしさは下記サイトを参照のほど。
http://www.sanpo-net.co.jp/walkie01.htm
この新製品は、従来のWalkie Penと同様全長85mmという実用最低限の長さであるが、軸径が6mm強と従来品(4mm強)より太くしてあって握りやすいのだ。太いので「BOLD」という名がついている。

お気に入りのメモとペンを自分が製作したホルダーでコラボレーションする。
こういうのが極私的商品開発の醍醐味なのである。

ものすごく単純な構造なので、一気に作った。
ただ色はちょっとないものにしたつもり。偶然できた色なのだが、由来は秘密である。

  
 ↑開いたところ

  
 ↑ポストイット75mm×50mmを乗せてみたところ


大人の仕掛け筆箱

2008年02月24日 | レザークラフト

妻にあげる誕生日プレゼントが完成した。
題して「大人の仕掛け筆箱」。
筆箱のハードユーザーである妻をうならせようと、子供の筆箱並みにいろいろな仕掛けをほどこしてみた。

       

全体のフォルムは筆箱らしく四角い箱にし、ファスナーを平行に2列配置した。
双方の紐をひっぱると筆箱が全開となり、ペントレーのように使える。
さまざまな筆記具をとっかえひっかえ使うときにはこうするといい。

   

片側のファスナーだけを開くこともできるようにしてある。

   

開いたフタ部分(かぶせ)の裏側は小ポケットをつけてあり、クリップやメモリーカードなどを収納できるようにした。

   

下段前後にあるのは引き出しである。
前にはシャープペンの芯やステープラーの玉などが入れられる。
後ろ側の引き出しの底には塩ビシートを張り付けてある。
実はこの部分はポストイットホルダーなのである。「ペン付きポストイットホルダー」はいくつかの種類を作ったが、その主(メモ)と従(ペン)の関係を入れ替えた「ポストイットホルダー付き筆箱」というわけ。


   



こういう筆箱、オーダー品といえどもまずないといっていい。なぜなら縫った部分が非常に長く、とても採算が合わないからだ。
こういうモノは道楽からしか生まれないと思っている。



ポストイットホルダー Kisaragi バージョン

2008年02月09日 | レザークラフト


                

昨年、受け渡しまで終わっているレザークラフト製品を紹介する。
以前のエントリを見てコンタクトしてきた如月雪さん(♀)のオーダーによるポストイットホルダーである。そのエントリにさらに多津丘〆葉さんという方が興味を示していただいたので参考になるかと思ってアップすることにした。

私の革モノづくりは、納期も約束できず、ビジネスとしてやっているわけではないので、くるオーダーをすべて受けるわけではない。
如月さんは、ある機器メーカーの営業職で、自分のビジネスユースとしたいということが受注の一つの決め手になった。
私のものづくりは原則として「持ち歩いて使うもの」を対象としている。そしてユーザーに使い倒してもらいたいと思っている。だからハードユーザーの存在はうれしいことなのである。
そして、依頼されたのがポストイットホルダーであることも受注を後押しした。
これまで、ペン付きポストイットホルダーは6種類作っている(うち一つは純粋なホルダーではなく携帯電話ケースにポストイットホルダーが付随したもの)。改善を加えながら作っているうちにだんだんと完成度が高まってきており、もっと完成度を高めたいという欲が出てきていた。

メールで打ち合わせしてオーダーの大まかな内容を固めた。
・ 75mm×50mmのポストイットを使用する
・ ペン、台紙つき
・ ペンはプラチナの「ポケットボールペン ミニ」
・ 色は黒
・ ステッチは革と違う色にする
こんなことを決めたのち、
ペンホルダーの位置とスナップの見せ方について、こちらから提案させてもらった。
まずペンホルダーを内側に設置することにした。これまでのものは外側にあったため、ストラップのスナップを留めておかないときに、たまにホルダーからペンが抜け落ちることがあったためだ。内側にすることでスナップを止めていない場合でもホールド力がUPし、簡単には抜け落ちにくくなる。

   


スナップについては、ボタンの表面をそのまま「あらわし」にするのではなく、ちょっとオシャレな感じにしてみたかった。
ポイントは「月」。如月というHNからイメージした。三日月の形に革を抜き、いぶし金のスナップボタンの表面がのぞくようにした。冒頭の写真で確認してほしい。
ステッチの色はベージュにしたが、ストラップ部分だけは黒い糸にしている。「月」を邪魔しないよう配慮したつもり。


フリスクフリークのためのフリスクケース――ちょっとした仕掛けあり

2007年06月30日 | レザークラフト

フリスク(FRISK)というタブレット菓子はご存知だろう。
どこのコンビニにも常備されており、社会的に定番商品になったといえる。
フリスクをケースごと入れるフリスクケース(?)も商品として目に付くようになった。

で、市販のケースに刺激されて、私もフリスクケースを作ってみたくなった。
例によって、既存品と同様のものを作っても面白くない、といろいろ考える。
発売中の製品を見れば、素材や柄はすでにかなりバリエーションがある。形も差がつけにくい。
オリジナリティのために着目したのは「機能」。
いろいろ考えた挙句、「コインホルダー」機能を融合することにした。
以前作ったコインホルダーが記憶に新しかったせいもあるが、
フリスクとコインホルダーのカップリングは悪くないとも思った。
特にフリスクフリークというかフリスク中毒者のためには――。
それは以下のような想定による。
「フリスクが日常化しているフリスクフリークほど、『フリスク切れ』は避けたいところ。であれば、ケースにコインが常備されていればイザというときそれでフリスクを調達できて心強い」
まあ、「財布は忘れてもフリスクは忘れない」くらいの筋金入りフリスクフリークが対象となろうか。

ということで、500円玉を1枚収納できるようにした(フリスクは1コ200円弱)。
ただ単に収納してもつまらないので、500円玉をパッと見、コンチョ的アクセントにしたらどうかと発想。
それでできあがった仕掛けがコレ↓。

    

500円玉より一まわり小さい円の穴を開けてあり、そこから500円玉の絵柄がのぞく。ふたを開けてここを指でずらすと500円玉が取り出せるという仕組み。
コンチョ的アクセントをかもしだすためには、収納するとき「500」という数字ではないほう、つまり「桐」の図柄が見えるようにするのがいいと思っている。

いまのところ、市販品でコインホルダー付フリスクケースは見かけていない。ネットでも「フリスクケース コインホルダー」でググッて見ても出てこない。
オリジナルを最初に出したと悦にいることができた。これが極私的商品開発の醍醐味である(笑)。
正面から見たらこんな風↓。

     

一見、何の変哲もない、というのもキモである(つもり)。

製品開発の過程では、フリスクフリークを念頭において、2連式、3連式フリスクケース、フリスクがずらりと並んだガンベルト式ケース、なんていうことまで構想してみた。
究極のフリスクフリークというかフリスク狂の注文を待つとするか・・・。


じいちゃんのおけいこバッグ

2007年05月05日 | レザークラフト
 
「川柳教室に通うことになったから、バッグを作ってくれないか」
父からそんな依頼が飛び込んできた。

小ぶりで、茶色という色合いと柔らかな革を使う、という程度の非常にシンプルな要件なので、構造面であまり悩むことはない。
年齢的におかしくないデザインにすることを考えて製作した。

材料は以前フリーマーケットで購入していたもの。あやしいオジサンが山積みにしていた革である。
半裁で1000円という格安な革だった。中国から仕入れてきたという。オジサン自身は革のことを良く知らず、牛革であるのはまちがいないが詳細は良く分からない。身内の依頼品なので、こうした革を使うチャンスだった。
やりほうだいのついでに「じいちゃんのおけいこバッグ」と名付けた。本人は知るよしもない。


コインホルダーできた

2007年01月30日 | レザークラフト
 
家の所要で会社を休んだのをいいことに、先日来「作るぞリスト」の上位に来ていたコインホルダーを作った。

ヌメ革を染色せずに使用、糸は黄色にした。
ルイ・ヴィトンに倣ったわけではない。丸っこい小さなものだからである。
実は手縫いで小径の円をきれいに縫うのは難しいのだ。かつて子供のために縁を革で囲った虫めがねを作ったときに失敗した経験がある。縫い目がガタガタになってしまった。
それで、ヌメ革の色に近い黄色の糸にすれば少々へぼでもごまかしやすい、と考えた。
それでも過去の失敗を頭にうかべて慎重に縫った結果、ミシン縫いほどの整然さはないが、なんとかごまかせたと贔屓目で自作を評価している。

これで五〇〇円玉が2枚収納できる。開いた写真はこちら→
原付バイクのキーホルダーとして使うつもりだ。
財布を忘れてバイクに乗り、なおかつ途中でガス欠になった、などというシーンに役立つ。
――ってそんなレアな場面での使い道を考えてニヤニヤしている。


コインホルダー作りたい

2007年01月11日 | レザークラフト
ちょっと前、ポストイットホルダーの製品化はエルメスに先行した、などとうそぶいて自己満足していたが、実際のところは、「自分がいつかは」とあたためていたアイディアを他人に先行されることの方が多い。
そんなモノのひとつが「Clipon Coin Holder」。

「革の厚みを使って500円玉をコンパクトに収納する仕組み」は以前から考えていたものの、このように完成度の高い製品を見せられると「やられたなあ」という思いは禁じえない。
プロフェッショナルの仕事(デザイン、アイディア、品質)には容易に勝てるものではない。
そもそも勝敗を論じること自体、分不相応であるのだが。

そうはいいつつ、ちょっと悔しい(笑)。
極私的製品開発の意欲がわいてきた。
着手は「ほぼ日手帳カバー」の周辺ユニットより、コインホルダー作成が先になるかも。

オリジナル「ほぼ日手帳カバー」が完成

2007年01月08日 | レザークラフト
             

正月休みと今回の連休を使ってやっと「ほぼ日手帳」カバーを完成させた。

さて、このカバーについては前回のエントリでかなりよくばりな機能の構想をひけらかせていた。しかしながら今回お披露目するカバーはいたってシンプルな機能にとどめておいた。
というのも、これはビジネスシーンでも使用するコアユニットという位置づけであるためだ。このあと製作する予定(いつのことになるのやら)の周辺ユニットにいろいろな機能を付加しようとしている。

外観は純正カバーのサイズと同じにしながら、以前作った免許証ホルダーのデザインのラインを踏襲した。ただし免許証ホルダーと違い、色は茶色系とした。
こうしてみると本体と縁の色をもっと差をつけたほうがよかったとやや反省している。

さて、機能はシンプルといったものの、一点のみ、かなり工夫したと自負している機能を付加した。
それは「しおり」である。

純正のほぼ日手帳カバーには2本のしおりがある。それは、たとえば一本はデイリーのページに、もう一本はマンスリーのページにはさむ、というような使い方が想定されている。そのままこの機能は採用したが、そこからさらに工夫を加えた。
しおりの先のほうにスナップをつけたのだ。
一本に凹、もう一本に凸をつけて、二本のしおりが合体できるようにした。




これの利点は、
ふらふらと落ち着きのない所在になりがちなしおりを固定する、ということがひとつ。

そしてもうひとつはデイリーとマンスリーのページを簡単に行ったり来たりできるということ。
下の写真を参照のこと。

   

一体化したしおりを指でつまんでページの中央のほうに寄せながら、右に倒せばマンスリーページに、左に倒せばデイリーページにというように遷移できる。

自分では単純ながら画期的アイディアだと思っているのだが、どうだろう。
極私的実用新案にすぎないかもしれないが、とりあえず「スナップしおり」と名づけておく。

明日からの手帳の使用が楽しみになってきた。
 


「ほぼ日手帳」を購入――カバーづくりに突入か?

2006年11月23日 | レザークラフト

オジサンの部類、しかもベテランに属する私が、らしくもなく「ほぼ日手帳」を購入した。
「ほぼ日手帳」の詳細を知りたい方はコチラ↓
http://www.1101.com/store/techo/index.html

いまやスケジュールやTo Doといった管理はPC上で出来るようになり、ツールとして手帳の出番は減っている。
ただ、そもそもアバウトでナマケモノな私はマネジメント的なデータを手帳にきっちり書き込むことより、バカな妄想やら思いつきやらをメモしたり、絵に描いたりするのが好きだった。手帳がスケジュール管理から遠ざかる過程で手帳を開く習慣も希薄化し、その結果「落書き」機会を減らしてしまい、気がつかないうちにフラストレーションがたまっていたような気がする。かつて紹介したポストイットホルダーを携帯しようという行動もそれに関連しているようにも思う。

ポストイットはメモならいいが、絵や図となるとなかなか描きにくい。
やっぱり手帳かなあ、と思い始めたら、「ほぼ日手帳」が頭に浮かんだ。というのも前年の手帳更新時にひっかかっていたからだろう。

「ほぼ日手帳」は1日1ページ構成。そのスペースが魅力的に見えた。
1日1ページ構成の手帳というのは他にもいくつかあるのだが、自己啓発系というか、綿密管理型というか、書くことがきっちり決まっていて息が詰まりそうな感覚が禁じえず、敬遠していた。
ところが「ほぼ日手帳」はフリーハンド性が高く、ユルいムードで好感が持てたのだった。
前回の手帳更新時は結局、成り行きで貰った能率手帳を使うことにしたのだが、結局スケジュール管理はPC中心でやったこともあって、使用頻度は非常に少なかった。

そんなこんなで、今回は「ほぼ日手帳」を使ってみることにした。

で、実はここまでの話は前フリ。

本題は「ほぼ日手帳カバーを自作しよう」である。
これまでにシステム手帳やら手帳カバーやらは作ったことがあるので製作上のポイントはだいたいわかっている(つもり)。

さて、とにかく構想を練る。
自由性の高い自物の構想は楽しい。建築家が自分の住む家を考えるのと似ているのではないだろうか。

すでにいくつかの要件が思い浮かんでいる。
・ 文庫本サイズであることを活かし、リアルな文庫本(+カバー)と一体化して所持できる仕組み
・ コアユニットと周辺ユニットからなり、ビジネスユースとプライベートユースで必要に応じて合体・分離
・ ペンだけでなく、定規やカッターなどいくつかの文具か、もしくはマルチツールを収納したい
・ ポストイットも格納する
・ フォトフレームがあるといい
・ 財布機能もつけようか
・ 「しおり」を工夫(この部分、ほぼ仕様決定済み。追って紹介予定)
・ カード収納は純正カバーほど多くなくてよい
・ 色は茶系。外観はシンプル

上の要件は結構欲張りに見えるかもしれない。現段階でどこまで実現するかも未定である。
ただ、参考までに第1次システム手帳ブームのころに自作したシステム手帳に盛り込んだ項目を列挙しておこう。
・ 母体は「システムダイアリー」(ブーム以前からある8穴のシステム手帳)
・ ペンは「ぺんてるmulti8」(シャープ、ボールペン数種、蛍光芯など8種のリフィルを1本に収納)
・ その他収納物
ポストイット、おりたたみはさみ、セロテープ、消しゴム、カード型電卓、カード型印鑑、名刺10枚、ゼムクリップ、切手、メガネ用ドライバー、極薄ノコギリ(!)
・ 上記収納物でポケットに入れにくいもののためにスライド式缶ケースを装備
・ 外側にファスナーポケット
・ 他のものと合体できるようにスナップ凸を表面に複数配置
・ オリジナルインデックスリフィル(表面に鉛筆書きができる素材で)
・ カードホルダー
「システムダイアリー」は本来ミニ6穴サイズに近いが、上記要件を満たした結果、バイブルサイズ大になったあげく、ハンパじゃない重さに。スナップの突起はポケットからの出し入れの邪魔になった。いろんな意味で「若気の至り」としかいいようがない。

この手帳は、実は南の島(沖縄)で紛失し、今は手元にはない。
「拾って届けていただければ2万円差し上げます」なんて書いておいたのに・・・。
珍品ゆえに拾った人間が2万円より価値があると思ったのだろう、とポジティブシンキング(?)して自分を慰めたが落胆は大きかった。そのせいで次の自作手帳はそれほど珍品に見えないようにしたという歴史(?)があったりする。

さて今回はどうなるか。

といいつつ、師走も意識されるこの時期、別途、恒例の手作り年賀状作成もやらねばならず、年内にできるか危ういことは前もって宣言しておく。コアユニットだけなんとかしたいものだが・・・。


エルメスより先んじる

2006年08月29日 | レザークラフト
インプレスのケータイWatch「本日の一品」では、エルメスがポストイットホルダーを売り出したことを紹介していた(8月25日付)。

以前、自作のポストイットホルダーのことを書いたが、エルメスより先に自分で作っていたことが分かり、ちょっと誇りたかったりする。
しかもこちらはペン付き、台紙付きである。

ちなみにエルメスの製品は1万5000円。
さすがの価格設定である。こちらはその3分の1でも出してくれたら大喜びで作ってしまうだろう(当然エルメスのような高級な素材・技術にはならないが)。

実はそのペン・台紙付きポストイットホルダーを1つ受注しているのだが、やさしいクライアントに甘えてまだ手をつけずにいる。
これを作って紹介したら引き合いがくるだろうか。



余談:
ポストイット関連では、かつて「ポストイットとペン付きの携帯電話ケース」なんてものも作ったことがあった。
知人・友人の間でもけっこう評判がよかったが、その評価は自分も仲間も錯覚が混じっていた。

「電話中にメモをとりたいとき、ポストイットとペンがケースに付いていれば便利」というのが製品開発コンセプトであった。
これをそのまま読むと、たとえば歩きながらポストイットがくっついた携帯ケースを片手にメモを取れるような気がする。
しかし、よくよく考えてみると、携帯電話をかけているときはすでに電話を持つために片手を使用している。
もう一方の手はペンを持つために使うのであるから、ポストイットがついたケースはどこかに置いて使わざるをえないのであった。
すなわちどこかに立ち止まらなければ使えないわけで、見かけほどモバイルではなかったのである。
こっちのほうはエルメスが追随することはなさそうである(笑)。


さらに余談:
携帯電話を新しくしたことをきっかけに、またケースでも作ろうかと考えているのだが、
「小型マルチツール付き」にしようか、「真のおさいふケータイケース(つまり小銭入れ付き)」にしようか、思案中。
こういう思案が極私的な商品開発の楽しみでもある。

メガネトレー ――ニッチをさらに使いよく

2006年02月20日 | レザークラフト
 夫婦の部屋の壁に設けたニッチのことを以前紹介し、就寝時にメガネの置き場所としているなどと書いていたが、実はこれまではハダカのままそこにメガネを置いていた。
いかんせんズボラであると反省の念がわき、この週末、メガネトレーをやっつけで作った。

私の革モノづくりは「持ち歩いて使うもの」を基本線でやっているので、これまで「置いて使うもの」はあんまり作ってきていない。
それでも自作したのは、このニッチの奥行きが5cmしかなく、市販のメガネトレーだと完全にはみ出してしまうからだ。

黄色味のあるヌメ革を使用し、底には濃いカーキ色のヌバック(起毛革)を張った。
ヌバックを使ったことで、「メガネにやさしい」感じが出たと思う。
毎日使うものなのに、昨日まで素で堅い面に置いていたのを、あらためて申し訳なく思った。

暮らしの道具というものは作ってみれば面白い。ていねいに暮らすことにもつながるだろう。

追記:リクエストにお答えしてややアップにした写真→

極小手帳カバーの作成

2006年01月22日 | レザークラフト
世界一小さいスケジュール手帳のカバーが完成した。
作成にあたり、せっかく小さいのだからと、最初は単なるカバーではなく、いろいろとバカな構想をしていた。
例えば、
「カードホルダー付手帳の向こうを張って手帳付カードホルダーというのはどうか」
とか、
「しおりの付いた手帳はたくさんあるが、手帳がついたしおりなんてものは世の中に唯一のモノになるのではないか」
とか・・・。

詳細を詰めていこうとするとやっぱり実用的なものにはなりそうもなく(あたりまえか)、結局単純にカバーを作ることにした。
ただ、ミニチュア的な手抜き・省略はせず、フルサイズの手帳と同様の手間をかけることで面白味を見出そうと決めた。
これでも革の床はしっかり磨いてあり、漉きが必要なところは漉き、コバ磨きもやった。
苦心したのは縫い目の間隔。市販の目打ちの間隔だとどうにも大きくて、それを使うとミニチュア的省略感が色濃くでてしまう。
そこで、一目一目しるしをつけて一つずつ穴を穿った。このときしるしをつけるのに、リベットゲージという模型工作用の定規を使っている。私は模型はやらないが、きっと何か役に立つと思って数年前に購入していたモノだ。やっと役に立つ場面が訪れて少しうれしかった。

写真は、前に作った免許証ホルダーの上に乗せて撮ったもの。縫い目の違いがわかるだろうか。