富貴蘭讃歌

富貴蘭の栽培記録と勝手気ままな四方山話です。

奄美風蘭の作について

2013年01月14日 | 風蘭の作
最近 奄美はどう作るのが理想かと
御相談をいただく事が多々有ります

一度 ご一緒に考えてみましょう

その前に
まずは現地、奄美大島(奄美群島の徳之島もほぼ同じ)
の気温を知ることが大事です

       年間平均気温        月度別最高最低温度平均
      奄美    東京     奄美最高温度    奄美最低温度   
 年間  21,6  16,3     24,8         18,8

 1月  14,8  6,1      17,5         12,0
 2月  15,2  6,5      18,0         12,3
 3月  17,1  9,4      20,2         14,0
 4月  19,8  14,6     23,1         16,7
 5月  22,7  18,9     26,1         19,7
 6月  26,0  22,1     29,2         23,3
 7月  28,7  25,8     32,3         25,9
 8月  28,4  27,4     31,8         25,8
 9月  26,8  23,8     30,2         24,1
 10月 23,7  18,5     26,9         20,9
 11月 20,2  13,3     23,3         17,3
 12月 16,5  8,7      19,5         13,7


    
この平均気温の推移を見ますと
自ずと作のヒントが伺えます

実際 奄美の植物を内地で
庭植えすれば なかなか冬を越してくれません
さらに奄美の野生ランに至っては、
温室が無いと越冬はまず無理
(実は年間日照時間は本土より少ないのですが)

その中でもアマミフウランだけは
元々内地から派生した植物なのか
野外でも越冬してくれます

この辺りが作を惑わすところかもしれません
無加温の風蘭の棚でも、
他の風蘭と同じように越冬してくれるからです

しかしこの温度分布を見れば
内地のフウランに合わせるのは
少々酷なようです

この様な温暖な気候で育つためか
木も大型化しておりますし
その環境にあった進化を遂げているはずですので
いくら実生とはいえ 産地の環境に少しでも合わせてやるのが
木の為になる事は疑う余地が有りません

実際 吟風なども加温保護してやりますと
見違えるように立派な木になります

なかなかアマミだけ特別に
管理すると言う事は出来ませんが
私の理想とする奄美の作り方は

植え替えは10月中旬から11月中旬までの間に済まし

11月末まで自然栽培
12月頭にハウスを閉め 中旬には最低温度を10℃にキープ
水やりは通常で

後は気温が上がる春までこのまま管理か
日差しが少々きつく感じられる3月に
最低温度を15℃に出来ればなお理想

こう管理すれば若干の寒さにも当り
気の早い木は 12月中に新根を出し始めます

結局 奄美大島は鹿児島県とはいえ
亜熱帯海洋性気候の
温暖多湿な地域ですので
私の考えでは 
休ます必要のない風蘭と思っております

歴史ある富貴蘭栽培において
冬場の加温は邪道のように言われた時代もありました
実際、春に行われる全国大会の懸賞に
新根の動いているランを持って行くと
加温栽培しているからダメと言われたことも

今はもう、そういう時代錯誤な事を
言われる方はいないと思いますが
昔と違い実生全盛のこの時代
作に関しても我々が進化成長したいものです

時代錯誤と言えば 
年一回、楽しみの日本富貴蘭会の会報を見ても
色んなおっさんの挨拶や宴会の写真集なんて
どうでもよく
もっと会員の欲している記事を書けばと思うのですが、、、

会報とか月刊誌は趣味者が知識習得の為
何回も読み直すぐらい魅力がないと
意味がないでしょう

私は業界の異端児ですので
好き放題書いてますが
歴史ある園芸を愛する人間として
もう少し近代的にならないかと思う今日この頃です

ごめんなさい。

さて話は戻り
風蘭愛好家のそれぞれの栽培環境は異なります
今回の奄美の作については
あくまで一個人の私見として御参考程度にして頂き
色々試行錯誤してみてください

奄美専用の栽培方法が確立できれば
それなりの恩返しをしてくれるはずです


12月末まで全くの無加温、1月より最低8度で管理している吟風
1月13日現在 すでに新根が出ています



 
    


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