山本藤光の「人間力」養成講座

著書「仕事と日常を磨く人間力マネジメント」の続編です。


一気読み「ビリーの挑戦」119-124

2018-03-14 | 一気読み「ビリーの挑戦」
一気読み「ビリーの挑戦」119-124
119cut:誰かが会議を見てこい
――20scene:9月の会議
影野小枝 釧路オフイスの会議室、午前8時半です。相変わらず、机の真ん中には空のダンボールが置いてあります。
漆原 札幌支店1課の新谷リーダーを紹介しよう。今日1日はオブザーバーとして、会議に参加します。その理由は、直接本人から話してもらいます。
新谷 みなさん、おはようございます。漆原リーダーとは同期入社でして、よきライバルでもあります。本日貴重な会議に参加させていただいたのは、札幌支店の全リーダーの要望に基づくものです。なぜ釧路営業所が急速に伸びたのか。みんな驚いています。私がおじゃましたきっかけは、支店長の一言でした。「誰かが会議を見てこい。それを全員に報告したらいい」――それで、私が代表として、のこのことやってきた次第です。どうぞよろしくお願いします。
太田 何だか恥ずかしいですね。(紙玉をダンボールへ放り投げるポーズ。以下同様)
漆原 残念ながら、8月は9100万円と足踏み状態だった。間に夏休みが入り、実働時間が少なかったのだから仕方がない。これについて、何か意見はあるかい?
山之内 私たちが働く時間と実績は相関する。そのことの証だと思います。
石川 働く時間と実績の相関は、本社が顧客ごとに分析しています。訪問回数と実績の推移ですが、「量」だけの分析では無意味だと思います。やはり問題は、「質」にあります。その質を磨いてこなかったから、このチームはずっと低迷していました。
乾 質のレベルアップをはかるのは、難しいことです。自分ではわかりにくいし、やはり上司が現場で見てくれて、はじめて浮き彫りになるものと思います。漆原さんがひんぱんに同行してくれ、例の「身の丈コンピタンシー」をやってくれるから、我々はワンランク上の活動を思い描けます。
寺沢 時間がない、は言い訳にすぎません。私は7月よりも、8月の方が20%も数字を上げています。8月に夏休みがあるのは、ずっと前からわかっていたことです。それに対応できなかったのは、チーム内にまだ甘さが残っている証拠です。(段ボールに向かって紙玉を投げるポーズはまだつづいている)
石川 テラは一人前になったよ。おまえがいっているのは正論だ。
影野小枝 新谷さんは驚いています。漆原さんの一つの問い掛けに、止まることのない意見が飛び交うのですから。

120cut:日常の方の自慢はないのか
――20scene:9月の会議
影野小枝 会議の続きです。現在午前11時になります。
太田 先月は、足を引っ張ってしまいました。申し訳ありません。ただし、今月につながる仕事のなかから、特大なものを発表します。テリトリー内に新設されるS病院は、今月オープンとなります。半年間開設準備室を手伝い、先週打ち上げ式がありました。そのときに薬局長に聞いたのですが、全製品が採用され、しかも薬剤の取り扱いナンバーワン・メーカーとのことです。病院がオープンするまでのプロセスを勉強したい。そう申し入れて半年。休日のほとんどはつぶれましたが、楽しくやることができました。(拍手、歓声)
山之内 太田の執念が実りました。S病院からは、今月450万円の注文がありそうです。
影野小枝 再び拍手と歓声が、鳴り響いています。寺沢さんは万歳をしていますよ。
乾 トップの座が、危うくなっています。太田は希望の内勤へ、配転させておくべきでした。そうすれば、私の地位は安泰だったのですが。
漆原 ついにやったな。おめでとう。ところで、日常の方の自慢はないのかい?
太田 毎月、新書を2冊読んでいます。感想はみなさんに送っていますが、いつもやさしい方の1冊を選んであげています。みなさんのレベルに合わせるために、結構苦労しています。(笑)
寺沢 男の料理の方ですが、現在は手打ちそばを修業しています。大晦日には間に合うように、必死で勉強しています。楽しみにしていてください。次は仕事の方ですけど、『メルマガ・ビリーの挑戦』に掲載されていた「2品目宣伝」を実施し、その効果に驚いています。既存品の処方が、あっちこっちで増えはじめました。
漆原 年越しそばは楽しみにしている。それよりもテラ、2品目宣伝について新谷リーダーに説明してあげてくれないかい。
寺沢 2品目宣伝は、田中さんの成功例です。本当に紹介したい薬剤は、2番目に宣伝すべきだという論文でして……。
田中 論文じゃないぞ。単なる実践の成功例だ。
寺沢 Aの新規採用を目指している。こんなときは、夢中になってAの紹介をします。するとドクターも聞き疲れて、既存品Bの紹介ができません。そこで田中話法が登場します。こんな具合にやります。「先生、いつもBの処方をありがとうございます。いかがですか?」。続いて本題に入ります。「ところで本日は、先生にご紹介したい薬剤がありまして……」。これなら、簡単に2品目宣伝が可能です。
石川 私も試してみました。ディテーリング(宣伝)回数が倍増するのですから、効果はてきめんです。
影野小枝 新谷さん、うなずきながら大きな拍手をしています。自慢コーナーはまだまだ続きますが、最後の場面を見てみましょう。
漆原 いつものとおり、採決をしよう。挙手は1回だけ。もちろん自分の自慢話には手を挙げられない。では太田の自慢が一番だったと思う人は?(3人が挙手)
影野小枝 挙手の数は、太田さんが1番でした。漆原さんから、太田さんに金色のシールが渡されました。2票を獲得した寺沢さんと熊谷さんは、銀色のシールを受け取りうれしそうです。会議室の壁面には、「5種競技月間成績書」という張り紙があります。今月からはじめた企画です。自慢コーナーでみごとに1位を獲得した太田さんは、ガッツポーズをして「短距離走」の欄に丸い金色のシールを張りました。シールには3点と書かれています。なぜ、短距離走なのでしょうか?

121cut:5種競技の結果を発表する
――20scene:9月の会議
影野小枝 引き続き会議の場面です。現在午後1時になります。
漆原 これから製品テストを実施する。いつものように、「虫食いテスト」を作成した。時間は30分。出題に使ったパンフは後ろに置いておく。終わり次第自分で正解を確認して、ホワイトボードに点数を書くように。
影野小枝 テストの結果が出たようです。乾さんが10点満点でトップ。田中さんは9点で、山崎さんが8点でした。あとの方は名誉のために、触れないようにしましょう。漆原さんから金色シールを受け取り、乾さんは「マラソン」の欄にそれを張りました。田中さんも山崎さんも、それぞれが銀色と銅色のシールを張りました。それにしても、さっぱり意味がわかりません。
漆原「5種競技月間成績」は、田中の発案ではじめた。田中、新谷リーダーに意味を説明してくれないか。
田中 5種競技は、MR活動に必要な5項目の成果を競うものです。「製品知識」は永遠のテーマですので、マラソンに見立てました。さっき太田が金メダルを獲得した「自慢コーナー」は、1ヶ月の結果が評価されますので短距離走としました。この他に「医局説明会の回数」は、砲丸投げとなります。医局内にドカンとインパクトを与えるイメージです。ハイジャンプは「身の丈コンピタンシー」で、レベルアップした活動の質の数を競います。最後のリレーは、提出した「ベストプラクティス」にどのくらい賛同があり、実行されたかのポイントで争います。成功事例のバトンリレーというつもりなのですけど。
漆原 では残りの競技の結果を発表しよう。説明会は乾が7回でダントツの金メダルだ。続いて4回の山崎、3回の山之内だった。帯広に比べて、釧路は低調だったな。
影野小枝 すべての競技結果が出揃いました。総合点では、乾さんが8点でトップ。田中さんが6点で2位、太田さんが5点で3位に輝きました。

122cut:あれが本物の会議だな
――20scene:9月の会議
影野小枝 会議を終えて釧路空港へ向かう車中です。漆原さんが運転をして、新谷さんが助手席に座っています。
新谷 いいものを見せてもらったよ。今でもワクワクしている。あれが本物の会議だよな。まさにコラボレーションの世界だった。
漆原 考えさせる、聞き取る。この2つを意識していれば、誰にでもできる。簡単なことだよ。
新谷 MRの発表で、気がついたことがあった。成果よりも、プロセス部分の詳細が語られている。難攻不落の顧客に対して、こんな工夫をして処方を得た。MRは一様に、「工夫」のところを力説していた。マグレや当たり前のことをしただけ、などという謙虚で白けた解説はなかった。だから拍手が起き、賞賛の声が乱れ飛ぶわけだ。
漆原 MRには、仲間の活動を垣間見る術がない。だから会議では、そこをていねいに語るように指導している。今月の自慢コーナーが5種競技の項目になったのは、みんなの関心がそこにあるからだと思う。
新谷 おまえの会議には遊び心がある。みんな楽しそうだった。
漆原 このハンドルと同じで、遊びがなければ運転不能になってしまう。
新谷 運を天に任せていては、ダメってことか。
漆原 ちょっと意味は違うけどな。
新谷 会議中ずっと、おまえの哲学でもある「対(つい)をつなぐ」を思い出していたよ。先月と今月がつながっていた。上司と部下もつながっていた。そして何よりも、MRの仕事と日常がつながっていた。びっくりしたよ。
漆原 その話で思い出した。おまえにプレゼントがある。
影野小枝 漆原さんはポケットから紙片を取り出し、渡しました。
新谷『ビリーの挑戦』の最新版か。ときどき支店長から転送される。世の中で、メールマガジンを発行している営業チームは、きみのところだけだと思う。
漆原 声に出して読んでみてくれ。
新谷 なつやすみに、みんなできゃんぷにいきました。パパのかいしゃの人たちが、あそんでくれました。ばーべきゅうをして、うたをうたい、かいすいよくやはなびもしました。たのしかったです。山ざきめぐみ。1ねん2くみ。
漆原 いい作文だろう。
新谷 会社と家族も、つながっているのか。

123cut:仕事も人生も「123理論」
――20scene:9月の会議
影野小枝 釧路空港内の喫茶店です。漆原さんと新谷さんは、コーヒーを飲んでいます。
新谷 もう一度、おれも『人間系ナレッジマネジメント』を勉強し直すよ。おまえの原点は、あの本だよな。それにしても、みごとな手腕だ。
漆原 新谷にもうひとつプレゼントをあげようか。「123理論」と名づけたのだけど、仕事も人生も、みんな「123」で説明がつくと思う。仕事の方は、1人でやるべきこと、上司と連携してやること、チームのみんなと協力してやることがある。それを明確にしておくと、仕事に勢いがつく。
 おれたちは独身時代から、結婚し、やがて子宝に恵まれる。これが人生での「123」だ。やがてこどもが独立し、夫婦2人だけになる。さらに老いて伴侶を失う。これが「321」だよ。
新谷 いい理論だな。ホップ、ステップ、ジャンプとも似ている。そうか、人生はやがて「321」になるのか。しっかりと備えておかなければならない。おまえから教わった「モナリザチェック」は今も実践しているけど、「123理論」も味がある。
漆原 1日会議に参加してくれて、何か気になることがあったら教えてくれ。
新谷 何もない。マネしてみたいことだらけだった。そういえば、たった一つ気になることがあった。おまえペン習字を勉強したら?
漆原 おれ、営業リーダーになってよかったよ。おまえとこんな話ができるのだから。
新谷 おまえに負けないように、おれもがんばる。だから、もっと上を目指してくれ。おれも必死で追いかけるから。

124cut:飛行機が離陸する場面
――20scene:9月の会議
影野小枝 ビデオ製作会社打ち合わせです。
監督 これで第1部は終わりか。ラストがちょっと弱いな。
助監督 太平洋に、夕日が沈む映像(え)を入れましょうか?
監督 バカか、おまえは。何で沈ませちゃう。逆だろうが。
製作 飛行機が離陸する場面を、漆原が見上げるのならどうだ?
監督 いいね、それでいこう。中里、おまえは首だ。
助監督 それはないでしょう。監督と助監督は、つながっているものです。

(第1部おわり。第2部につづく)
※長い間おつきあいいただきありがとうございます。ビリー(漆原)さんが本社の営業企画部長になった場面から第2部はスタートさせます。ちょっとだけお休みです。筆者

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