それは、とても静かな午後であった
通りがかりの海がとても綺麗で
思わず車を停めて
「ホーッ!」
とばかりに見入ってしまった
海は釣りをするところだと思っていたが
少しばかり歳をとると
遠くの水平線を、ただぼんやりと眺めているだけで
打ち寄せる波が心を洗ってくれるような気がするものだ
コバルトブルゥのグラディエーションは、この世のものかと思うほどの視界一杯の美しさなんである。
自分の忙しい日常も、
疲れた腰も、擦れた声も、63という年齢すらも忘れて
吸い込まれるように海を眺めていた午後
それは至福の時間であった。
教会の帰りは、少しばかりちゃんとお祈りをしたから
その、ご褒美に神様が素晴らしい景色をプレゼントして下さったのかも知れない。
哀しいお葬式の帰りだということを除けば
素晴らしい、心の安らぐ日曜日であった。
そういえば、すっかり忘れていた。
慈悲深い神父様の写真も撮っていたのだった。