奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1004)

2019-05-25 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「南無阿弥陀仏と南無妙法蓮華経(平岡聡著・新潮新書2019刊)」を読んだ。平岡聡(ひらおかさとし1960生れ)氏は、佛教大学(仏教学科)卒、同大学院博士課程満期退学で、途中ミシガン大学留学をしている。京都文教大学教授を経て現在は同学長である。著書に“ブッダと法然(2016刊)”など多数。専門は仏教学者を名乗っている。------

新書の扉広告には“どんな人間も往生できる(法然)、その身のまま成仏できる(日蓮)、末法の世に生まれた二人は独創的な宗派を作り上げた。特徴的な二人を対比して日本仏教の姿を浮かび上がらせている”とある。-----

日本に浄土教を広めた法然の側に立つ仏教学者であるが、法然と日蓮のどちらが優れているかの評価は読者に任せると書いている。日本仏教が奈良時代までは国家鎮護のための国家仏教であり、支配層の貴族が帰依を果たす対象であった。平安時代が終わって鎌倉時代に入ると、武士が当時の中国からの新来仏教であった禅宗を有難がる傾向が強かったのに比べ、庶民には気安く近づける仏教宗派なかったのだが、庶民の社会における地位が固まるにつれて、法然の浄土教と日蓮の法華宗は、見事に世に広まって行ったのである。-----

浄土教の宗派形態であった浄土宗と浄土真宗は農民層に広まり、日蓮宗の方は商人層に広まった。安土桃山時代にはどちらも過激な宗派である浄土教と日蓮宗の宗派問答を織田信長が仕掛けたことで有名な“安土宗論”があるが、これについては触れておられない。盛りだくさんの内容であるが、知っている人には有り触れた話題であり、そのようなことを今更のように書いておられるのは、平岡聡氏自身の学生への一般教養書としての役割を持つ本であるのかなと思いながら読んだ。

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