奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その714)

2018-08-08 08:15:00 | 奈良・不比等
「在日コリアンってなんでんねん(朴一著・講談社α新書2005刊)」を読んだ。朴一(パクイル1956生れ)氏は、同志社大学大学院博士課程修了にて、商学博士を取得し、現在は大阪市大教授である。専攻は朝鮮半島の政治と経済、日朝・日韓関係論とのこと。在日韓国人3世であり、TVメディアでも活躍している。-----
在日コリアンの戦後の歩みを学者の目線で丁寧に追った本が「在日コリアンってなんでんねん」なのである。終戦時に236万人いた在日の人口は170万人が半島へ帰国して60万人が日本に留まって在日コリアンとなった。帰れない帰らなかった理由を詳しく書いてくれているように、その後の朝鮮半島の政治情勢の紛糾と緊迫化が帰国を諦めさせる要因となったようだ。-----
日本政府は外地からの引揚者に対しても冷たい施策を取っていたようであり、朝鮮・台湾籍の人などに構っていられなかったのだろう。国内の余剰人口を南米などへ移住させる計画が、大戦末期の満蒙開拓団の派遣事業になり替わって進められていた。まるで棄民政策のようで、口減らしに国を挙げて躍起になっていたのである。-----
朴一氏の学者としての目は、太平洋戦争期の朝鮮半島からの徴用工の活躍、また戦後は在日コリアンとなって日本にある意味取り残された人々の日本社会の下層労働の下支えによって日本は経済発展を我がものとして来たのであるように見えると云っている。バブル経済期頃からの日系ブラジル人の労働力移入や、昨今のコンビニ店員の外国人化などを見れば、嘗ての植民地・朝鮮半島からの労働力の調達は、本当に役に立ったのだろう。だからこそ長崎県・端島(はしま)が世界遺産となる時に韓国が口を挟んだことは故あることだと考えさせられた。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 古都奈良・修学旅行と世界遺... | トップ | 古都奈良・修学旅行と世界遺... »

コメントを投稿

奈良・不比等」カテゴリの最新記事