奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1163)

2019-10-30 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「好きになった人(梯久美子著・ちくま文庫2018刊/2013版の文庫化)」を読んだ。梯久美子(かけはしくみこ1961生れ)女史は、北海道大学(文学部)卒で、東京の企業に就職するが、2年後に編集プロダクションを起業。2001年よりフリーライターとして活動している。“散るぞ悲しき/硫黄島指揮官栗林忠道(2005)”が初めての単行本の出版であり、以後ノンフィクション作家として活躍している。-----

「好きになった人」は、梯久美子女史が雑誌のお仕事で有名人へのインタビュー記事を書いて来られた経験などから、作家芸能人などとても多くの人間の中から、梯久美子女史の心に残った人とそのエピソードについて想い出して書いてくれている本である。勿論、それだけではなくて、梯久美子女史の生い立ちもそれとなく書いておられて、鍵っ子であったとか、父親が自衛官で5歳の時に熊本から札幌に転勤し、鉄道で家族皆日本列島を大移動したから、今でも鉄道が大好きだと書いている。-----

“児玉清(1934~2011)”、“東君平(1940~1986)”、“森瑤子(1940~1993)”のお話など、この本のエッセイに登場する良い人は意外と早く亡くなっておられる気がした。梯久美子女史がとても好きな人だったのだろうきっと。------

「好きになった人」の前半は戦争絡みの話ばかりなのだが、なぜこのような分野に執心されるのだろうと考えた処、矢張り、父親が、陸軍少年飛行兵学校にいたときに終戦となり、戦後は自衛官となったことに、平和日本の中で自衛隊の職業に就いているその家族であることが些か引け目に感じられたことであろうと、邪推してみると分からなくもない。それを何らかの意味で、当時の人の想いを少しでもリカバリーしてあげたいと素直に思われた気持が、遺族に残された手紙や日記を読み解き、当時の苦難に思いを馳せてあげようとなさっているのだろう。でも此ればかりでは暗過ぎるので、後半は自身の身近な生活についてあっけらかんとしたエッセイを書いてくれている。特にネコの登場するエッセイには癒された。

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