奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1149)

2019-10-16 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「世界が完全に思考停止する前に(森達也著・角川文庫2006刊/2004版の文庫化)」を読んだ。森達也(もりたつや1956生れ)氏は、立教大学卒で、TVディレクターとしてドキュメンタリーを制作し、評価を受ける。その後、ドキュメンタリー映画を監督するなど、活躍してきた。代表作はオウム事件をテーマとした“A(1997)”である。-------

作家としても活動されており、著書のアマゾンレビューに“時代遅れな左翼の断末魔”と書かれて気にされている処などは当っているのかなと思わせる。-----

「世界が完全に思考停止する前に」の巻末解説は夏目漱石とイギリス好きの姜尚中が森達也を評して“日本のジョナサンスウィフト(ガリヴァ―旅行記)”だと書いて今時数少ない超良識派の絶滅危惧種の知識人であるととても褒めている。-----

話題は“9.11”から始まるアメリカのイラク攻撃から暗い話ばかりが取り上げられている。日本はその国際的行動がアメリカ追随で、森達也氏からすると良心を売り渡してしまっているのではと、とても深刻に心配をするのである。そして日本国内を見渡すと、オウム事件の解明と理解も進まず、隠蔽しているだけの貧相な社会だけが浮き彫りになっており、森達也氏の失望感は大きいようだ。雑多な2000年代前半の話題が収録されているが、平成天皇を思いやった話とか、戦後直ぐの国鉄下山総裁事件の話は面白い。下山事件の真相については森達也氏は次のように書いている。“占領軍謀略組織の介在は間違いない。民間右翼組織や背後に蠢く政治家や政商たち、労組内の反組合分子に当時の国鉄幹部たちが、結果として此の事件に加担した。”、“GHQの指示で大量の国鉄労組員解雇に踏み切った下山総裁を逆恨みした左派グループによる謀殺との見方は、世相に深く刻印された。”この許せない社会悪を礎として成立した現代日本社会に私たちは生きているのだと知らねばならないと、強調しているのだ。“下山総裁を葬った悪の側なのだよ”分かっているのかと。

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