北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「2100年の世界地図~アフラシアの時代(峯陽一著・岩波新書2019刊)」を読んだ。峯陽一(みねよういち1961生れ)氏は、京都大学(文学部史学科)卒、同大学院(経済学研究科)博士課程単位取得退学し、現在は同志社大学(グローバルスタディーズ研究科)教授である。------
「2100年の世界地図」はタイトル通りの意味であり、約100年後の世界の主に人口分布を中心に社会の変容を予測した本である。誰でもが予想するようにアジアアフリカ(アフラシア)の人口が増えて、欧米などの先進国は現状維持か人口ジリ貧と云った傾向を示すのである。それをこの本では恭しく学術的に真面目に書いてくれているので余りびっくりもしないし、驚きも感じない結論が並んでいるのである。-----
章立てをみても粗すぎて内容を概括出来ない。それだから、読んでも余りシックリこない。あとがきには峯陽一氏の言葉で次のように書いている。“私の専門は元々はアフリカ地域研究である。それなのにアジアを語り、世界を語り、自分が専門的に学んだわけでもない学問分野に不法侵入して、あれこれ評価を下す本を書いてしまった。学問の分業のルールからすると禁じ手かもしれない。それでも大きな話を語らねばならない気がした。日本のアジア地域研究とアフリカ地域研究には、活発な交流が見られない。世界の接続性が飛躍的に強まっているのに自分たちの専門領域に閉じこもり続けるとしたら、これまでの個別の研究に豊かな蓄積があるだけに、とても悲しく勿体ない事だと思う。”、“世界秩序の前提が崩れ、百年の計が求められている今だからこそ、既存の学問の分業を乗り越えて地球を俯瞰する仕事が、もっとあってもいいはずだ。”