炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

懐かしい干物のアジ

2010-10-03 16:03:54 | Weblog
親しい知人夫妻を誘って三浦半島をドライブした。
ある漁港の側で魚料理の昼食を摂ったが、やや新鮮さにかけるのが気になった。不満を残しながら散策していると新鮮さを売り物にする魚屋が数軒あった。その中でアジの干物が輝いて見え、しかも格安な感じの値段だったのでこれを求めた。
この干物を帰宅してから早速焼き、それだけをメインディシュとして食卓をかざってみた。なんとまことに懐かしい味わいのあるアジであった。そう、これこそが三浦半島特産のアジの干物である。地元で獲れたアジをすぐに開いて一日か二日干した程度であるから新鮮なみずみずしい味がする。スーパーで買い求めた干物のアジは、冷凍されてノールウェイあたりからとどくであろうから、全く別の味覚である。
懐かしさに嬉しくなる干物のアジであった。

しかしながら、この懐古をいざなう干物のアジは、いま若い世代からはうとんじられるのではないか。その理由は、新鮮な干物であるだけに特有な生ぐさい臭気がしつこく残るからである。特に最近の家屋のように機密性が高くなると臭気の残存期間は長引く。味がよかったことより、その臭気の故に敬遠することになると思わざるを得ない。特にマンションのような集合住宅では左右の住居と上階から文句をいわれることになりそうである。
スーパーの干物ならば、その心配はあまりない。ということは三浦半島の干物のアジはそれほど魅力的でないことになる。炉端で焼こうものなら、若者は逃げ出すかも知れない。そのとき、この干物のアジが賞味できる世代で一杯やろうではないか。
(農)