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オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

日生劇場の『ヘンゼルとグレーテル』

2019-06-17 06:47:02 | オペラ
6月16日(日)の昼に日生劇場でフンパーディンクのオペラ『ヘンゼルとグレーテル』を観る。日生名作シリーズの一環なので、子供向けかもしれないが、ご贔屓の伊藤達人が出演するので観にいく。13時30分開演で20分の休憩を挟み、終演は15時40分頃。場内はほぼ満席で、子供連れもちらほらいた。子供に見せることも考慮してか、日本語による翻訳上演。訳詞は違和感なくうまく訳してあり、歌詞もよく聞き取れた。日本語字幕も同時に出ている。日生劇場は演劇主体の劇場で残響時間が短いから、歌詞が聞き取りやすい反面、音が響かない感じがするから、オケも歌手も欠点が目立ちやすくシビアに感じるかも知れない。僕はこういう残響の短い劇場のオペラが好きだ。

最初の序曲が鳴った時からオケの音に力がなく、特に金管で欠点が目立った。若手指揮者の角田鋼享で新日本フィルだが、面白みのない演奏。一般向けは15日と16日の二日だが、そのほかに4回の青少年向け招待日があり、愛知と宮城でも公演をするようだ。歌手陣も若手中心で、ヘンゼルの山下裕賀、グレーテルの鵜木絵里は二人ともよかったが、グレーテルの声は少し細すぎるように感じた。父親役の小林大祐が良く声が出ていて存在感を見せた。僕が御贔屓にしている伊藤達人は魔女役で、初音ミク風の髪型で網タイツにビキニ姿まで披露し、大きなお腹を揺らして歌っていた。日本人には珍しく美しいテノールの声で、今回の公演でも声を堪能できた。

日本人だけでなく、一般論としてテノールは背が小さいのが相場だが、伊藤は背も高く立派な体形で歌う珍しい存在。なぜかお婆さん役が多いが、「ラ・ボエーム」を歌うのを見てみたい気がする。

歌は良いとして、演出と振付がどうにも良くない。広崎うらんによる演出・振付となっていたが、一幕の踊りなどは見ている方が恥ずかしくなるようなバカみたいな振付で、こんなのを子供たちに見せたらダンスが嫌いになるだろうと思った。これならば、高校の文化祭の踊りでも見た方がまだましだろうと思わせるレベル。なんでこんな人が採用されるのだろうと疑問に思う。これならば手堅い演出家に頼んで、どこかのバレエ団に出演を依頼した方がよっぽどましだと思った。

いろいろと不満はあったが、まあ、伊藤達人の歌を聴けて満足。早く終わったので、買い物して家で夕食を食べる。クジラの刺身、冷ややっこ、大根おろし、親子丼、お酒は純米吟醸酒。

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