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「グレイテスト・ショーマン」を観る

2018-12-22 20:17:49 | 映画
衛星放送の録画で「グレイテスト・ショーマン」を観る。2017年のアメリカ映画で、サーカスで有名な興行師P・T・バーナムの伝記映画。ミュージカル仕立てになっている。バーナムは、3つのリンク(円形状の演技場)を持つリンク・リンク・リンク・サーカスの元祖と知られる人物で、アメリカではかなり有名な人物だ。

映画の題名にもなったが、「ペーパー・ムーン」という歌があり、その中の歌詞にも『バーナムとベイリーの世界』という歌詞で登場する。「紙の月」という「作り物の世界」というようなコンテキストでの登場だ。バーナムもベイリーもサーカスの世界の有名人だ。

しかし、バーナムがサーカスばかりかというとそうでもなく、いろいろな演劇や見世物なども興行していた。そういう意味では大興行師として有名なわけだ。確かな記憶ではないが、「1946年のジーグフェルド・フォリーズ」という映画があって、その一番最初の導入部の部分で、天国のジーグフェルドが登場して昔を語るのだが、シェイクスピア、P・T・バーナムの後に続く人物として、ジーグフェルドが紹介される。まあ、そういう位置づけとしてとらえられるのかも知れない。

この映画では、大サーカスの話は殆んど出ずに、初期のフリークスと呼ばれる奇形の人間を中心として見世物と、上流に受け入れられようと、オペラ歌手のジェニー・リンドのコンサートツアーの話を中心にまとめている。嘘ではないが、かなりいびつな見方だろう。ここに登場するフリークスたちは、かなり明るく陽気だが、実際にはもっと暗いものがあったに違いない。トーキー初期の映画「フリークス」を思い出す。ジェニー・リンドの歌う場面もあるが、オペラ歌手的ではなく、イメージが崩れる。

サーカスがメインになっても、こうした奇形的な見世物は続き、サーカスの横で演じられる附属的な「サイド・ショー」へと変わった。この辺りはブロードウェイのミュージカル「サイド・ショー」にも描かれている。

話しはこの映画に戻るが、音楽は「ラ・ラ・ランド」と同じ人のようだが、同じようにつまらないというか、ミュージカル向けの曲とはなっていない。また、台本も陳腐。監督も腕が悪いと来ては、まったく良いところのない映画だった。せめて19世紀後半の時代の雰囲気でも出ていればよかったのだが、このスタッフでも期待しても無理だろう。

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