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ミラノのブレラ絵画館を見る

2017-07-09 12:24:47 | 美術
ローマやフィレンツェほどではないが、ミラノにも結構古いルネッサンス絵画が揃っている。ミラノで一番絵を集めているブレラ絵画館で半日ほど見て回る。一階は美術学校になっていて2階が美術館の入り口。建物には美大の学生たちが沢山いて活気のあるムード。この美術館には初期ルネッサンスから現代までの絵画が展示されているが、中心となっているのはルネッサンス期のミラノ(ロンバルディア)派と、ヴェネチア派の作品。ミラノにはダ・ヴィンチが長くいたためか、ダ・ヴィンチそっくりの画風で描かれたロンバルディア派の作品も多い。ヴェネチア派ではティントレット、ティツィアーノなどが揃っている。

イタリアのルネッサンス絵画は、殆んどがキリスト教主題なので、代表的な主題を一通り頭に入れておくと、描かれた主題が簡単にわかる。主題の「出る順」は地方や時代によって異なるが、大きく分けると、キリスト主題、マリア主題、その他聖人主題に分かれる。これらを組み合わせたもの多い。

キリスト主題では、生誕、東方三賢人の礼拝、エジプト逃避、嬰児虐殺、ヨハネによる洗礼、寺院での博士との問答、最後の晩餐、ユダの接吻、ゴルゴダの丘へ向かうイエスとヴェロニカ、磔刑、十字架降下、復活、我に触れたまうことなかれ、などなどがある。

聖母マリアの方も、誕生、修道院入り、アンナ訪問、受胎告知、結婚、ピエタ、被昇天、戴冠などが代表的。

聖人では、聖痕を持つアッシジのフランチェスコ、洗礼者ヨハネ、ライオンのとげをとったり石で胸を打つヒロエニムス(ジェロームとの表記になっている)、香油壺を持っているマグダラのマリア(聖母マリアは赤い服の上に青のケープだが、マグダラのマリアは青い服の上に赤いケープをまとい髪を下ろしていることが多い)、拷問に使われた車を持って現れるカタリナ、二本のカギを持つピエトロなどの出現頻度が高い。

さて、ブレラ絵画館にはマンテーニャの「死せるキリスト」もある。これは横たわるキリストを足の側から描いた作品で、短縮法の代表作として大抵の美術の教科書に載っている。そのほかにもラファエロの「マリアの結婚」は有名だ。これはヨゼフが花の咲いた枝を持ち、他の男はくじに使われた枝を折ったりしている絵だ。カラバッジョも一枚あるので、ファンには見逃せない。そのほかアイエツの「接吻」は人気のある作品で、ガイドブックには、当時人気のヴェルディのオペラの衣装をそのまま描いているとあったが、「イル・トロヴァトーレ」かなと、一瞬考えたが、後でゆっくりと調べることにした。

美術館を出るとちょうど1時ごろだったので、美術館のそばで食事をする。美術館のそばの路地ではずらっとレストランが並んでいて、結構おいしそうなところもある。慎重に写真メニューのない店を選び、ブルスケッタと魚貝のフリットと白ワインで昼食。おいしいが日本人には量が多過ぎた。

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