劇場と映画、ときどき音楽と本

オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

紀尾井ホール室内管弦楽団定期演奏会

2020-09-12 10:46:57 | 音楽
9月11日(金)の夜に紀尾井ホールで、室内管弦楽団の定期演奏会を聴く。19時開演で、20分の休憩をはさみ、終演は21時10分ごろ。客席は千鳥格子の配列で、入場時には体温チェックと手のアルコール消毒を求められた。千鳥格子だが、客席は埋まっておらず、8~9割程度の入りという感じ。

本来はオーストラリアからリチャード・トネッティが来日して、ハイドンとモーツァルトなどを演奏する予定だったが、コロナ禍で来日ができなかったため、指揮者なしの弦楽のみのオーケストラで、グリーク、マーラー、ゴリホフ、ブラームスを演奏した。内容が大きく変わったので、観客が入らなかったのも仕方ないかも知れない。

弦楽だけのオーケストラは、ヴァイオリン12人、ヴィオラ6人、チェロ4人、コントラバス2人という24人の編成で、紀尾井ホールぐらいの比較的こじんまりとしたホールでは、十分な音量で聞かせることができる。管楽器や打楽器が入っていないので、弦楽だけのピュアな響きで、聴いてみるとこれもなかなか良いという感じだった。

コンサート・マスターの玉井菜採がリードして演奏したが、指揮者がいないのを感じさせないような、見事な演奏だった。前半のグリークの「ホルベアの時代から」はノルウェイらしい民族音楽的な響きがあり、楽しい作品。続くマーラーの交響曲第10番の第一楽章というのは未完の作品で、死後に編曲されたもの。まあ、マーラーらしいといういうか、不協和音が多くてちょっと疲れるが、管がなくて絃だけなので、まあ何とか聞けるという印象。

後半のゴリホフはアルゼンチンの作曲家らしく、初めて聞く。『ラスト・ラウンド』というボクシングを題材にした作品で、オーケストラが左右に半分づつ分かれて、試合をするような雰囲気で演奏する。雰囲気は、なんとなくタンゴのピアゾラを髣髴とさせる曲調だった。最後は、ブラームスなので、心地よく聴いて終了。

弦楽オーケストラというのはあまり聞いた経験がなかったが、なかなか良いもんだと認識を改めた。

9時を過ぎたので、飲食店にはもう入れずに、家に帰って食事。ニース風のサラダと、ドイツ風のソーセージ。飲み物はスペインのcavaとした。

東京都は、やっと飲食店の10時閉店規制が解除されるようでありがたいと思った。ニュースを見ると、クラシック音楽会や歌舞伎などの声を出したりしない興行は、定員100パーセント以下まで認めるというので、これで千鳥格子の席配列もなくなって、やっと日常が戻ってくると感じる。

しかし、歓声を上げないような公演というのをどう線引きするのかは結構難しいかもしれない。アイドルや人気バンドのコンサートはどうなのだろうか。落ち着いたミュージカルはよいとしても、ロック・ミュージカルなどはどうなるのか。線引きの基準を示せと言われると、結構難しいという気がした。