ダムに沈む日本一短いトンネル ~吾妻線・樽沢トンネル

2009-02-14 23:59:50 | 鉄道紀行&乗り物



 EF55-1を見送ると、自分もまた、10時45分の大前行きに乗って、再び吾妻線の乗客になりました。でも、今度は途中の川湯温泉駅で下車して、徒歩で日本一短い樽沢トンネルを目指します。窓の開けられるクハ115系に乗れたので、先頭車両(3両編成の3両目に乗車)がトンネルに入る瞬間を撮れました~♪


 川原湯温泉駅は、吾妻線では唯一の木造駅舎になる。ダムの底に沈む駅だから、放っておかれたのかもしれない。ところどころにアルミサッシが入るなど、改装されてはいるものの原型を保っている。1952年に「八ツ場(やんば)ダム」が計画され、それから半世紀以上の年月が過ぎた。皮肉なことに、ダムが木造駅舎を守ってくれたことになった。思ったより多くの人が、この駅で下車した(去年は数人足らずだった)。


 早速、樽沢トンネルに向かって国道145号線を歩き出した。歩道に雪が残っていて歩きづらかったから、委細構わず車道を歩いたけれど、交通量が多くて危険・・・歩道以外に峡谷内に遊歩道もあるのだが(左写真に写っている橋もそう)、冬季で閉鎖されている?上に工事中とのことで、どこもかしこも立ち入り禁止のロープが張られていた。どうせダムに沈むのだからと、遊歩道の整備もやめてしまったのかもしれない。トンネルまで歩いている内に、この美しい峡谷を水没させることについて、だんだん腹が立ってきた(昼どきで、お腹が空いてきたせいもある)。
 計画から半世紀が過ぎた現在、水需要もかなり変化した。「いらない公共工事の東の横綱」と言われているこのダムを造らせているのは、実をいうと(工事によって多少の恩恵を受けるけれど)地元の人々ではない。一都五県がこの事業に参加しており、未だに東京都は「水不足を解消させるために必要」と言い張っている。都民の一人として恥ずかしい限り。

 2009年9月、民主党政権が誕生してダム建設工事を中止することを明言し、地元や周辺自治体から抗議の声が上がっています。泣く泣く立ち退きを余儀なくされた人にとってみれば当然の話です。だが、ここは原点に返って、美しい吾妻渓谷がダムの底に沈むことから免れたことを考えようと思います。数件に減ってしまった川湯温泉郷を最盛期の姿に戻し、ダムに翻弄されてきた人々にお詫びをし、暮らしを保証しながら町を再生すること。それが民主党に課せられた義務であり、国民全体の利益に繋がることだと信じます。建設費以上のお金がかかったとしても(ダム建設推進派は公共工事につきものの「追加工事費」を勘定に入れていないが)そうした出費は無駄ではないし、現況復帰工事や、建設中の橋梁などいらなくなったものの解体工事費だけをとっても、地元にかなりのお金が還元されるのではないでしょうか。架け替えがかなり進んでいるJR吾妻線については、日本一短い樽沢トンネルのある旧線(現吾妻線)を川湯温泉行きの観光鉄道にするなど、いろいろ知恵を絞って欲しいものです。


千尋の谷・・・ではないけど急峻な渓谷。鉄道&道路建設は大変だったと思う。

      

歩くこと約30分・・・トンネルの下に立ちました。感激~♪

 ところどころ、ベンチがあったけど、雪に覆われていたので、立ち食い!(高崎駅構内の「駅弁フェア」で購入。最初に買おうと思った駅弁は、目の前で最後の一個を買われてしまった。牛にするか蟹にするか迷ったが、蟹が勝利。三陸の「かにめし」だけど、大変美味だった。値段も、920円と千円を切っているので優秀!


駅弁を5分で平らげ、待つこと約20分・・・予想に反して下り列車が先にやってきた!


(右)川湯温泉駅で列車がすれ違うだろうから、次は上り列車だと思って逆のアングルで待ち構えていたら、続けざまに下りの特急「草津」が来た。何時に列車が着くか、時刻表で調べればすぐわかるのに、こういうところの詰めが甘い・・・。
(左)7分後に上り列車が来た。アップ(望遠157mm相当)で狙う。樽沢トンネルは全長7mなので、全長20mある車両の三分の二がトンネルからはみ出してしまう。頭隠してお尻隠さず・・・かな? 


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