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ブラームス交響曲第1番 ~『のだめカンタービレ』第8話

2006-12-05 20:55:35 | 音楽の森


歌え、歓喜の歌を~♪

Brabvo 


 早くUPさせたくて、深夜2時ぐらいに書き終わったのですが、交響曲第1番の第4楽章が「唐突に終わる」と感じる理由をうまく言い表わすことができませんでした。素人ならではのもどかしさでしょうか。まめちゃんがくれたコメントを読んで、「あっ、なるほど。そういうことだったのか」と思ったので、一部加筆しました。


 千秋がR☆Sオケ初演のメイン曲に選んだ、ブラームスの交響曲第1番ハ短調作品68。
 千秋自身がコミックの第7巻で、「完成までに20年を越える歳月を費やしたといわれる交響曲。1867年にカールスルーエにて初演。ベートーヴェンの『第九』に続く作品という意味で、ビューローに『第十』と評された。オレがSオケでやりかけて、途中シュトレーゼマンに取り上げられた曲・・・」と語っている。
 ベートーヴェンの後継者に恥じない曲を書けるようになるまで交響曲を発表しないと公言していたブラームスが、長い歳月をかけて遂に完成させた交響曲第1番は、だからこそ『ベートーヴェンの第十交響曲』と呼ばれ、千秋の師匠のシュトレーゼマンも、「ブラームスをなめてんじゃないですヨ、ブラームスは交響曲という大きな物語の中で、無駄な時間は一切使っていないんですヨ」と、千秋を叱咤激励した。

 フランソワーズ・サガンは「ブラームスはお好き?」と言ったけど、ブラームスはどんな人だったのでしょう? 茂木さんの文章を引用させていただくと、「ドイツ・ロマン派の巨匠。師匠シューマンの未亡人クララに恋し続け、生涯結婚しないという人生を送った。大きなうねりのように流れていく旋律の根底には、いつも熱すぎる情熱があふれている」
 ということで、千秋が真正面から向きあう音楽として申し分のない相手ですね。
そうした事情を全く知らなかったのですが、『ブラームスの交響曲第1番』のCDをなぜか持っていました(サー・ゲオルグ・ショルティ指揮/シカゴ交響楽団)。
 おそらく、私の「恵」ちゃんが勧めてくれていたのでしょう。最近は殆んど聴いていなかったのですが、第1楽章の入りが特に好きだったのと(オーボエのソロも聴けるし)、第4楽章の唐突な終わり方がいつまでも頭の中に残って、ブラームスの魂とベートーヴェンの魂が邂逅している様子が目に見えそうなくらい、感情が高まることがある曲で、警察病院にお世話になったときも、HDDプレーヤーにブラームスの「1番」を入れて、ベッドの上で聴きました。
(ブラームスが現れる前の、第2楽章で眠ってしまったけど・・・)

 追記
『ブラームス交響曲第1番』第4楽章は、4分足らずで終わってしまう第3楽章の4倍以上長いのですが、主題が何度も何度も繰り返されながらどんどん盛り上がっていくうちに「終わるな、終わるな」と語りかけている自分がいて、山あり谷ありのスリリングなせめぎあいがまだまだ続いてほしいと思ったところで、「でも、ここで終わるのです」といわんばかりにまとめに入る感じが、「唐突」だと思うのかもしれません。
娘さんの「ブラームスの三連符ね」という台詞、プロの卵は、私や佐久間さん(及川さん、いつもながら面白いですね)と違って、ある意味冷静に対処しないといけないんだと思いました。感情に溺れすぎても演奏できませんもの。特に和を大切とする弦楽器担当だったら・・・

絵になる二人のアイコンタクト

 
 『のだめカンタービレ』第8話は、『水戸黄門』をHDD録画した後で、第7話が入っているDVD-RWに録画したのですが、どういうわけか「タイムシフト録画」とかいうボタンを間違えて押しちゃった~~。押したら最後、解除が全くできません。オロオロする哀れなニワトリを尻目に、ドラマはどんどん進んでいく・・・〈取説〉を引っ張り出して解除するまで、4分経過してしまいました。まったく、もう・・・

ジャングルジムと三日月が似合う「くろきん」


 ドラマはコミックと同じように進んでいきます。すずらんの鉢植えを抱えて現れた黒木君に、本当の〈のだめ〉は変態なんだと忠告するのが、千秋でなくて真澄チャンだった以外は全く同じ展開でした。くろきんはリードを水につけすぎてコンクールで失敗、清良も寝違えて1位を逃し、菊池君の三人のGFの修羅場まで原作どおり・・・

月に誓う・・・


 のだめの甲斐甲斐しい「介助」もあって(溺れそうになったが危機一髪、壮絶うなぎセールも良かったワン。そんなのだめの姿を見て、黒木君はのだめの心に入り込む余地がないことに気づくのですが・・・)、千秋は見事にR☆Sオケの初演を成功させます。くろきんのオーボエが天上の調べを奏で、清良のヴァイオリンが歌い、真澄チャンのティンパニーが鳴り響く・・・。オーボエ協奏曲とブラームスの交響曲1番、素敵でした。
 そして、のだめの睡眠療法が効いたのか、来週、千秋が飛行機に・・・?

孤高のオーボエが天上の音楽を奏でる・・・

シュトレーゼマンからもらった時計を使って・・・

 本日、玉木&上野さんは、ビストロSMAPにも出演していましたが、上野樹里さんは〈のだめ〉が入ったまんまというか、地もこんな感じなのでしょうか?(将来は松野明美さんみたいになると言われていた) いっぽう玉木宏さんは、豪快な食べ方も好感度たっぷりのナイスガイ(ほんとにいい人と言われてた)。はっきりいって、番組進行役の五人より断然格好良い! トシ子も完全に真澄チャンと化しました

最後はやはり・・・


『のだめ~』オーボエ指導した茂木さんの本 ~にわとり散財記

2006-12-02 23:56:06 | 音楽の森





 明日どうしても仕事に出なければいけなくなり(といっても、半日ですが・・・)、ふてくされた?トシ子は、(いつもだったら、〈らんぷ亭〉の牛丼で済ますところを)駅地下はG&O(牡蠣専門店?)で、やはりメインディッシュは牡蠣のピラフにすれば良かったかな?と、隣の人のお皿を横目で眺めつつ、ランチ・ペペロンチーノ(コーヒー付で1080円)を食したら、「話せばわかる、でなくて、食えばわかる人」と言われる本性を遺憾なく発揮して、すっかり満ち足りた気分になりました。
(だから、のだめが簡単に餌付けされるのも当然だと思う・・・)

 食後の運動を兼ねて、駅の本屋さんにぶらり立ち寄ると、sabatora さんのおかげで知ることができた茂木大輔さんの『くわしっく名曲ガイド』が、「さわりで聴く~」「15分でわかる~」シリーズと一緒に平積みされていました。トシ子は、はっきりいって、これらのお手軽さわり本が大嫌いなのだが、茂木さんの本は同じ系列では語れない真に優れた入門本でした。sabatora さんが紹介していた『オーケストラは素敵だ ~オーボエ吹きの修行帖』も、文庫本の一角に平積みされていたので、手にとってみたのですが、こりゃ、面白い。そして名文です。その昔、山下洋輔さんの『ピアニストを笑え!』を読んだときと同じ衝撃が走りました。後で調べてみたら、茂木さんは既に10冊以上の著作を出版されていました。私が知らなかっただけ。しかも、例にひいた山下洋輔さんや筒井康隆さんとも親交がある方でした(『オーケストラは素敵だ』の解説は筒井康隆だった)。もしかして、その昔、日比谷野音で聴いた『ジャズ大名』フェスティバルにも、茂木さん、出演されていたりして・・・

 嫌なことがあると、食べたり買ったりすることで憂さを晴らすのは、何もトシ子に限った話ではないと思いますが、ついでに、大槻ケンヂの『グミ・チョコレート・パイン~パイン編』(三部作完結編が今月待望の文庫化)に、(『芋たこ~』の田辺聖子さんが序文を寄せてます)杉浦日向子さんの『風流江戸雀』『江戸アルキ帖』、『零戦は、いまも世界の空を飛ぶ』を一緒に買いました。たちまち、樋口一葉が財布から消えてしまいました。こんな調子で散財してると、2月の引落としに耐え切れないかもしれません(トシ子は借金だらけ?)。でも、散財はまだ続く・・・

 家に帰ると、金聖響さんのベートーヴェン『交響曲2&7番』とツィマーマンのピアノによるラフマニノフ『ピアノ協奏曲1&2番』が届いていました。これに気を良くしたトシ子は、「今注文すれば明日届く」という言葉にまんまとひっかかり、マルタ・アルゲリッチが「のだめ」だった頃?の演奏(版権が複雑でお蔵入りになっていたとか・・・)が収録されたCDなどを「まとめ買い」してしまいました。明日、家に帰ってきた頃には届いているでしょう。ふふふ。本当は笑っていられないのですが(不要のDVD&CDを売らないと・・・)、こうなってしまったのは全て日曜出勤のせいだと、責任転嫁して、明日は明日の風が吹くというわけです。
(かなり、やけっぱち)

 茂木さんの『くわしっく名曲ガイド』は、『のだめカンタービレ』などでクラシック音楽に興味を持ち始めた方にとって、最強の虎の巻であり、最良のガイド本になるでしょう。ただし、「誰それの××年の演奏を聴け」とか、「このCDが録音が良い」といったことは一切書かれておらず、茂木さん自身も基本的に「どんな演奏でも構わない」とおっしゃっているので、この本を読んでこの曲が聴いてみたいと思ったら、どれにしようか迷わず、あてずっぽうで買ってしまうのが「吉」でしょう。

 第1章では、TPO別に名曲をセレクト。時刻別オススメ、季節別オススメ、恋愛状況別オススメ、子供に聴かせたい曲・・・といった感じ。読んでるだけでも楽しいです。
 第2章は、「血液型・星座別 あなたの運命の作曲家はこの人だ!」。これは軽~い遊びのつもりで読むべし。主要作曲家の名前を楽しく覚えられるだけで儲けものでしょう。
 第3章はオケの学習です。オケで使われる楽器をセクション別に擬人化して解説、指揮者の秘密や謎に、答えてくれます。「なぜ、オーボエがオケの花形なのか?」「なぜ、オケのチューニングがオーボエで行われるかのか?」は、くろきんファンは必読!です。
 第4章は、第3章まで進んできた読者のために、楽器別に曲を紹介しています。「コントラバスを聴きたいとき」どんな曲を聴くか、知りたいと思いません?
 第5章では、茂木さんが個人的に好きな曲が登場します。バッハから山下洋輔まで範囲は広く、オーボエものが多いのも(当然ですが)嬉しい限り。
 第6章~第8章は、かなりコアな内容になります。第6章ではハイドンの交響曲全曲を、第7章ではドヴォルザークの「新世界」を、第8章ではバッハの「マタイ受難曲」を取り上げます。特に、ハイドンはノーマークだったので、鑑賞の手引きになりそうです。
 それでは、明日に備えて、なさい・・・


のだめ第7話アンコール ~『のだめカンタービレ』舞台裏?

2006-12-01 22:55:00 | 音楽の森


 リードを削る・・・


 昨日のショックがまだ抜けないので(といっても、大した内容ではありませんが)、気分を変えて、『のだめ~』&福士さん記事を・・・

 トシ子のお師匠さん、 sabatora さんのブログ、 『猫のため息』(ここからも行けます!) によると、黒木君のオーボエ指導は、N響主席オーボエ奏者の茂木大輔さんを中心に、池田昭子さん、ドイツから帰国中の町田さん(まるでクロキンだね)、さらにソリストの古部&最上さんの五人体制!で臨んでいるとのこと。
だからでしょう、達彦さんから泰彦君へ、見事な変身です!

いぶし銀のくろきんが・・・

おにぎり食べて(味噌汁はまずかった)・・・

ピンクのモーツァルトになる・・・


 さて、ここが肝心なのですが、sabatora さんが紹介してくれた茂木大輔さんのブログ、『もぎ議録』(ここからどうぞ) が実に面白く、ドラマの舞台裏を知る楽しさに加えて、プロの演奏家の生活を垣間見ることで、『のだめ~』の世界をよりリアルに身近に感じることができ、さらに、個々の音楽を聴いたり演奏するときの「ここがポイント!」みたいことを、素人にわかるように教えてくれるなど、日々のブログを読んでいるだけで、クラシック音楽への造型と愛情が自然と深まっていく・・・という優れものです。

 面白かったのは、オケを良く知る人にとって、「オーボエは、場合によってはオケ全体の音色を決めてしまうくらい派手な楽器である」と認知されていること。私は「オーボエ好き」ですが、普通の人なので、「オーボエは地味というか、同じ木管楽器でもフルートやクラリネットよりも知られていないだろう」と考えていました。だから、「オーボエは地味な楽器って、思われがちだけど・・・」という黒木君の発言も、「普通」に受けとめていたのですが、茂木さんのブログを読んで、この発言には「含み」があったことを初めて知りました。さりげない部分ですが、意外と重要だったりして・・・
 【茂木大輔:もぎ議録】「オーボエは地味な楽器?」の記事は、 →ここをクリック

 『のだめカンタービレ』公式HP(→ここをクリック)で、第8話の予告編がUPされていますが、どうやら黒木君、原作どおり、すずらんの鉢植えを恵ちゃんにプレゼントするみたい・・・
 千秋の「目を覚ませ、黒木!」の声にも耳を貸さずに、ひたすら「のだめる」姿が見られるのは嬉しいなあ~~、「純情くろきん」ですよ~♪
〈フォトギャラリー vol.16〉で、リードを削る黒木君と、持ち物チェック(鉢植え付)の写真が見られます

 その『のだめ~』ですが、プロデューサーの清水一幸さんが、「劇中で流れる音楽にも細心の注意を払っていただけたら嬉しい」という内容の文章を、新聞に寄稿されていました。次から次へ流れるクラシック音楽は、私が最初に注目した部分だったのですが、膨大なクラシックの楽曲の中から、ストーリー展開やキャラクターの心情に合った曲を選び出すのは、大変な作業だったと思います。でも、その甲斐あって、ドラマがより生き生きしてきました。クラシック音楽で台詞をつけたアニメーション映画『ファンタジア』にも負けないぐらい、画面と音楽がシンクロしていると言ったら、褒めすぎでしょうか? 
 HP上の〈Special〉をクリックして〈ドラマ使用曲リスト〉に入ると、どんなシーンでどんな楽曲が使われたかという情報が、細かく掲載されています。クラシック音楽への造詣を深めるためにも、これを利用しない手はありません。現在、第5話までUPされているので、時間のある方はどうぞご覧下さい・・・
(そうそう、私が知りたかった曲は、リムスキー=コルサコフ「熊蜂の飛行」でした!)

そしてトシ子も、あっという間に〈のだめ〉ました・・・


オーボエ協奏曲ハ長調 K.314 ~『のだめカンタービレ』第7話

2006-11-28 02:29:39 | 音楽の森


ときめきの アルバム抜けて 現れし
   オーボエ王子の 晩秋に映え


 〈あきざくら〉さんの和歌と共にオーボエ王子様の登場です。一人静かに日本酒の杯を傾け、入念にリードを削る姿はストイックな求道者を彷彿とさせますが、のだめに恋した途端、色気のある「ピンクのモーツァルト」を吹くようになり、千秋を驚かします。残念ながら、ドラマの中では一部省略されてしまいましたが、コミックだと黒木君は、「オーボエがいかに繊細な楽器なのか」を、愛しの〈すずらんの君〉に説明します。


「オーボエはリードが良くないといい音が出ないけど、天候なんかでも左右されるから、湿度によって変形しちゃうんだ、凄く手がかかるし、いつも冷や冷やだよ。完璧なリードなんてない、なんてよく言われるけど、その意味じゃ不完全な楽器なんだ」
「不完全・・・」
「あ、でも、それを含めて好きなんだよ。リード作るの大好きだし、手のかかる子ほどかわいいというか・・・」
「のだめ、オーボエの音、大好きデスよ」

 すずらんの花言葉は、〈純潔〉〈清らかな愛〉。
「君は、すずらんの花に似たり」というのは完全な誤解だけれど、先ほどの「どうしてオーボエに魅せられるのか」という彼自身の説明を聞けば、彼が〈変態〉のだめを好きになったのも、至極当たり前のような気がします。千秋にとっても(ハリセンにとっても)、のだめは手のかかる、でも自由自在によく歌う、オーボエみたいな女の子なんでしょうね。



「ボクのオーボエを聴いてほしい。いや、君のために吹く」


 モーツァルトは、「フルートが好きではなかった」そうですが、『フルートとハープのための協奏曲』、4曲の『フルート四重奏曲』、『フルート協奏曲第1番K.313』などを作っています。千秋たちR☆Sオーケストラが演奏することになる『オーボエ協奏曲ハ長調K.314』は、フルートでも演奏されることがあり、その場合は『フルート協奏曲第2番ニ長調K.314』と呼ばれます。また『フルート協奏曲第1番』をオーボエで演奏した場合、『オーボエ協奏曲へ長調K.313』と呼んで区別しています。「K.313 はオリジナルがフルート」、「 K.314 はオリジナルがオーボエ」と、覚えておくといいかもしれません。
 以上、ホリガーさん演奏による『オーボエ協奏曲』CDの解説で勉強しましたが、私は第二楽章が特に好きです。福士さん演じる黒木君を見たら、この曲、いよいよピンクに染まってしまいました。来週は、いよいよブラームスの『交響曲第1番』を千秋が指揮するのでしょう。楽しみですね!

 

最後は千秋様で・・・

  kiki さんがおっしゃるように、『おなら体操』じゃなくて、ここは是非とも愛らしい『もじゃもじゃ組曲』(谷岡先生と1~11番まで、ハリセンと感動の12番を作る)を聴いてみたかったです。


ベートーヴェン交響曲第7番 ~『のだめカンタービレ』メインテーマ 

2006-11-27 01:27:30 | 音楽の森


楽しい音楽の時間デス・・・


 東京新聞の日曜版に、ドラマ『のだめカンタービレ』で主人公の千秋真一を熱演している玉木宏さんのインタビューが掲載されていました。「クラシックに夢中」と題字された記事を読んでみると・・・

 玉木さんは、このドラマに出演するまではクラシックとは縁遠い生活でしたが、撮影に入ってからはすっかり夢中になってしまい、今ではポップスを全く聴かなくなるほどクラシックに愛情を感じるようになったそうです。玉木さんの中にいた千秋が目を覚ましたのか、千秋を演じている間に音楽心が触発されたのか・・・
 楽器の経験が全くなかったので、プロの演奏家の下で猛練習を重ねました。「たとえ演奏できなくても、手の位置、弾き方などは、しっかりやっておきたかった」という言葉から、福士さんと同じ役者魂を感じました。ピアノへの憧れが強いので、今回の役が終わったら、どこかで基本から「穴埋め」したい、ときっぱり言う玉木さん、どうやら半分ぐらい千秋の血が入ってしまったようですね。ちなみに、①幸せを感じるときは→「焼肉を食べているとき」 ②俳優になっていなかったら→「今となっては考えられない」 ③無人島にひとつだけ持っていくなら→「女性。子孫は残していかなければ」

 ベートヴェンの『交響曲第7番イ長調作品92』は、千秋がシュトレーゼマンの代役で始めてタクトを振った思い出深い曲です。原作だと、その後Sオケの指揮者として演奏したナンバーは同じベートーヴェンでも『交響曲第3番〈英雄〉』に変更されましたが、留学前のR☆Sオケの公演で『7番』を演奏しているので、やはりこの曲が彼の「運命」の曲だと思います。トシ子は、オケの生演奏で(社会科実習&音楽学習)確か3、5、6番の第一楽章を聴いたことがありますが、『第九』以外のベートーヴェンの交響曲を持っておらず、『第七番』は、第二楽章しか知りませんでした。でも、改めて聴いてみると、第一楽章から非常に素晴らしく、この先、お気に入りの一曲になること間違いなしです!

 お師匠さんに『第七番』のお勧めCDを教えてもらったのですが、銀座山野楽器に(のだめの着ぐるみが写真撮影禁止!の貼り紙付けて、ガラスケースに展示されていました。せこ~い)なかったので、何を買おうか考えました。『のだめオーケストラ LIVE!』CDの隣に置かれていたライブCDが、SACD/CDのマルチディスクなのに1550円と激安だったので、これを買うことにしました。それから、もう一つオマケに、ベートヴェンと同じ古楽器を使い、彼の指示通りに演奏されたCD(これも1300円と安い)を買いました。指揮者はノリントンという人でした。



(左)は、斬新なノリントン指揮/ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ(古楽器)
(右)は、クライバーの幻のライブ盤。こちらも走る走る回る回る情熱の嵐!

 今日の『N響アワー』では、N響ファゴット主席演奏者の岡崎耕治さんをスタジオに迎え、実際にファゴットを演奏してもらったり、モーツァルトの『ファゴット協奏曲』などを聴いて、弦楽器だとチェロ&コントラバスに相当する楽器を魅力的に紹介していました。その後の芸術劇場では、何と、指揮者の金聖響さんが出演して、(トシ子はさっぱりわからなかったのですが)最近の傾向である「ピリオド奏法」についてレクチャーしてくれました。そして、「ピリオド奏法」の第一人者であるアーノンクールの指揮によるモーツァルトの『交響曲第39番、40番、41番』が、0時30分まで演奏されました。

 動いたり、喋っている金聖響さんを見たのは初めてでした。
(これこれ、動物じゃないんだから、何という言い草するの!)
 ひと目惚れです。格好いい人って、やはりいるんですね。千秋が少し丸顔になったら、こんな感じになるんじゃないかと、妄想しました(初登場で王子様ランキング1位?)。顔だけでなく、バリトンの声も魅力的で、「これは絶対に生演奏を聴きにいこう」と、心に誓いました。

 金聖響さんも言ってましたが、ノリントンは「ピリオド奏法」側の人のようです。ヴィブラートをしないのが「ピリオド奏法」の特徴らしいのです。付け焼刃にもならない知識なので、間違っているかもしれませんが、当時の楽器を使って作曲者のスコアどおりに演奏することは、音の原理主義といってもいいでしょう。でも「ピリオド奏法」は、「当時と同じ音楽を再現すること」を目的としているわけではありません。なぜなら聴かせる相手は18世紀の人々ではなくて、現代の観客なのだから。金聖響さんは、「20世紀には20世紀のスタイルが、21世紀には21世紀のスタイルがあると思う」と言っていました。私は彼の言葉を聞いて、千秋がここにもいると思いました。金聖響さんの『7番』、聴いてみたいです。

のだめオケの『第7番』。1&4楽章だけでなく、通しで聴きたい!!
(ドラマ最終回エキストラ応募しました・・・)


オーボエ王子様! ~『のだめカンタービレ』第6話

2006-11-21 22:14:31 | 音楽の森


のだめ増殖中・・・


 まったく・・・もう・・・黒木君は「千秋」じゃないと、わかっています。あくまでもサブキャラ。なのに、いつ彼が画面に登場するのか、そればかりが気になってしまって・・・
私の「福士病」はこれほど重症だったのかと、改めて思い知りました。千秋を慕う真澄の気持ちがよくわかる? いやはや、なんとも、すでに私が「ピンクのモーツァルト」だったんですね~ こりゃ、ダメだ・・・

 48分間待たされました。もしかしたら今日は登場しないのでは?という思いが一瞬脳裏をよぎったとき、桃ヶ丘音楽大学に三人の道場破り(じゃありません)が現れて・・・
 トシ子は思わず、『純情きらり』第135回の、つむじ風と共に達彦さんが戦地から帰還したときの映像を思い出しました。でも、そこにいるのは痩身の日本兵ではなくて、オーボエ王子様(髪の毛、あれからあんまり伸びていませんね)でした!
「行こうか?」という声と、爽やかな笑顔の何と懐かしいこと・・・
 のだめ風にいえば、「ほんと~に、おしさしぶりで~~~すぅ、先輩!」

 『のだめ~』の記事では、表題に曲名を綴っていこうと思ったのですが、第6回のメインの曲は、先週と同じ『ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番(第1楽章)』。今度は、2台のピアノで演奏されました。
 千秋のラフマニノフに刺激を受けたのだめは、寝食&風呂を忘れてピアノに没頭、「千秋の音がまだ耳に残っていて、千秋のように弾きたい」。千秋はそんなのだめをレッスン室に連れていき、「オケのパートは自分が弾くから、おまえは普通にピアノを弾いてみろ」と言う。とりつかれたように演奏を始めるのだめ。普通に考えれば滅茶苦茶だったが、千秋は(指揮者魂に火が点いて?)「ちゃんと合わせてやるから、オレの音を聴け」と、あの日シュトレーゼマンが振った音楽を再現してみせる。こうして、2台のピアノによる一見変わった、しかしコンチェルトと呼ぶにふさわしいラフマニノフのピアノ協奏曲がレッスン室に響き渡っていった・・・

 ドラマは原作の要所要所を忠実に再現していますが、このシーンもコミックに劣らず「ぐっ」と来る名場面になったのではないでしょうか? 個人的にも、ラフマニノフの2番第1楽章は、人によって演奏時間が9分30秒から13分超と多彩なのですが、私は(のだめのように)第1楽章を速いテンポで演奏する方が好きです。
 ドラマで千秋を演じている玉木さんは、原作の千秋とはルックスも雰囲気も違いますが、なかなか堂々とした千秋ぶりで、私は違和感なく楽しませてもらっています。
(昔から熱心なファンには、私の言葉は説得力に欠けるかもしれませんが・・・)
 キャラクターの中で一番原作に近いのはティンパニーの女王「真澄」ちゃんかなあ?
(真澄役=小出恵介さんのインタビューは、 →ここをクリック
 そうそう、ドラマで爆笑した回転寿司のエピソード(回る回る『白鳥の湖』、ネタだけ食べる食べる『アメリカン・パトロール』)、コミックでも腹を抱えて笑いました。

武士の佇まいは「いぶし銀のモーツァルト」


 オーボエ奏者の黒木君(くろきん)は、原作だと、6巻の最後に登場します。
(熟読コースでは、まだ第3巻に入ったところなので、黒木君の影も形もありません)
ドラマの黒木君は、まだ二言三言しか喋っていません。ク○真面目な男の子ってな感じですが、達彦さんと同じ「純情きらり」な性格なんだよね。オーボエに音楽に、そして恋にも・・・

のだめに染まって「ピンクのモーツァルト」に・・・


 ヴァイオリン=清良小町、炎の龍太郎、おかっぱ頭、チェロ=ミルヒ2号(菊池)、オーボエ=野武士くろきん、ティンパニー=もじゃもじゃ、コントラバス=桜、そして我ら が千秋+(今のところオマケの)のだめ・・・
 新しいオケは、さながら「音楽の梁山泊」といった様相を呈してきましたね。108人まで集める? その中で、福士さん演じる「ピンクのモーツァルト」に、まずは一票です!


最後はオーボエ王子様


2台のピアノのためのソナタと、ヴァイオリン・ソナタ〈春〉 ~『のだめカンタービレ』居残りレッスン

2006-11-19 23:54:30 | 音楽の森


こちらは、野に咲く〈のだめ〉じゃなくて、薊(ノアザミ)!

ヴァイオリン・ソナタのところ、ちょっと言葉足らずだったので、書き足しました

 金曜日は結構歩いたんだけど、筋肉痛が来ないのは?
 日頃の肉体労働の賜物でしょうか? いきなり目覚めてしまったニワトリは、この調子で鍛錬を積めば、この秋だったかテレビで見て大いに憧れた、北アルプスは燕(ツバクロ)岳の稜線を歩く日も夢ではない!と喜んでいるのですが、歩き出してしばらくしてお尻が痛くなったことを考えると、アルプス・デビューは持病と化した痔(だと思う)を治療してからでないと、無理かもしれません。また病院に行くのは嫌だけど、雲の上を歩いてみたいなあ~。あっ、その前に、真夏にまとまった休みを取れる日が来るのだろうか・・・

 お師匠さんを始め親しい人にはうち明けているので、ご存知の方もいらっしゃるかとも思いますが、とうとう(そうなることは見えていましたが)、土曜日の帰りに『のだめカンタービレ』の原作コミックを買ってしまいました(まずは1~4巻まで)。
「いや~~、買って良かったあ~~~」
 というのも・・・

「カプリチオーソ カンタービレ♪~」
 今だから言えるのですが、実をいうとトシ子は、「カンタービレ」の意味を知りませんでした!(えっ?)
 こんなこと、今さら誰かに聞くわけにはいかないし、かといって、「Yahoo のだめ特集」を見ても、まさか意味を知らない人がいるとは思わなかったのでしょう、「のだめ誕生秘話」はあっても、「カンタビーレ」の解説はない・・・
 で、原作を読んで納得です。ゴミの中で美しく響くピアノ・ソナタが、千秋とのだめの出会いで、「カプリチオーソ カンタービレ♪~」だったんですね~

 浴槽に長いこと浸かれず、皆と温泉に行っても「カラスの行水」で一番先に上がってしまうくせに、誰よりも多くお湯に行くトシ子ですが(のだめと一緒で毎日入らなくても平気)、今日みたいに雨の降る寒い日に入るお風呂は極楽極楽、もう最高です。
 窓を開けて雨音に耳をすませば、一昔前のポップスのように、ショパンのピアノの音が聴こえてくるではありませんか(それにしては♪ざんざか♪降ってますが)
 非常に影響を受けやすい体質のニワトリは、このところ頭の中だけは「千秋化」したのか、ショパンの『前奏曲第15番〈雨だれ〉』を口ずさみながら(嘘ウソ)、ご機嫌でお風呂から上がったのですが、「なんだなんだ、このバスタオルのごわごわした肌触りは~! まるで、雑巾で体を拭いているようだ・・・」

 ここのところず~~~と、映画ソフトや音楽CD、それを視聴するためのハード機器を購入するために全力を出し切っていたため、洋服はおろか、バスタオルの一枚も買わなかった生活のツケが、こんなところにも現れていました。普段は〈のだめ〉なので、「いくらごわごわしてようが、乾けばいい」と、気にも止めなかったのですが・・・
(いや、トシ子の部屋はのだめと違って綺麗ですよ。ほんと!)
「明日、ふかふかのバスタオルを買ってこよう! いや、千秋ならバスローブだな・・・」

(ところで、達彦さんは『練習曲第12番〈革命〉』を弾いたことがあったっけ?)
 話があちこち飛びますが、それは、BGMが〈雨だれ〉から〈革命〉に曲が変わったからで? 今は〈木枯らし〉が流れていて、次の〈別れの曲〉が最後の曲になります。それまでは、明日に備えてモーツァルトの『オーボエ協奏曲』を聴いていました・・・

 コミックはまだ1巻しかきちんと読んでいないのですが、ちらっと4巻まで眺めたところ、ドラマの方もだいたい原作に添って流れているようです。そこで、勘違いと寝過ごして見られなかった1~2話を復習するというか、補習を受けて、明日の第6話に備えることにしました。
(3話は一応見たし、4~5話は、mamemo さんのブログを読んで学習しました。ここから先は、『2台のピアノのためのソナタ』を聴きながら、書こう~と)

 ごみの中から聴こえてくる『悲惨』じゃなくて、ベートーヴェンのピアノソナタ『悲愴』が縁で、千秋とのだめはモーツァルトの『2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448』を連弾することになるのですが、皆さんご存知のように、モーツァルトは2台のピアノソナタを1曲しか作っていません。この曲はモーツァルト自身が高度な腕を持った女の子と弾くために書いたとも言われていて、とてもとても難しい曲だそうですが、できる者同士が弾くと、それこそ天上の音楽のように美しく聴こえる曲です。私が持っていたCDは、千秋=アレクサンドル・ラビノヴィッチ、のだめ=マルタ・アルゲッチという、非常に「リッチ」で「イッチ」な(意味不明)息の合ったデュオですが、千秋とのだめの演奏を聴いてみたいですね~。特に第2楽章のアンダンテが好きです。

 ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ『第5番ヘ長調作品24〈春〉』は、まずは峰のヴァイオリンとのだめのピアノで、続いて千秋のヴァイオリンにのだめのピアノ、さらに(のだめが風邪ひいて)峰のヴァイオリンと千秋のピアノで演奏されますが、全部で10曲書いたヴァイオリン・ソナタの中でも、9番の〈クロイツェル〉と5番の〈春〉が有名です。
 特に5番は、第一楽章でヴァイオリンが「ツィーンツィーン」(ひどい表現ですが)と駆け上がっていくところなんか、本当に春を思わせる調べで、大好きな曲です。ギドン・クレーメルのヴァイオリンとマルタ・アルゲリッチのピアノで聴いてみました。峰君に言わせれば「光る青春の喜びと稲妻・・・」、のだめ風だと「お花畑・・・」、う~ん、いいな~

 ところどころ爆笑しながら、まるで音楽を聴くように読んだ『のだめカンタービレ』第1巻、読み終わった途端に音楽が聴きたくなって・・・とても楽しかったですウ~~
(ときどき〈のだめ語〉になりますが、気にしないでください)
 いよいよ明日、オーボエ王子様の登場です。今から胸がワクワクしますね・・・



モーツァルト 2台と四手のためのピアノ作品集(左)
ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ第4&5番(右)


  のだめカテゴリーを新たに作りました!


ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 ~『のだめカンタービレ』第5話

2006-11-14 23:59:10 | 音楽の森


花束抱えて君の元へ・・・


 次から次へと流れてくるクラシック音楽に耳を傾けながら、「こんなに気持ちがいいなら、最初から見ればよかった~」と思った。ああ~、放送日を間違えて第1回目を見逃さなければ・・・のだめと同じ〈いじけ癖〉が恨めしい・・・あいや~~
(大丈夫、再放送があるさ! それに来年からアニメと、そして続編も?)

 実をいうと、私のクラシック体験は、子供の頃に両親が情操教育用に?買ってくれた2枚組×12巻のレコードが全てだった。確か、『子供のためのクラシック』とか、そんな題名がついていたと思う。第1巻がブラスバンドとアメリカ民謡、第2巻が小品名曲とシューベルトの歌曲といった具合に、一巻につき楽曲と声楽のレコードが1枚ずつ入っていた。また、楽器の種類やオケの編成、クラシック音楽の歴史や音楽家について、丁寧な解説書がついていて、重宝したものだった。愛聴していたのは第1巻のブラスバンド(好きだったのは、『アメリカン・パトロール』『軽騎兵序曲』『ラデッキー行進曲』)と第12巻の交響曲(ベートーヴェン『田園』『第九』、モーツァルト『交響曲第40番』)。あとは第7巻?の「室内楽とセレナーデ」から『弦楽セレナーデ』だったり、『くるみ割り人形』の「花のワルツ」や『アルルの女』の「メヌエット」、それに『口笛吹きと子犬』や『シンコペーション・クロック』や『愉快なかじ屋』といった小品だった。
 のだめのBGMは懐かしさを運んでくれる。二度と聴くことのできないこれらのレコードを聴いているような気分になれる。ほら、あのミツバチがぶんぶんいってるような曲は、なんて名前の曲だっけ? シューベルトの『魔王』が、ホラー映画のように子供心に怖ろしかったことまで、思い出してしまった。

 たった1週だったけれど、ちょうど今回が最初のパートの「まとめ」だったせいか、千秋(玉木宏)と、のだめ(上野樹里)と、シュトレーゼマン(竹中直人)のポジションをだいたい把握できた。来週からは新展開といった感じでもあり、それほど「遅れ」を感じずにドラマについていけそうだ。特に、ただのスケベ親父だと思っていたシュトレーゼマンに大ロマンスがあって、思い入れの曲がラフマニノフの「ピアノ協奏曲2番」だったとは・・・感無量です。

 『ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番』といえば、ジョーン・フォンティーンとジョセフ・コットン主演の映画『旅愁』(50)。特に、第2番第2楽章とクルト・ワイル作曲、ウォルター・ヒューストン唄の「September Song」が有名だが、ラフマニノフを意識するようになったのは、実はこの映画ではない。

 のだめとは違うけれど、クラシックおたくな女の子がいきなり「良かったら聴いてみてください」と貸してくれた3枚のCDの中に、ラフマニノフのピアノ協奏曲があった。  僕は、第1楽章が終わり第2楽章に入って、ピアノとフルートによる主旋律が流れてきたときの衝撃を今でもはっきり覚えている。心の奥底から音楽がじわじわと湧き上がってくる感じだった。そしてそれが体全体に広がっていくのと同時に、CDを貸してくれた彼女の顔が目の前に浮かびあがったのだ。こんな体験は生まれて初めてだった。

 CDを返したときに、特にラフマニノフの2番が良かったことを伝えたら、ひどく彼女は喜んだ。「このラフマニノフの2番は、自分が持っているラフマニノフの中で、一番お気に入りの演奏なんです」と言って、心底嬉しがった。今思うと、まるで〈のだめ〉のような表情で・・・
 それから、彼女は次々とCDを貸してくれた。どれもこれも素晴らしかった。ダンボール何箱も持っているCDの中から、とっておきの演奏を聞かせてくれていたので、当然といえば当然の話だが、そうして僕は、ロストロポーヴィッチやギドン・クレーメルを知り、ハインツ・ホリガーのオーボエや、今井信子のヴィオラを愛するようになった。彼女が最も好きだったのは、ウラジミール・ホロヴィッツのピアノと、ヘルマン・プライの『冬の旅』だった。ヘルマン・プライは、一緒に日本公演を聴きにいった。

 彼女は市民オケに入っていて、定期的に演奏会に出演した。フルートが彼女のパートだったが、第2ヴァイオリンやヴィオラを弾くこともあった。OGとして大学のマンドリン・オーケストラでマンドリンも弾いていた。一度だけ彼女のマンドリンと、僕がギターを弾くことを条件に、ビヴァルディの『四季』から「冬」を合奏した。それほど難しい曲じゃないので、練習すれば僕でも何とか主旋律を弾くことができた。それから僕の大好きなピアノ・・・ピアノは得意ではないと言っていたが、ショパンの『華麗なる大円舞曲』を聴かせてもらったときは、胸が高鳴った。
 彼女とは本当にいろいろなことを話したし、一緒に映画を見たり、音楽を聴きにいった。僕は彼女に手紙を100通書くことにした。99通目の手紙を投函したのは、10年以上も前になる。100通目の手紙は出していない。それを出したら、永遠にさよならを告げることになると思ったからだ。くもの糸ほど細かろうが、どこかで繋がっている想いを断ち切りたくない。

 彼女がフルートを吹いていた『チャイコフスキー交響曲第1番~冬の日の幻想』と、『シベリウス交響曲第1番』は、お手本として貸してもらったCDに匹敵する演奏を見つけることができたけれど、『ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番』だけは、未だにあのとき聴いた演奏を凌駕するものに出逢えない。思い出の中で昇華されてしまったならば、それを凌ぐのは至難の業だろうが、ツィマーマンが『2番』(指揮は小沢征爾)を演奏しているので、近日中に聴いてみようと思う。千秋が弾くラフマニノフは、テレビドラマといえどもかなりの感情が込められていたし、タクトを振るシュトレーゼマンからも気持ちをもらって、なかなか良い演奏だったんじゃないかな。何しろ、堤が切れたように、昔のことを一気に思い出してしまったのだから・・・こんなことを書いてしまったのは、皆、あのシュトレーゼマンを演じた竹中さんのせいだ!

 千秋&のだめ、そしてシュトレーゼマン。彼らはどこを目指してどこに向かっていくのか? どうやら、福士サンの黒木君が出演しなくても、目が離せなくなってしまった模様・・・
(眼をこらして予告編を見たのに、黒木君いませんでしたね・・・)


 左上は、黒木君(ホリガー)の『オーボエ協奏曲 K314、K313』。右上は、同じく『オーボエ四重奏曲 K370』と、『アダージョとロンド K617』 『オーボエ五重奏曲 K416』(以上モーツァルト)。下は、黒木君(ホリガー)と達彦さん(ブレンデル)による『オーボエとピアノのための3つのロマンス』その他、オーボエとピアノのための作品集(以上シューマン)。

PS.11月16日(木)に次週の予告が公式HP上にアップされるそうです。黒木君の動向がわかるかな~?


オケへの招待 ~のだめ予習と福士誠治妄想館

2006-11-10 23:57:00 | 音楽の森


 純金製のクリスマス・ツリー。お値段は?
(台の大きさが直径40cmぐらい。答えは最後に・・・)


 累計1600万部にも達したという原作漫画は横目で見ただけだし、ドラマもたった1回しか見ていないのだけれど、『のだめカンタービレ』を読んだり見たりすることで、敬遠されがちだったクラシック音楽に興味を持つ人々が増えてくれたとしたら、それはとても喜ばしいことだと思うのです。

 映画にしても、サイレントから現代まで様々なジャンルがあって、どれが一番だとは決められない良さがあるように、音楽も千差万別、ラモーンズのようなスリーコード・ロックが流れればたちまち頭に血が上るし、フル・オーケストラの交響曲でも聴こうものなら痺れまくってやっぱり興奮するし、これが室内楽だったりすると、あまりの心地よさに速やかに眠りにつくニワトリでした・・・
 意表を突かれてすっかり心を奪われてしまったのが、十年ひと昔前に聴いた日本女子大マンドリン部によるクリスマス・コンサート。マンドリン・オーケストラ(マンドリン&マンドラ&マンドロン・チェロ&コントラバス&ギター+打楽器)の演奏を聴いたのも初めてでしたが、例のトレモロ奏法が何ともメルヘンチックな音を奏でてくれました。クリスマスソング・メドレー(特に ♪そりすべり♪ )や、ラヴェルの『マ・メール・ロワ』などは、まるでマンドリン・オケのために作られたといってもいいくらい、しっくり似合っていました。

 〈福士誠治〉見たさに『のだめ~』を見始めるというのは、あまりに動機が不純といわれてしまうかもしれませんが、朝ドラ関係だと『風のハルカ』の水川あさみさんが主要メンバーで出演していますね。来週までに追いついておきたいので、しっかり予習しておきましょう!

ドラマ『のだめカンタービレ』の公式HPは、 →こちらをクリック
アニメ『のだめカンタービレ』の予告HPは、 →こちらをクリック
Yahoo『のだめカンタービレ特集』は、 →こちらをクリック

 福士さん演じるオーボエ奏者、黒木泰則は、Yahoo『のだめカンタービレ特集』のキャラクター紹介蘭に載ってます(なるほど・・・)。
 前にもちょこっと書いたけれど、オーボエの音色が好きなんです。福士さんは、どのようにアプローチしていくのでしょう? 耳から?それとも目から? (達彦さんの)ピアノのときのように、オーボエ吹いてるビデオを延々見ながら役作りをしていったら・・・

 オーボエ好きな私は、ここで、イメージを喚起する格好のCDを見つけました!
『モーツァルト・オペラ・デュオ』です。N響主席フルート奏者の神田寛明さんと、都響主席オーボエ奏者の広田智之さんの二人が、たった2本の管楽器でモーツァルトの定番オペラ『魔笛』『フィガロの結婚』『後宮からの誘拐』『ドン・ジョヴァンニ』を演奏してしまうという、(『芋たこ』風にいえば)蛇足芸。でも、これが実にいいんだなあ~。曲名を読んでるだけでも楽しい「私は鳥刺し」「復讐は心の地獄のように胸に燃え」「自分で自分がわからない」「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」「恋とはどんなものかしら」「お手をどうぞ」「わたしはあなたのもの」が、優雅に奏でられます。

 『純情きらり』の頃は、ことあるごとにピアノ曲を聴いて【松井達彦演奏会】を妄想したものですが、今度はこのデュオと、オーボエ四重奏曲&オーボエ協奏曲を聴いて、まだ見ぬ黒木泰則の「いぶし銀のモーツァルト」と「ピンクのモーツァルト」を妄想しましょう。
 そうそう、達彦さんといえば、ベートーヴェンやショパンを得意としていましたが(『のだめ~』原作者や千秋のこだわりもやはりベートーヴェン、それも『交響曲7番』ですね)、モーツァルトの『ピアノ協奏曲24番 ハ短調 K491』も、達彦さんっぽいと思うのですが・・・話題のピアニスト、マルティン・シュタットフェルトの演奏(ブルーノ・ヴァイル指揮/北ドイツ放送交響楽団)で、秋の夜長に思い切りピアニスト=松井達彦を妄想しているニワトリです。
『 第九』の季節も近づいて、年末年始はクラシック音楽にじかに触れる絶好の機会といえるかも。さあ皆、『のだめ~』を見たら、その勢いで、オケを聴きに行こう!

黒木泰則のオーボエと松井達彦のピアノ?
(モーツァルトを演奏するのは、この上ない喜び・・・)


  純金製のクリスマスツリーのお値段は3000万円だって


『純情きらり』は終わったけれど・・・お楽しみはこれからだ!

2006-11-08 23:39:58 | 音楽の森




少し気が早いけど・・・


 夜明け前の目黒通りを駅に向かって歩いて行く。HDDプレーヤーから、マデリン・ペルーの最新アルバム『Half The Perfect World』から、1曲目の軽快な ♪ I’m All Right (悲しみにさようなら)♪ が流れている。天気予報どおり今朝は相当冷え込んだけれど、頬と指先に感じる冷気が気持ちを引き締めてくれる。
 庭園美術館(1月14日まで〈アール・デコ・ジュエリー〉展を開催中)を横目に通り過ぎた頃、スローテンポな2曲目の ♪ The Summer Wind ♪ に変わった。すると、スキップに近かった足取りが(この曲を聴いていると、心がウキウしてきて、自然と歩き方がミュージカルになってしまう・・・)、気持ちはそのままリズムだけが変化して、心なしか歩く速度もゆっくりになった。二十一世紀のビリー・ホリディとも呼ばれている彼女のハミングや笑い声が、「そんなに急いでどこへ行くの?」と語りかけてくれたような気がした。ピアノとアコースティックギター、そしてテナーサックスのソロが、今年最初の冬の朝を一瞬夏の日に変えてくれたように。
(酔っ払いが千鳥足なら、これがほんとのニワトリ足?)


 世界は、彼女のアルバムタイトルにもなった ♪ Half The Perfect World ♪ のように、ちょうど半分だけ完全だ。そうした現実とどうやって折り合いをつけるかが、幸福になるための秘訣だと思う。より良く生きるとは、半分に過ぎない幸福を少しでも多くの人と分かちあうこと。(急速にアメリカ化して)広がりつつある「格差社会」は、富める者も貧しい者も共に不幸にする。小泉改革が犯した最大の罪だ。

 スタートを2時間早めることができたおかげで、徹夜覚悟だった仕事も1時には終わることができました。でも、国立まで帰れる電車がなくなってしまったため、警備員さんの了解をもらって従業員食堂で仮眠することにしました。
 遠足気分でコンビニの夜食を買い込み、一人深夜番組(『デス・ノート』のアニメ版と〈劇団ひとり〉のバラエティをやっていた)見ながらカウチポテト(死語?)していると、それまでの重労働を全て忘れてしまいました。それから睡眠薬代わりに本を読みだしたのですが(テーブル=ベッド。枕=ペーパータオルの束。毛布=ウィンドブレーカー。これが意外と快適)、あっという間に眠りの王国へ・・・

 家に帰ってから「だらしなく」なりました。朝食後しばらくして(今朝の『芋たこ~』はBSで見た)朝寝をしたのは良かったのですが、お昼に起きて、昼食後しばらくしてまたもや昼寝。いくらウシ年でも(残念ながらトリ年ではない)食っちゃ寝、食っちゃ寝で合計6~7時間も寝てしまったら、本物の牛になっちゃっうよ~

 既にご存知の方も多いでしょうが、岡崎で(キヨシだった)井坂俊哉さんのトーク・ショーが開かれ、福士誠治さんも飛び入り参加して、非常に盛り上がったそうです。
 井坂さんは、井筒監督の『パッチギ2』の主演に抜擢され(何でも主演の兄妹役には2300人の応募があったとか・・・妹役は中村ゆりさん)、「純情キヨシ」ファンとしては、嬉しい限り! 『パッチギ2』には西島秀俊さんも出演されるとのことで、『純情きらり』は終わってしまったけれど、こうして『純情きらり』男衆が元気に仕事をしていることがわかると、なぜかこちらも元気になりますね。

 そして福士ファンに最大の朗報が、黒木泰則役で『のだめカンタービレ』にレギュラー出演する、という知らせでしょう。画像に飢えていた人々にはもちろん、のだめファンからも期待の声が高まっているそうです。私は原作を知らないのですが(ドラマもほんの少し見ただけ・・・)、何でもオーボエ(トシ子の好きな楽器だ)奏者の黒木君にはコアなファンがいるということで、なるほど、そうしたキャラをあの福士さんがどう演じるのか、これは非常に楽しみなことになってきましたね。福士さん登場は第6回目からとのことですが、きっと『貞操問答』の杉山とも、『純情きらり』の達彦さんとも違った顔を見せてくれると思います。乞うご期待!

マデリン・ペルーの『Half The Perfect World』についての情報は、ここをクリック

『14才の母』に出演中、井坂俊哉さんの『パッチギ PART2』のNEWSは、ここをクリック

『のだめカンタービレ』の公式HPは、ここをクリック

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