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アナログ・レコードの誘惑

2006-10-25 22:49:39 | 音楽の森


♪回る回る、レコードは回るよ♪
(かけているのはドナ・サマーのエロい『愛の誘惑』)


 銀座山野楽器に寄ったら、アナログ・レコードの新譜!が並んでいました。リマスタリングされ、180g重量盤LPとして甦った復刻盤9枚です。たまらず、カーティス・フラーの『 BLUES ette 』と、アート・ペッパーの『 Surf Ride 』を買ってしまったよ~

 先日のアナログ試聴が大いなる刺激になったことは間違いないのですが、実は7月にアナログ・プレーヤーを衝動買いしていました。デノンから発売されたばかりのDP-300です。
 『BEAT SOUND』というコアなROCK雑誌の編集長が、「本機でアナログ再生をスタートする入門者は、充実した音楽生活が送れるに違いない」と書いていたので、迷わず購入しちゃいました。4万3000円という価格も魅力的! フォノイコライザーを内蔵しているので、ライン出力を使ってアンプと接続すれば、即アナログレコードを聴くことができます。

 最初に聴いたのは、生まれて初めて買ったレコード『小さな恋のメロディ』のEP盤。A面に「メロディ・フェア」、B面に「若葉の頃」を収録。驚いたのは、擦り切れるほど聴いたレコードから、意外なほど分厚く、情感豊かな音が出てきたことでした。これはノスタルジアなんかじゃない。サントラCDと聴き比べると、明らかにアナログレコードの方が気持ちが良いのです。CDの利点は「シャリシャリ」「ブツブツ」言わないだけで、音自体が薄くて、なんかがっかりしてしまいました。

 数日後、せっかくレコード・プレーヤーを手に入れたのに、手持ちのレコードが少ないため、宝の持ちぐされになっていたニワトリに同情してくれたお隣さんが、自慢のコレクションからフランク・シナトラ、ダイナ・ショア、ヘレン・メリル、レッド・ガーランド、ナナ・ムスクーリなどの貴重なLPを持ってきてくれました。あまりの良さにぶっ飛びました。CDのリスニング環境はかなり改善された筈なのに、普通のMMカートリッジ、内臓フォノイコライザー、ビデオデッキと同じ貧弱な音声ケーブルで聴くアナログの音の方が心地良いなんて・・・
 最新のCDを聴くと、確かに最初は凄いと思う。でも、それが持続しない。いつまで聴いていても楽しくて、集中力が途切れないのは、アナログレコードの方でした。

 アナログレコードはCDよりも手がかかる。でも、レコードをジャケットから取り出してターンテーブルに乗せるまでのプロセスまで楽しい。一連の作業を「儀式」と呼ぶ人もいるくらいだ(中古レコードを手に入れるところから始めるとさらに・・・)。友人がサイフォンで淹れるコーヒーの楽しさについてブログで書いていたが、アナログレコードを聴くことは、サイフォンでコーヒーを淹れることに似ている。初日だけかもしれないが、復刻盤LPの売れ行きは上々とのことだ。これを機に、レコード・ブームが起こってくれると、嬉しいのだが・・・トシ子さん、次は真空管アンプですか?


30cmLPジャケットはアートです!
(『Blues ette 』は、小さいCDも音は悪くないのですが・・・)


右は25日発売されたマデリン・ペルーの新譜『 Half The Perfect World 』
(21世紀のビリー・ホリディという言い回しは、もはや不要!)
左は繊細かつ大胆な上原ひろみの『スパイラル』。元気が出るピアノトリオ。
この2枚、アナログで聴いたら、失神?失禁?それとも昇天?


本日休診 ~インターナショナル・オーディオ・ショウ

2006-10-22 23:56:29 | 音楽の森


  丸の内郵便局は消えゆく昭和の最後のともし火?


 10月20~22日の週末三日間、国際フォーラムで毎年恒例の「インターナショナル・オーディオ・ショウ」が開催されました。土曜日に抜糸を終えたにわとりトシ子も、最終日に行ってきましたよ。良い音を聴きに!


ポストの上の天使



赤レンガと四色タクシー


 好景気とやらが全く実感できない今日この頃、オーディオ業界も先細りの一途を辿っているのでしょうか、今年のオーディオ・ショウは、去年に増して秋風が吹いていました。6年前は大盛況だったのに・・・
 音楽配信の時代を迎えて、いよいよCDが売れなくなったそうです。より高音質が謳い文句のSACDやDVDオーディオもさっぱり普及せず、この先どうしたらいいのかオーディオ業界全体が行き詰まっていると、知人が嘆いていました。
 これと同じことが「ビジュアル」の世界でも起きつつあって、ハイビジョン放送を見る人は増えないし(私もそうですが・・・)、ようやくDVDが定着した矢先に次世代DVDといわれても・・・しかも統一規格ができなかったこともあって、テイク・オフしたものの、まだ様子見といった感じで、従来のDVDソフト市場まで冷え込んでしまったようです。

 

往年の名機パラゴンに対して、この顔はロボコン?


 JBLが創立60周年記念に発表した渾身のスピーカー、DD66000エヴェレスト。
一本300万円もする高級スピーカーですが、その音を聴いて、久し振りに興奮しました。最も信頼を寄せている評論家の小原由夫氏 のハンドリングで聴かせてもらいました。

 「レコード演奏家」という言葉を聞いたことがありますか?
 ミュージシャンがコンサートやライブで演奏活動をするように、音楽ソフトを再生させることをいいます。最高の「レコード演奏家」は、最良の演奏を聴かせてくれるだけでなく、例えば80年前のSPレコードを再生して、その時代のその時間に連れていってくれます。二度と聴くことができない演奏を「生」で聴く快感と感動。小原さんのオーディオにかける想いと再生にかける情熱(技術)は半端ではありません。同世代(この世界では最年少?)ということもあって、一番自分と波長が合う先生なのです。

 小原さんが選んだのは、UA 『 cure jazz 』から「I’ll be seeing you」、サロネン指揮『はげ山の一夜』(原曲版)、アンナ・ネトレプコ『花から花へ』からヴェルディのアリア、ブランフォード・マルサリス『ブラック・タウン』から怪獣ゴジラへ捧げた「ブラックジラ」、上原ひろみ『スパイラル』から「ラブ&ラフター」、そしてジャック・ディジョネットがトニー・ウィリアムスのために結成したトリオ・ビヨンドによる『サウダージ』から「スペクトラム」。DD66000は見事に歌ってくれました。


 
 ところが、上には上がいるもの。尊敬している音の達人が所属する〈ナスペック〉のブースにあった、本日最高の音を出していたスイス生まれのダールジールというメーカーのアンプ。ただそこに音があった。この実在感は驚異的。これでDD66000を鳴らしてみたい?(意外と平凡だったりして・・・)。左のプリアンプが約300万円、右のパワーアンプが241.5万円。カタログが品切れだったのか、メモしたのですが書いた字が汚くて読めませんでした・・・



 オーディオの楽しみはいろいろあると思いますが、(トランジスタ・ラジオでだって、音楽は楽しめる)生演奏にどこまで近づけることかなあ~自分の場合は。JAZZならスウィング、ROCKならシャウト、ボーカルなら酔わせてもらわないと・・・それを考えると、アナログレコードと真空管アンプの組み合わせが一番かも?
 今年も小原さんは、最後の1時間にステラボックス&ゼファンのブースで、アナログレコードをかけてくれました。正に至福の1時間。アルバムと曲名をメモするのも忘れて酔っ払っちゃった~。印象的だったのが、荒井由実『ミスリム』から「生まれた街で」。73年のユーミンだ。ベース=細野晴臣、キーボード=松任谷正隆、バックコーラス=シュガーベイブ(山下達郎)という夢のような録音。
 ここで使ったロルフ・ケリヒのアナログプレーヤーはDD66000が2本買えるお値段なので、夢のまた夢だが、エステティックスのフォノイコライザーは十分手が届く値段で、まだ試作品とのことだが、真空管とデジタルを組み合わせた同社のハイブリッド・アンプが大変魅力的だった。どれぐらいの価格になるのだろう? 写真は最後の演奏。50年前のLPが信じられないような音を出すんだよ。猫が踊っている?ジャケットが見えるけれど、本当にニワトリ踊りしそうになったほど、トリオの見事なスウィングでした。



 アナログはやはり、素晴らしい!
 CDが音楽配信に代わってしまうなら、SACDを普及させるよりも、ノウハウを知り尽くしているアナログレコードへ回帰して欲しいと、切に思いました。
 レコードは確かに、聴けば聴くほど磨り減っていくし、傷も増えていく。でも、こうしたマイナス面は、そこから発せられる音の豊かさと比べれば全然問題じゃない。
 LPレコードの復刻盤・紙ジャケットCDが密かなブームだそうだが、30cmLPの復活までいって欲しいものだと、夢想しながら家に帰りました。





 コーフンしたトシ子は夕食後、今日の音を耳が覚えている間に、1時間半くらい音楽に耳を傾けました。我が家は、まだまだだな・・・(そのうち、トシ子の部屋を公開しちゃおうかな?)。ダールジール欲しい! どこかに、お金落ちていないかなあ~
 おしまい


いつも懐に音楽を・・・♪

2006-10-08 23:55:36 | 音楽の森


 文庫本とコンパクト・オーディオ・プレーヤーは、旅行の必需品だ。『深夜プラス1』(ギャビン・ライアル)や『パリ時間旅行』(鹿島茂)のように、毎回必ずバッグに入れていく本もあれば、今回は旅先でこれを読んでやろうと、「決め打ち」する場合もある。(それが外れた場合は悲惨だけど)
 それと同じように、今回の旅行ではこれが聴きたいと、CDを5~6枚持っていく。お気に入りの音楽をBGMに、訪れた街を歩くのが好きだ。帰ってきてから同じ曲を聴くと、瞬時にそのときが甦る。不思議なのは、(音楽なのに)そのときの時間や空気が、皮膚感覚をとおして再構築されることだ。
 エサ(面白いもの)を探していつでも地面を突いているのくせに、新しいものにパクッと食いつくわけではない。でも、そろそろCDを持ち歩くのも億劫だし、10日に入院するので、暇つぶしに音楽が絶対聴きたくなる。そこで、暴風雨吹き荒れた先週の金曜日に、携帯用音楽プレーヤーと、故障中のデジの代わりに、R4からリニューアルされたばかりのリコーcaplio R5を買いに行った。
(それにしても、発売日から半年で新型が出るとは・・・)

 デザインはやはり、iPod nano がダントツだった。薄い・軽い・大容量(4GB)で、値段も他社の製品と比べて高いわけではない。即決したトシ子は、「色はメタリックグリーンがいい」と思いつつ、何気なくオススメのBOSE社製中型ヘッドフォン(小さいのは耳の穴が痛くなるので・・・)で音楽を聴いてみた。「まあ、こんなものでしょう・・・」

 といいながら、あきらめが悪いのがにわとりトシ子なので、
店員さんに「音が良いプレーヤーはないか?」と、聞いてみた。
「それなら、やはりオーディオメーカーが~~~」

 というわけで、ビクターの製品を薦めてくれた。
 なるほど、確かに音が良い。PCを使わずダイレクトにCDから録音できる点も、ニワトリにはありがたい。だが、容量が1GBなのがネックかなあ・・・ iPod より値段がやや高いのに、容量が1/4というのは・・・CD20枚分と考えれば、決して少なくないから、これに決めちゃおうか?

(将棋や囲碁でお馴染みの)長考に入ったトシ子に、じれた店員さんが、
「音が良くて、容量が大きいのはこれです。特に音質に関しては、これ以上のものはありません」と、ケンウッドのHDDプレーヤーをドンと置いた。なるほど、音はさらに良くなった。クラシックがちゃんと聴ける点に感心した。容量(30GB)も最高。でも、持ち歩くには少々大きすぎないか? nano なら胸ポケットに楽々入るというのに、こいつはデジ並みにでかい。こんなの持ち歩く人いないよ~

「まあ、音質にこだわると、これくらいの大きさが必要になるわけです!」
 トシ子が買わないと踏んだのか(福沢諭吉がもう一人必要だし)、そう開き直りつつも弱気になった店員さんに、「これ、ください」


 実は、このHDDプレーヤーも、アンプ部をプリとパワーにセパレート化して、より強力になった新型GB9が出てました。でも、福沢諭吉をさらに一人要求するので、割安になった旧型を購入。上の写真は、ジャケ買いしたCDと、HD30GA9(CDは中味もお気に入り)