Vol.36からつづき。
Bの指定どおり、彼女と二人で隣のビルにあるカフェに。
別段気にも留めずに、彼女と腕を組んで中にはいっていき、案内どおりに席に向かう途中、
「ダーリン、こんなところで他の女となにしてるの?」というハスキーな声が後ろから。
「えっ!?」 一瞬身を硬くした彼女と後ろを振り返ると、にやにやしながら、Jのカミさんがそこに・・・。
「なーんだ、JA(JのカミさんもJから始まる名前なので、ここではJAと)かあ・・、びっくりしたよ。」
「きゃー、久しぶりー!」
カナダ生活が長いとはいえ、あたりかまわずハグする癖は直っていない。いつもこれを見て、亭主のJは苦笑いをしているのだが。
「早いじゃない? Jは?」
「ちょうど、Western Market近くで食事してたのよ。今車とめてるから、すぐ来るわ。」
「そうかあ。いや、今日はかえって悪かったね。 Bが連絡したんだろ?」
「それよ!なんで香港に来てるんなら連絡くれないの?」
「いや、いろいろ予定がさあ・・・。」
「ふーん、予定ねえ・・・」 隣に立っている彼女をちろーっと見てから責める目つきをするJA。
今日はよりにもよって、Jは知っているものの、BとJのカミさんまでを紹介する羽目になるとは・・。
「ああF、こちらはJA。 Jは知ってるだろ? 彼の奥さん。」
「はじめまして、Fといいます。」
「はい、はじめまして。たーさんは優しい?」
「ええ。」
「おいおいJA、余計なことを聞くんじゃないの。」
「あらあ、いいじゃないの。彼女可愛いし、暇なときは一緒に遊びたいわ。」
「もう勘弁してくれ。」
JAは香港華僑の娘で血統的にはサラブレッドであり、しかも容姿は歌手の蔡依林に似ているので、どこへ行っても、とにかく目立つ。 特にこの地は香港島なので、誰に会うかわからないという非常に危険なシチュエーションだ。
コーヒーを飲みながら、話をするうちにやっと、JとBが連れ立って入ってきた。
「いよう、たーさん、久しぶり。」
「久しぶり。今日は悪いな。」
「何を言ってるんだ。連絡くれないと思ったら、彼女とよろしくやってたんだって?」
「わかった、わかった。3人とも同じことを言わないでくれよ。」
「ははは。まあ、仕方がないよな。彼女は美人だしなあ。 お久しぶり。」
「Jさん、お久しぶりです。」
「さて、全員揃ったことだし、席の確保できてるし、早速飲みに行こう!」
「どこに行くんだ?」
「Kowloonに戻る。たーさん、知ってるだろ?路地裏の・・・」
「キンバリーの上か?」
「そうそう。ライブバンドの入ってるとこさ。」
「いいねえ。あそこならゆっくりできそうだ。」
「車は会社に停めて行くから、Bと先に行っててくれ。」
「あいよ。」
行く場所というのは、キンバリーホテルから通りを一本あがったところにある。外国人が多く、夜毎朝方近くまで
賑わっている場所だ。ここなら、ホテルも歩ける距離だし、安心して飲める。
早速、Bのベンツで向かう。 J達は愛車BMWを置いてから再度合流ということになる。
気のおけない仲間達と、彼女。
Bは途中で仕事に戻ってしまったけれど、深夜までのんびり気分で酒を楽しむ。彼女もうちとけて、カミさんと一緒に大騒ぎ。
今日も、最高の夜。
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