第163回(2020年上半期)直木賞候補作。
「小説現代」2020年4月号掲載、509頁の大作。
松永久秀~戦国一の極悪人か、それとも時代のヒーローか。
民を想い、民を信じ、正義を貫こうとした青年武将はなぜ、稀代の悪人と呼ばれるようになったのか。
戦国の世にあって、武士のいない世の実現を夢見て闘い続けた久秀の評伝的物語。常に人とは何か、如何に生きるべきかを問いつつ語り続ける筆者の姿勢に共感しながら(長い)物語を読んだ。ご一読をお勧めします。(お勧め度:★★★)
選考委員評:角田光代氏
「勢い、意気込み、迫力に魅せられた。(中略)私は小説世界にまんまと取りこまれた。正義に酔いしれる民の愚かさを繰り返し描きつつも、その民を上から見ることはせず、まさにそのあいだを切り開いて進もうとする小説だと思った。最終的に私は”少年と犬”とともに受賞作として推した」