1960年発表の短編12編を収容。491頁。
①丹波屋の嬢(とう)さん
②外法仏(げぼうとけ)
③みょうが斎の武術
④軒猿
⑤庄兵衛稲荷
⑥黒格子の嫁
⑦けろりの道頓
⑧最後の伊賀者
⑨ある不倫
⑩朱盗
⑪壬生(みぶ)狂言の夜
⑫牛黄(ごおう)加侍
著者37歳。新聞記者と作家の二足のわらじを履きながらの作品集。
テーマも文章力も、まだ司馬氏本来の力を得るに至らず、プロの作家になれるかどうか迷いながらの作業ではなかったか。
後の司馬節を彷彿とさせる作品には出会わなかったが、⑧最後の伊賀者は面白かった。