昨年11月のイタリア旅行に持参した島崎藤村の「夜明け前」(文庫版第1部上下巻870頁)を、このほど(北海道ぐるり旅にも携行して)ようやく読み終えた。
この間10ヶ月。
しかもまだ第2部が残っているのだが、それでも名作に接した余韻に浸っている。
物語~山中にありながら時代を映す木曽路、馬籠宿。その本陣と庄屋を兼ねる家に生まれた青山半蔵(モデルは、藤村の父島崎正樹氏)は、江戸に旅した際、念願の国学者平田篤胤(あつたね)の門人となる。その頃、江戸湾に黒船が来襲し動乱の世を迎えつつあった・・・。
激動する維新期を、国学者の門人として政治運動への参加を願う心と、木曽路の旧家の仕事とのはざまに揺れ動く主人公「半蔵」の青年期を時代背景とともに克明に描きつつ、主人公に寄り添う藤村の温かい目線を感じながら読んだ。
第2部(上下巻)も購入したので、これからじっくり読み進めようと思っている。