昭和と現在を比べた時、隔世の感があるのが「倫理基準」。今は「ヘア解禁」と、映画でも写真集でもボカシの入ったもの等はほとんど見かけません。僕が学生の頃に見た普通の洋画で、ヤボなボカシが入っていた作品も、今は市販のブルーレイでクッキリと女優さんのヘアヌードを観ることが出来ます。宮沢りえの写真集「サンタフェ」(撮影・篠山紀信)が発売になった時は、本当に大きな話題になりました。
今ではインターネット上では事実上、ボカシも何もないポルノというより、セックス動画が見放題。昔ブルーフィルムに取って代わった「裏ビデオ」見たさに、VHSのビデオデッキを学生から大人までが買い求めた時代が懐かし過ぎます。
松下がその販売網を使い、街のナショナルの看板を上げている電気屋が、VHSデッキをお客の家に持ち込み実演する。その時に使ったビデオが「裏ビデオ」。「今ビデオデッキを買うと、このビデオテープもサービスで付けますよ」という営業トークで、哀れポルノソフトを販売しなかった「ベータ」のソニーはVHSに駆逐されました。技術はベータが上でも、見たいソフトが無ければ売れない。世の中のエロ・パワーに世界のソニーが敗北しました。
話は戻って、昭和50年代(1975年からのほぼ10年間)には、ポルノ雑誌の自動販売機が物議をかもしました。人気の無い道路の側溝には、書店では売っていないようなポルノ雑誌、ポルノ漫画が捨てられていた時代です。大阪は梅田の阪急東通りなどの怪し気な書店では、中身を見ることの出来ないビニールに包装された「ビニ本」が販売されていました。そういう表向きの本でも十分エロいのですが、常連客などに更に高価な値段で販売する「裏本」もありました。今なら無料で見ることが出来る動画。昔は高いお金を払って雑誌を購入していた若者(おじさんも)が大勢いました。
そして、遂に登場したのがポルノ雑誌の自動販売機です。
ポルノ雑誌は通常の書店ルートでは販売していないので、出版業界の自主規制にはかからず、しかも人に会わずに買うことが出来る自動販売機は一種の「盲点」を突いたもので、一気に広がった記憶があります。写真は昭和56年(1981年)の大阪・吹田市内です。
この自動販売機、昼間には覗いても本の表紙が見えない。でも、夜はハッキリ見えるという「オーロラフィルム」等と呼ばれたシールが貼った自販機もありましたし、写真のようにポルノとは呼べない「GORO」「プレイボーイ」「平凡パンチ」等の男性誌もカモフラージュの為?に、一緒に販売されている自販機もありました。警察が検挙するような、当時は過激とされた「裏本」「ビニ本」は、勿論こういう自動販売機では販売されていませんでしたが、それでも人々を刺激するには十分でした。
タバコや雑誌パンなどを販売していた、今のコンビニというより駅の売店のような、街中のお店「〇〇商店」の公衆電話横には、コンドームの自動販売機が堂々と鎮座していたのを覚えている方も多いと思います。昭和って、今から振り返ると凄い時代でした。