しげる牧師のブログ

聖書のことばから、エッセイを書いています。
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朝の露 <神殿礼拝の復興>

2021-02-15 | ネヘミヤ記

「歌い手たちには王の命令が下っていて、日課が定められていた。」(ネヘミヤ記11:23新改訳)

この王とは、ペルシャのアルタシャスタのことである。ペルシャ王家は神への祭儀を重要視し、ユダヤ人たちにもエルサレム神殿を再建しそこで礼拝をささげることを許可した。その目的は王家が天の神から祝福を受けることにあったと考えられる。次の聖句がそれを証明する。「こうして彼らが天の神に芳ばしい香りを献げ、王と王子たちの長寿を祈るようにせよ」(エズラ記6:10同)、また「天の神の宮のために、天の神によって命じられていることは何でも、熱心に行え。御怒りが王とその子たちの国に下るといけないから。」(同7:23)▼アッシリアやバビロンは国家の領土を征服拡張し、被征服民を捕囚によって移動させ、奴隷化するだけの過酷な王朝だったが、ペルシャは各民族の自治をある程度許し、宗教的寛容策をとったのであろう。ダニエル、エズラ、ネヘミヤといったすぐれた人材の影響も大きかったのはまちがいない。いずれにせよ、神の大きな御手が、時満ちてペルシャを動かしたのであった。▼こうして帰還民たちはエルサレムを中心に、かつてユダ王国であった地域、先祖の居たところに住みついたのである。そして数百年後、祭司のひとり・ザカリヤにバプテスマのヨハネが誕生する。彼と妻エリサベツは「山地にあるユダの町」(ルカ1:39)住んでいて、イエスの母となったマリアとは親類であった(同36)。ただしそのころ、マリアはガリラヤ地方のナザレ町に住んでいて、たぶん同じ町の大工ヨセフと婚約関係にあったことがわかる。ヨセフはナザレにいたが、先祖はベツレヘムにあるダビデの血筋であったから、住民登録のときにはベツレヘムに帰った(ルカ2:1~5)。▼感心するのは、帰還したイスラエル民族においては系図が保存され、数百年たっても祖先にさかのぼることができたという事実である。マリアの家はユダの山地にあり、祭司と親類であったから、ユダ族ないし祭司の一族であった可能性が大であるが、それ以上のことはわからない。いずれにせよ、ネヘミヤの時代からの敬虔な信仰が、ザカリヤやマリア、ヨセフたちにしっかりと受け継がれてメシアの誕生となったことに、すばらしい神の摂理の御手を見ないわけにはいかないのである。