【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「檸檬のころ」:お台場海浜公園駅バス停付近の会話

2007-04-12 | ★虹01系統(浜松町駅~ビッグサイト)

まあ、かわいい猫のオブジェ。
ここには猫グッズの店があるんだぜ。
中高生の女の子が喜びそうな感じね。
榮倉奈々とか谷村美月とかか?
あら、よくそんな若手俳優の名前を知ってるわね。案外、女子高生オタク?
まさか。「檸檬のころ」観たばっかりだからだ。
ああ、あれはよかったわ。栃木の高校三年生の物語。
物語っていうほどの物語はないんだけど、それだけに誰が観ても身に覚えのあるような等身大の高校生の話になっている。
大恋愛とかではなく、ごくごく普通の素朴な高校生たちのどこにでもありそうな恋愛の話。
クラスメート同士の恋の話で、ラブシーンなんてまったくないんだが、それだけに、若者たちのぎこちなさとか、切なさとか、やるせなさとか、心の揺れが素直に伝わってきて、観ているオジサンまでドキドキしてしまう。
オジサンってあなたのこと?
ああ。オバサンだってグッとくるんじゃないのか。
たしかに、オバサンにも十分伝わってきたわ。誰もが一度は通る道だからね。
なんか最近の日本映画にはこういう素直な女子高生が主人公の映画が多いと思わないか。
たとえば?
幸福な食卓」とか「夜のピクニック」とか。
映画に多いっていうより、原作に多いんじゃない?
ああ、そうかもな。しかし、そういう映画が見ていて妙に心地いいっていうのは、どういうことなんだろうな。
そうね。「せかチュー」の反動かもね。あのわざとらしさに辟易した気分が、こういう嘘のない映画を求めているのかも。
谷村美月の片思いの彼のセリフがどうも棒読みっぽくて、演技はあんまりうなくないなあ、と思って見ていたら、歌手の平川地一丁目の片割れだったのには驚いた。
演技はじょうずじゃないかもしれないけど、歌はちゃんと聴かせなきゃいけない役だからね。
文化祭のステージで歌う役だからな。あの場面見てると「リンダリンダリンダ」なんかも思い出して、そういう目で見ると、なにか、この映画、素朴な「リンダリンダリンダ」って気もしてくる。
「リンダリンダリンダ」ほど、ひねっていないっていう意味でね。
正直、映画としてはあっちのほうが上で、「檸檬のころ」は映画というよりはちょっとテレビっぽいというか素人っぽいつくりの感じがしないことはないんだけど。
そうかしら。あの全体をおおう、若いがゆえの気持ちが定まらない感じは、最近のテレビじゃなかなかないと思うけど。画面にもう少しクリアな感じがあればなあ、とは思ったけど。
そうだな。榮倉奈々が東京の大学に受かって、好意を寄せる柄本佑が栃木に残るときの別れのシーンなんて、何度もどこかで見たようなシーンなのにやっぱりグッとくる。自分の気持ちを持て余してる感じがビンビン伝わってくるもんな。
しゃれたセリフを言うわけでもなんでもないのにね。
栃木と東京なんて、冷静に考えれば、会いたきゃすぐ会える距離なのに、若者同士には永遠の距離に思えてしまうんだろうな。
胸の奥にそっとしまって置きたいような愛しい映画がまた一本増えたわね。
お台場の猫みたいな、かわいい映画がな。


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8 コメント

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こんにちは (高速バス好き)
2007-04-13 13:29:25
はじめまして。

私の高速バス情報サイトで
こちらの記事を紹介させて頂きましたので
ご連絡させて頂きました。

紹介記事は
http://blog.livedoor.jp/calpediem48/archives/53691121.html
です。

これからもよろしくお願いいたします^^
返信する
コメントありがとうございます。 (ジョー)
2007-04-13 23:22:50
■高速バス好きさんへ
残念ながら、このブログはいまのところ、都バスのみで高速バスのことは取り上げていませんが、バスはバス。よろしくお願いします。
返信する
レモン☆ (sally)
2007-04-23 23:19:47
こんばんは♪
コメントを頂きありがとうございました!
↑のネコ写真・・・よく見るところで働いております。
ホントに、胸の奥にそっとしまっておきたい愛しい映画です♪
あのぎこちなさ、もどかしさが何ともいえず。
田舎町の高校の風景には、自分の高校時代を思い出してしまった上京組です。現代の都会の高校生は、どうなんでしょうね。
返信する
コメントありがとうございます。 (ジョー)
2007-04-24 21:40:15
■sallyさんへ
では、大きく開いた猫の口を通って店に入ったりしているんでしょうか。
田舎から遊びで来る都会と暮らす都会はまた違いますよね。
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こんにちは♪ (ミチ)
2007-07-01 16:18:26
U20の上手い役者さんたちの中で、平川地一丁目の彼はセリフのつたなさが目立ちました。
でも、すごく雰囲気のある男の子だったので私としては二重丸です!
歌もすごく聞かせてくれましたしね~。
高校時代を描いた作品って無条件に好みかもしれません。
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コメントありがとうございます。 (ジョー)
2007-07-01 18:21:19
■ミチさんへ
とても好ましい映画なのにあまり話題にならず終わってしまったのが残念です。機会があればぜひ観てほしい映画ですよね。
返信する
愛着 (kimion20002000)
2007-12-22 00:48:08
TBありがとう。

>胸の奥にそっとしまって置きたいような愛しい映画がまた一本増えたわね。

そうなんだね、愛着がありますね。
最近の携帯小説なんかと、反対の世界みたいでね。本当に。この作品は、携帯ディスプレイには、似合わないですね。淡々としすぎてさ。

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コメントありがとうございます。 (ジョー)
2007-12-24 08:54:59
■kimion20002000さんへ
そうですね、携帯小説にはなりにくいですね。
そういえば、映画の中でも携帯を使ってる子は
いませんでしたね。意識的に避けているようにも
見えました。
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