Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

5年目の贈り物

2017年03月04日 | 身辺雑記
 先週、元の職場の先輩のご自宅に招かれた。お会いするのは10年ぶりくらいだろうか。毎年、年賀状の交換はさせていただいていたが、お会いすることはなかった。わたしのことを気にかけてくれていたようで、今年の年賀状でお誘いをいただき、追いかけて電話までいただいた。そこで、ほんとうに久しぶりに再会することができた。

 マンションを引っ越されたことは承知していた。今のマンションに伺うのはもちろん初めてだった。12階の部屋からは目の前にスカイツリーが見え、また遠くには新宿の高層ビルの一群も見えた。当日は雨模様の天気だったが、それも午前中には上がり、正午頃には霞がたなびき、それも午後になると晴れてきて薄日が射し始めた。そんな空の移り変わりが大きな窓からよく見えた。

 昼間からビールをいただき、また奥様のご出身の秋田の料理の数々をご馳走になった。お会いするのは久しぶりだが、時間の隔たりを感じることなく話がはずんだ。

 しばらくすると、「これ、エノちゃんに」と手渡された品物があった(先輩はわたしのことをエノちゃんと呼んでいる)。なんだろうと思って包装紙を開いてみると、‘お祝い’という熨斗のついた小箱が出てきた。わたしの退職祝いだという。わたしは驚いてしまって、満足な返事をすることができなかった。

 わたしは定年3年前に退職して関連会社に移った(今はその会社も退職している)。それから8年たった。先輩はわたしが定年になるはずの5年前にその退職祝いを用意して、わたしに渡そうと思ってずっと持っていたそうだ。5年間も……。その想いに頭が下がった。

 わたしは先輩が定年退職したときに、なにもしなかったことを悔やんだ。身の置き所がなかった。定年退職の重みが分かっていなかったのだろう。定年退職にかぎらず、人生の機微が分かっていなかったと反省するばかりだ。

 先輩にはどうお礼をしたらよいのだろう。考えるまでもなく、先輩の体調がよいときに、できればわたしの家にもお出でいただき、もしそれが難しければ、わたしのほうからまたお伺いして、お会いする機会を増やすことが一番だろうと思う。

 もう一つは、先輩からいただいた想いを、今度は後輩に返すことが大事だろうと思う。それを先輩から教えてもらったような気がする。そうすることが先輩へのお礼になるかもしれない。

 ……と、そのようなことを、この一週間ばかり考え続けている。

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