Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ベートーヴェン生誕250年にむけて

2019年12月29日 | 音楽
 鷹野晃氏の写真展「ベートーヴェンへの旅」が銀座のソニーイメージングギャラリーで開かれた。会期は12月27日で終了しているが、展示作品の一部で構成した動画がYoutubeにアップされているので(※)、ご紹介したい。ベートーヴェンゆかりのボンとウィーンの街並みや記念館が写っている。自然光のみで撮ったというそれらの写真は、わたしたちが現地に行ったときに目にする風景そのもの。旅行者目線で捉えた現地の日常風景といったらいいか。

 会場には鷹野氏ご本人もいらして、声をかけていただいた。手短に感想を述べてから、「地方でやる予定はないのですか」と尋ねると、2020年5月に宮崎県立美術館でやる予定とのこと。また、ベートーヴェン生誕250年なので、他の街でもやれないかと模索中だそうだ。

 ベートーヴェン生誕250年――2020年はわたしもベートーヴェンの作品を聴く機会が増えそうだ。だが、定期会員になっているオーケストラがベートーヴェンを演奏し、それを聴くのは別として、それ以外に自分の意思で演奏会(またはCD)を選択するとしたら、何を選ぶか。一口にベートーヴェンといっても、ベートーヴェンの作品は多種多様だ。どのジャンルのどの時期のものを選ぶか。それによってベートーヴェン像は大きく異なる。では、どれを選ぶか。

 吉田秀和の「私の好きな曲」は、脂の乗った時期の吉田秀和の力作だが、そこで取り上げられた26曲の中に、ベートーヴェンは4曲入っている。モーツァルトが2曲、その他の作曲家は1曲なので、ベートーヴェンの4曲は突出している。しかもその4曲は、弦楽四重奏曲嬰ハ短調作品131、ピアノ・ソナタハ短調作品111、第九交響曲、弦楽四重奏曲作品59-1(ラズモフスキー第1番)と、傑作ぞろいというか、後期の各ジャンルの代表作3曲と中期の代表作1曲という、思わず唸ってしまうような選曲だ。

 吉田秀和はモーツァルトで出発し、晩年にはバッハの比重が高まったが、壮年期はベートーヴェンにも力を入れた。その反映が窺われる。

 わたしは鷹野晃氏の写真展に刺激されたのか、この数日間ベートーヴェンばかり聴いているが、主に聴くのは後期の弦楽四重奏曲と後期のピアノ・ソナタだ。それらの曲に耳を傾けながら、自分の聴き方が以前とは変わってきたことを自覚する。どの曲に惹かれるか、あるいはある曲のどの部分に惹かれるか、それが変わってきた。

 2020年はそんな内なる声に耳を澄まし、ベートーヴェンを通して自分探しをする年になるかもしれない。

(※)鷹野晃氏の写真展「ベートーヴェンへの旅」https://www.youtube.com/watch?v=Fean-mjPp-Q

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