Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ラ・フォル・ジュルネ(2)

2013年05月08日 | 音楽
 カニサレス六重奏団が終わって会場を出たら、知人とばったり会った。この知人はスペインものばかり聴いているそうだ。「次はトゥリーナ」と嬉しそう。このように自分なりのプログラムを組めるのがラ・フォル・ジュルネのいいところだ。

 遅い昼食をとってから、16:45のジャン=クロード・ペヌティエJean-Claude Pennetierへ。曲目はモーリス・オアナMaurice Ohana(プログラムには1914-1992と書かれていたが、Wikipediaでは生年1913となっている。没年は同じ1992)の「24の前奏曲」。会場では某ピアニストの姿を見かけた。シューマンを中心に独墺系のレパートリーでやっているこのピアニストが――と思ったが、オアナにたいする興味よりも、ペヌティエにたいする興味だったのかもしれない。

 で、肝心の演奏だが、これがまったく面白くなかった。演奏がどうのこうのというよりも、会場が狭すぎて(ホールG409)、響きが生まれず、音がドッカンドッカンと鳴るだけ。ピアノ以外の楽器ならいざ知らず、ピアノには窮屈すぎる。以前もこの会場でピアノを聴いて閉口したことがあるが、それを思い出した。

 18:45からは再びスザンナ・マルッキ指揮アンサンブル・アンテルコンタンポラン。今度はホールB7。ホールCのような音楽的な音響はないが、聴けないことはない、というくらいの音響はある。

 作曲家の藤倉大とスザンナ・マルッキのプレトークがあった。これが面白かった。藤倉大によれば、アンサンブル・アンテルコンタンポランは、ただうまいだけではなく、生物学的にこんなこともできるのかと思うほどのことができる、とのこと。その演奏能力を絶賛していた。一方、スザンナ・マルッキは、作曲家がそれぞれ新しい音を試みるので、それを実際の音にするには相応の練習が必要だといっていた。作曲家と演奏家の立場のちがいではないだろうか、と思われて面白かった。

 1曲目はブーレーズの「デリーヴ1」。より長大で編成の大きい「デリーヴ2」ならともかく、「デリーヴ1」だけでは物足りなかった。
 2曲目はドビュッシーの「フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ」。ラヴェルの「序奏とアレグロ」同様、超高性能といった感じの演奏。面白かったのは、最終楽章に今まで聴いたことのない音色が聴こえたことだ。ドビュッシーが仕掛けた新しさだろうか。
 3曲目はトリスタン・ミュライユの「セレンディヴ」。スペクトル楽派の雄ミュライユのこの曲、ホールB7で聴くと、どのような書き方をされているか、赤裸々になった観がある。
(2013.5.5.東京国際フォーラムホールG409・B7)
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