演劇やまと塾公式ブログ

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「十六」 開演。彼女はそこにいなかった。

2009年03月22日 23時48分54秒 | 「十六」稽古日記
 YOSHIKAZEです。


 おかげ様で本日22日(日)、神奈川演劇博覧会にて「十六~Sixteen years

old~」が無事に開演&終演しました。まず始めに御来場のお客様、公演を支えて

くれた劇団員、そしてスタッフをやってくれた劇団ひこばえの俵谷さん松井さん、

演劇博覧会の実行委員会&スタッフの皆様にこの場をお借りして熱く御礼申し上げ

ます。


 さて本番だが昼公演(14時半~)は正直言って満足出来なかった。とにかく

テンポが悪い。見てても何も伝わって来なかった。しかし・・・

 夜公演(18時半~)で奇跡は起きた。今までの中で一番良い「十六」だった。

水野さんは自信を持って演じてくれたので水野さんが持つ自然な良さが演技として

光っていた。二人芝居なのでセリフの量も膨大だから御自身は最後まで不安がって

おられたが、特に問題はなかったと思う。


 終演後、客席にいたワタシに「KAIZUKAさん。」と声を掛けて下さった

お客様がいた。その姿を見て焦った。有名舞台演出家のKさんだった。Kさんは

水野さんのお知り合いで以前に水野さんから御紹介をして頂いた。日本の演劇界を

築いてこられた演出家と言っても過言ではない方で、ワタシなんかにとってはまさ

に雲の上の存在だ。そんな方にわざわざ雨の中遠い横浜の劇場に来て頂き「十六」

を見て頂けるなんて本当に嬉しいことだ。知ってる方が見たら何でこの会場におら

れるのか驚くだろう。ありがたい事にお褒めの言葉まで頂きました。昼公演には

横内さんのお父様も大量の差し入れを持ち来て下さった。やまと塾ってのは本当に

幸せな劇団である。本当にありがとうございました。


 さて、tomoyoさんの事に触れてないが、夜公演の舞台の上に彼女の姿が見えな

かった。そこに居たのは「美咲」という一人の少女だった。今までtomoyoとは

数々の舞台を共にした。「大和爛漫」「舞台詩」「明日へつづく道」

「ターミナル」「CANVAS」。学校での公演も2作品見た。昨年は最優秀女優

賞なんてのも受賞したケド、どれもtomoyoらしく良くやってたが、舞台の上にいる

のはやっぱりtomoyoだった。でも、今回は違った。舞台の上にtomoyoはいなく

登場人物の「美咲」がいた。「十六」の稽古で彼女に出すダメは少なかった。

なぜなら技術や演出的なダメではなく「人物像」や「心」に対する注文ばかり

だったからだ。だから「十六」は彼女もかなり悩んでいた。今だから言えるケド、

それは昨日の稽古でもボンヤリとしか見えていなかった。だから舞台の上に居るの

はtomoyoだった。しかし、夜公演では舞台の上で「美咲」が生きていた。最後まで

ぼやけていたラストのシーンもついに完成させてくれた。そしてカーテンコールの

挨拶ではいつものtomoyoがそこに居た。今回初めて舞台の上で登場人物を生き、カ

ーテンコールで俳優として挨拶をする事が出来た。これには正直言って感動した。

そして今まで共にやって来た舞台が今日この日のためにあったんだと実感しまし

た。もちろん今後も課題は沢山あるけどね。


 ハタから見れば難解なこの作品に命を吹き込んでくれたお二人に心からありがと

うと言いたいです。次は鶴見というまったく違った空間での芝居になる。稽古も

少ないが、28日には博覧会と違った「十六」をお見せしたいと思います。