KAIZUKAです。
今日は珍しくこんな時間に余裕が出来たので更新。いつもは寝る前なのに。

先日、ネットで注文していた食べ物がやっと届いた。注文したのは8月21日、
やっとである。まぁ収穫の時期があるから仕方がないか・・・・。
その食べ物とは、「菱(ひし)」である。菱という植物の実だ。
菱(ひし)とは水草の一種で、昔は沼や湖などに群生してたらしい。
蓮のように水面に葉だけが出ており、その下(水中)に実が付いている。
その実は読んで字の如し三角形でその先端には棘が付いている。忍者が使う
武器の「撒き菱(まきびし)」というのはこの実が由来とも聞く。その棘のある
実を塩茹でし、硬い殻を割ると白い実が入っており、それを食べる。とは言え
かなり小さい物なのでつま楊枝でほじくって食べる、実にやっかいな食べ物だ。
しかし、味はいい。俺も初めて食べたが自然の風味というか上品な味わいだ。
例えるならクワイや百合根のような感じかな。
さて、なんでこんな物を頼んだか。しかも値段も高い。それには理由があった。
事の発端は祖母が昔に秋田でよく食べたという話をしてたことだった。親戚の
人に今も採れるか聞いたところ、採れるどころか昔の沼はすべて埋め立てられ、
団地や住宅地になってるとのこと。おそらく秋田にはもうないであろう。昔は
どこにでもあったみたいで、道端でゴザを敷き「菱~。菱はいらんかね~。」と
路上で売ってたらしい。それが今は沼すらなくなってしまったようだ。まさに
原風景と共に失われた食べ物だった。
どこかにないかなぁと思いネットで調べたら、何と佐賀で販売をしてた。佐賀
には食文化として菱があるらしく、菱をお酒にするらしい。そこから生で採れた
ての菱を送ってもらった。秋田にあったのは鬼菱というもっと大きな物だった
ようだが、その味は昔と変わらない味だったようで、実に70年振りに食べたと
言っておりました。
もしこの話を聞かなかったら俺も菱なんてものは知らなかったし、多分一生
食べる機会なんてなかったろうな。佐賀では食文化だから菱が滅びる事はないと
思うが、風景と共に消えて行くものがある事は寂しいことだ。
