後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔374〕「腰越憲法九条ニュース178号」は「問題だらけの『改憲手続き法』成立」です。

2021年07月03日 | メール・便り・ミニコミ
 精力的に地域市民活動を繰り広げている塚越敏雄さんから「腰越憲法九条ニュース178号」が届けられました。熟読玩味したいと思います。
鎌田慧さんの2つのコラムも読んでください。

○福田三津夫様
 いつもお世話になりまして、ありがとうございます。
 腰越憲法九条ニュース178号ができましたので添付します。
 記事が2周遅れのような状態ですが、改憲問題を取り上げました。お読みくだ
されば幸いです。
                                 塚越敏雄





 ◆遺骨と米軍新基地建設

          鎌田 慧(ルポライター)

 沖縄戦で戦死した兵士や住民の遺骨が、沖縄辺野古の米軍新基地
建設の下敷きにされる。想像に絶する歴史の悲劇が始まろうとしている。
 全島戦場となった沖縄で各地から召集された兵士が戦死した。未発見
の遺骨が多く混じっている沖縄南部の土が、今度は米軍基地建設に
利用される。遺族にとってどれほどの悲しみであろうか。

 あす23日は、米軍に追い詰められて沖縄南部に敗走した、大日本帝国
陸軍第三二軍の牛島司官と長参謀長が自決、住民の4人に1人が殺され
た戦争が終結した「慰霊の日」。
 会場の「平和の礎」がある糸満市平和記念公園で遺骨収集ボラン
ティアの具志堅隆松さんがいま、3月に続くハンストを実施している。
 県知事が辺野古基地建設の設計変更を認めず、「遺骨混じりの土砂を
使わせない」と明言してほしい、との要請である。

 1960年代に米軍により計画されたが、ベトナム戦争による財政逼迫
(ひっぱく)で中止となった曰く付きの基地。
 その後、日本の資金で建設されることになったが、米シンクタンク
でも「完成する可能性は低い」とされてきた。
 海底がマヨネーズ状の軟弱地盤、総工費も当初の3500億円の約3倍の
見通しになっている。
 国家のために死んだひとたちが野ざらしにされ、今度は米軍基地の
人柱にされる。その無念さを共感できないのは恥ずかしい。
       (6月22日東京新聞21面「本音のコラム」より)


 ◆戦争政策の挑発
  「沈思実行」(59)      鎌田 慧

 学術会議6人の学者をパージした、菅政権初発の弾圧にいまだ反撃
できないうちに、こんどは悪法「土地利用規制法案」がもちだされた。
 米軍基地や自衛隊基地周辺に「注視区域」や「特別注視区域」を
設定、建物の所有者や賃貸人の調査、監視、さらには利用を規制する
治安立法である。
 もう政権に屈服しない。まして軍事研究は行わない、という学者の
痛恨の反省が、学術会議の基本理念だ。
 が、菅首相は、公然とこの理念を足蹴にして恥じることはない。無知
ほど怖いものはない。

 軍事施設周辺住民を強権的に規制する新法案の狙いと合わせると、
この二つの新たな挑発をみるだけでも、菅内閣のフアッショ体制の露骨
さがわかる。
 前者は思想、言論の自由への弾圧であり、後者は居住の自由の制限と
公安警察に新たな活動の場をひらく、基本的人権の抑圧である。

 舞鶴市や対馬・厳原など、戦時中に「要塞」があった地方都市へ取材
にいったとき、わたしは「要塞地帯法」や「建設物制限規則」などで、
いかに生活が不自由だったかを住民から聞かされてきた。
 建物の新増設は制約され、写真撮影や地図作成なども軍の検閲を
受けた。
 さらに「軍機保護法」が制定され、撮影ばかりか写生もスパイ扱い
されていた。

 外国人が土地を買うのをチェックする、との理由付けで、いま、新法
をつくろうとしているのだが、個人調査を強化する法律の制定を策動
する政権は恐ろしい。
 デジタル庁創立で個人情報に網をかけ、「国民背番号制度」の完成を
目指す菅首相は、どんな日本の将来像を描いているのか。
 首相の椅子にかじりつくだけの権力志向は、迷惑なだけだ。

 軍事基地や空港、兵器工場、核施設、駅、港湾と重要施設は無数に
ある。これらの建設への反対運動が長い間つづいてきたし、今も
つづいている。
 原発反対、空港反対。それらの周辺地域には、団結小屋がつくられ、
多くの人たちが常駐して運動してきた。
 成田空港反対運動には無数の団結小屋があった。原発反対もそうだ。
それらのひとびとが、これから犯罪者にされる。
  (「週刊 新社会」6月22日第1215号8面より了承を得て転載)