中野笑理子のブログ

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最後の挨拶

2019年01月28日 | 日記
母が元気だった頃から夫と3人でお墓参りの度に、よく行っていたお店がありました。
春と秋のお彼岸、そしてお盆と最低でも年に3度、新開地にあるそのお店は甲子園からは少し遠いけれど、何かにつけてよく行っていました。
去年母が車椅子生活になって認知症が進んでからは、夫と二人揃って出かけることが難しくなり最後に行ったのはもう半年以上前でしたが、お店のお父さんもお母さんもお元気で母のことを心配して聞いてくれ、「たまにはふたりで息抜きせなあかんよ」と言って、新しく近くにできた温泉のパンフレットを見せてくれたのでした。
そして店を出る時も「頑張り過ぎんようにね」と言ってくれて、「また息抜きしに食べに来ますね」と笑って挨拶して帰った、あの日。
まさか、あれが最後の挨拶になるとは思いもしませんでした。

定休日でもないのにシャッターが下りていて、「長い間ありがとうございました」という閉店のお知らせの貼り紙の前で呆然と立ち尽くしました。
お隣の洋服屋さんに聞くと、お店は昨年の11月に突然閉められ、そのお母さんは今月5日にお亡くなりになっていたのでした。
娘さんが手伝いに来られていて、家族で50年近く続けられていた、いつ行って何を食べても美味しく、心落ち着く楽しいお店でした。

その日は大阪で用事があり、用事を終えたらお昼もとうに過ぎていて、お腹も空いていたので、どこか近くの適当なお店で食事をしようかと思ったのですが、次はいつふたりで外出できるかわからないので少し遠いけれど大阪から新開地まで足を伸ばしたのでした。
そして知った思わぬ閉店。
もしかしたらお母さんが、「もう私達ここにはいないよ」と教えてくれたのかもしれません。

「またね」「さようなら」
そんな挨拶を毎日しているけれど、その挨拶がまさか本当に最後になってしまうなんて殆ど気づかずに過ごしています。
またわかったところでどうすることもできないし、いつまでもあり続けるものなんてこの世にはないこともわかっているけれど、やっぱり別れは寂しいものです。

お母さんのご冥福をお祈り致します。