思うがままに

Step by Step

妻を乗せて走る

2007-02-07 | ひとりごと
夜中、妻がお腹の具合が悪いと呻き声を上げた
何度も何度も背中を擦ってあげた
僅かな眠りのあと、また妻の呻き声が聞こえ背中を擦ってあげた
「朝まで我慢出来る?」「うん何とか・・・」
ここ何年かは問題なかったが急に持病が出てしまった

・・・・・

その何年か前は、車すら運転できない人間だった
いつも妻の運転で私はもっぱら助手席でのうのうと座っていた
学生の時に取った自動二輪を神戸に来てから更新にも行かず失効させてしまい、車の免許なんて要らない!ってずっと思ってきた
都会の真ん中で暮らすと車自体に必要性を感じなくなるし、無かったってどうってことないって思ってきた
妻の運転の隣でビールを飲むようなバカな自分・・・
「あなたも早く免許を取ってよ!」
「いや ええやん・・ 免許なんて取りたくない」
こんな会話が何年も続いた
いつだったか、タイトな仕事の連続とタバコで不整脈が出た
夜中だったが、どうもおかしいと思い妻の運転で救急に入ったことがあった
妻と車のお陰で何とか気分が楽になった
やっぱり私も免許を取りに行こうかぁ 漠然とそんな気になり出したが、また時間は何も無かったように流れて行った

・・・・・

あの時、妻の尋常でもない呻き声に病院へ行かねばと思った
近所の目もあって、救急車を呼ばずタクシーで掛かり付けの病院へ向かった
シートに横たわったままタオルを口元に当て苦しそうな妻の姿
自分の力で妻を病院まで連れて行けない情け無い亭主
免許さえあれば…  車さえ運転できれば…

免許を取ろう!と心に誓った

自動車学校に通い、学生のような若い人たちに混じって一種場違いな私は黙々と勉強し技術を習得した
もし、また妻の持病が出たらって思いながら、予習も復習も運転の擬似特訓もして、いつも一番前の席に座って講義を聞き、教官の言葉を自分の頭の中で噛み砕き、路上では安全運転を基本に教官と口論までしたことがあった
教官に「○○さん、もっと肩の力を抜いて、もっとリラックスしましょう ちょっと真面目過ぎますよ」って言われたことがあった
いや、しょっちゅう言われていた
ああー懐かしい

・・・・・

妻は痛みを堪えながら、多分入院になるだろうとカバンに要るものを詰めていた
病院に電話を入れ、リアシートに横たわった妻を乗せて私は病院へ走った
苦しんでる妻には悪いが、やっと免許を取った甲斐があったと思った

順番待ちの駐車場でイライラしている間に診察が終わってしまい、多少痛みが取れたようだ

「入院して一日様子を見ましょうっていうことみたい」

入院手続き等を済ませて病室に入った
その病室が前回入院したときのひとつ隣の部屋だということに気付いた
「心配かけてゴメンね ありがとう 車が混まないうちに帰って・・・」って眠そうな顔をしながら話しかけてきた
妻はいつも自分のことより最優先に私のことを気にする
気掛かりなことには断固として自分の思い通りにしたがる性質
「家に着いたらメールしてね」と言われて「じゃ、明日早く来るからね」と病室を出た

・・・・・・
ふと思い出した
前回の入院で予約していたツアーをキャンセルしたんだ!
キャンセル料を取られて、豪華?な個室で妻は入院生活!
・・・・・・

『今、家に戻ったよ』とメールを入れた
その後
『○○と××を忘れたから持ってきて』と返信が入った

喧嘩しても元気が一番!


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