北の杜

ニセコ・羊蹄山麓に暮らす一級建築士の奮闘記

景観と看板

2008年11月25日 | 景色
「羊蹄山麓の広告サイン景観ワークショップ」に参加してきました。



 羊蹄山麓広域景づくり推進協議会の案内標識検討部会が主催となっているワークショップで、羊蹄山麓広域景づくり検討委員会統括コーディネーターである濱田暁生さん(CIS計画研究所 会長)による「ニセコ羊蹄地域のイメージ戦略:景観と看板のあり方を考える」と題した基調講演から始まりました。
 標識や看板は情報伝達の手段であるけれど、情報を伝えるのは一時のことで後は周囲の景色の中にあるもの(存在)である。つまり、施設の案内看板は、方向や距離などの情報を伝えてしまったら後は看板という物体でしかない。しかも、情報を得た人にとっては、もはや物が建っているだけなので、周りの景色や景観をつくる要素のひとつとして美しさや心地よさを考慮して計画するべきであるといったお話でした。
 ワークショップでは、事務局で用意した看板やサイン80点の中から良い看板といらない看板をグループ毎に選ぶ作業です。山麓で目にしている看板が多かったので周囲の状況が分りながら検討することができました。
いらない看板としては、看板が幾つも乱立してあるところや建物中看板だらけのもの、農村の納屋の壁にべたべた貼ってある看板などごちゃごちゃしたものが駄目だしされておりました。
良い看板としては、見た目にもシンプルで、周囲の景観に溶け込んでいるものが選ばれていました。好まれるものは比較的共通していたようです。
 今回のワークショップには、遠くは網走、近郊では石狩、小樽からも参加されていました。全道的に、景観の取組みが多くされているようです。

スキー場開き

2008年11月22日 | 楽しみ
 グランヒラフスキー場他町内のスキー場の合同安全祈願祭が行われました。



 一昨日の20日にやっと本格的に雪が降り出し、昨日の積雪量が26cmとなり、やっと例年並みの冬を迎えつつあります。
スキー場では、21日からリフトの一部が動き出したそうです。
待望のスキーシーズンを迎えるに当たって、まず、スキー場や町内の関係者が集まり今シーズンのスキー場の安全を祈願しました。昨年、スキー場の事故の内、半数が外国の方であったそうです。病院の患者さんも国際化しているようです。気を付けて滑ってもらいたいものです。
ゲレンデでは、夜を徹してピステンによるコース整備を行ったそうで、既に初滑りを楽しんでるスキーヤーやボーダーがおりました。



 スキー場に続いて、昨年開設された「ニセコひらふ地域安全センター(民間交番)」の開所式も合わせて行われました。
倶知安警察署の署長さんの挨拶では、今年度は12月から来年の3月まで3から4人の警察官が常駐して、地域の安全確保に努める計画だそうです。昨年以上に喧嘩や盗難被害が減り、安全なスキー場になると思われます。



 世界的な金融不安でスキー場の賑わいに一抹の不安がありますが、雪質や景観には変わりがないので、ニセコでリラックスして不安を吹き飛ばしてもらいたいものです。

新しい建築士制度

2008年11月21日 | すまい
 11月28日に「建築士法等の一部を改正する法律」が施行され、新しい建築士制度がスタートします。
社)北海道建築士事務所協会では、関連した事業事務を行っているので、事務局説明会議が札幌で行われました。



 今回の会議は、12月に理事会で正式に決定される事項もありますが、今年度建築士法改正を先取りして行われた事項についての説明でした。
 建築士事務所には、仕事を管理する「管理建築士」の常勤が義務付けられていますが、その管理建築士になるための要件が厳格化されました。これまでは、建築士であれば誰でも管理建築士になれましたが、これからは、3年間の業務経験と管理建築士講習の受講が必要となります。
それで、平成15・16年に建築士事務所登録を行った管理建築士を対象とした管理建築士講習会が今年の9月と11月に行われましたが、来年から春と秋の2回に分けて管理建築士講習会が行われることになり、その受付が12月にあるので今回の会議となったわけです。対象となる建築士さんは、忘れずに受講してもらいたいものです。
 また、この法改正により「建築士事務所に所属する建築士」に対しても3年毎の定期講習の受講が義務付けられます。その講習会も事務所協会と建築士会で担当して行うことになります。
これらが事務所協会の業務として増えることになります。
 法改正は、これらの他に、建築士試験の見直しが行われ受験資格が変更になります。さらに、構造設計1級建築士と設備設計1級建築士が新たに誕生します。
設計事務所に関することも改正されます。業務報酬基準の見直しや建築主に対する重要事項説明が義務付けられ、再委託も制限されるなど業務の適正化が計られるなど今回の建築士法の一部改正でマンションなどの構造偽装に端を発した法律の改正が出揃うことになります。
 これで安全で安心できる建物ができるといいのですが、法律で規制をして締め付けるのもいいのですが、世の中、悪いことをする人間は何処にでもいるので、心というか倫理を正すことをしないと完全な解決にはならないのではないかと思うのですが・・・。

中央決起大会

2008年11月20日 | まちづくり
 「北海道の自衛隊体制維持を求める中央決起大会」参加のため、朝5時45分役場を出発し上京しました。



 北海道自衛隊駐屯地等連絡協議会(千歳市長が会長、全道180市町村が加盟)が主催で、平成21年に防衛計画大綱の見直しや中期防衛力整備計画の策定が予定されており、北海道の自衛隊の体制がこれ以上縮小されないようにとの東京での決起大会であります。
わが町からは、私の所属している「自衛隊駐屯地特別委員会」から委員長、副委員長の他3名の委員と対策室長、その他副町長、議長、事務局長の計9名が参加しました。全道からは250名の参加だそうです。
 まず、よくTVでも見かける拓殖大学大学院森本敏教授による「オバマ政権下における日米同盟-日本の防衛力と北海道-」と題した講話があり、その後決起大会が行われました。



 高橋はるみ知事も顧問として挨拶をされ、北海道選出の衆議院の先生方や参議院の先生方が自民党は勿論新党大地の鈴木宗男代表や民主党の議員の先生と超党派で参加しておりました。代表して前内閣官房長官の町村議員が来賓挨拶されました。

 日本の防衛政策という難しい問題もありますが、地域における自衛隊の存在は、災害復旧支援活動や遭難者捜索といった人道支援は勿論ですが、多くの町民のひとりでもあり、現役・OBといった方が町民として町で暮らしています。まちと一体となっています。これ以上、減らすことにはならないのです。そんな思いが駐屯地のある町の人たちを動かしているのだろうと思います。
 参加者全員がタスキに鉢巻姿で現状維持を訴えた大会でした。その後、会場を後にして、雪の北海道に帰って来たのは21時でした。


後志の道づくり

2008年11月18日 | まちづくり
 北海道のみちづくりを考えるリレーシンポジウム「後志の道づくり2008」が倶知安町で開催されました。



 北海道横断自動車道黒松内・小樽間建設促進期成会などしりべしに高速道路を実現させる4団体の主催で、「今こそ考えよう!北海道の『みち』と『くらし』」をサブタイトルとしています。
後志管内では、札幌から小樽までは高速道路があり、小樽・余市間も平成30年には高速道路が開通する予定になっています。しかし、余市から黒松内までの後志管内を横断する高速道路は、全然見通しが立っていません。そんな訳で管内の町村や様々な団体が期成会を立ち上げ国への陳情や地域でのシンポジウムなどを行い、高速道路の建設を訴えております。
今回、高橋はるみ知事も来賓として挨拶してくれました。(本来、主催者として名を連ねるべきだと思うのですが・・・。)
 後志総合開発期成会会長の宮谷内蘭越町長の基調報告の後、室蘭工業大学の田村亨教授による「後志を活性化する地域戦略と道路の役割について」と題した基調講演がありました。



 国土の均等ある整備は、費用便益の高いところから進められているので、高速道路を作っても車より鹿が走ると揶揄されている北海道の道路整備は、後退している。日本の中にあって、北海道の人口、面積、GDPなどはオーストラリアやデンマークと同じ規模であり、食料の自給率は200%であり、日本の自給率をUPする役目や東アジアに向けた交流が期待される地域である。政策的、財政的、機能的な自立が求められており、後志地域としての北海道や日本、東アジアに対する地域戦略をもち、そのツールとして高速道路がある。国の道路の評価指標は、費用対効果。走行時間の短縮、走行経費の減少、交通事故の減少。これだけでは真に必要な道路を計れない。緊急医療、農林水産業の振興、観光振興など地域戦略も重要なファクターであるといった話がありました。



 基調講演の後、後志管内の行政、商工業、農業、観光、消防といった各分野の代表の方によるパネルディスカッションが行われ、各分野における高速道路の必要性が訴えられました。
 救急医療として、救急搬送における道路整備の重要性が挙げられました。ドクターヘリも重要であるけれど、羊蹄山麓のH19年の実績は95件だそうで、その外に38件は要請したけれど天候不順でフライとできなかったそうです。そうなると救急車による搬送になり、特に冬期間の雪道での不安があるそうです。地域での医師不足による救急医療体制が整備できない状態では、札幌などの広域的な枠組みに頼るしかないのが現状なのです。そのためにも道路網の整備が必要とされています。
 また、観光としては、ゆっくり景色を楽しむ道路と札幌との行き来に早く走ることができる道路と二通りのニーズがあり、通年で滞在型のリゾート地を目指しているニセコエリアでは、高速道路の位置づけも重要であるとの事です。
 地域の自立した発展のためにも道路は重要な役割を果すので、早期の整備を行ってもらいたいものです。

税務調査

2008年11月17日 | すまい
 増築工事の監理業務をしていた住宅の完了検査を行いました。
都市計画区域内の住宅なので10㎡以上の増築工事であれば、建築確認申請や完了届など建築主事の検査を受けなければなりません。
そこで、通常通り役所に書類を提出し、検査を受けたのですが、今年からでしょうか、役場の税務課も立ち会うようになりました。以前は、登記が済んでからだと思うのですが、増築工事だけなのかもしれませんが、ここのところ動きが早いようです。
どの道、検査は行われるので、施主にしたら1度で済むのでよいのかもしれません。
また、役所としても建築と税務と連携をとりながら行われることは、結構なことだと思います。
 そういえば、数年前から車の重量税の滞納(うっかり忘れ?)なども直ぐに会社に給料の差押えの問い合わせがあったりしておりました。当然のことでありますが、道にしても、町にしても必死であります。税収が減るとその分行政執行に支障をきたします。

 夕方に開かれた広域行政特別委員会で28日に行われる後志広域連合議会定例会の付議案件の報告がありました。その中にH19年度の「町村民税及び個人道民税の滞納整理」の事務の成果が報告されていました。16ヶ町村から滞納整理を依頼された金額が1億4320万円あり、その内、徴収できたのが1180万円、支払うと約束されているのが3580万円だそうです。また、滞納整理を広域連合に頼むと伝えたことで納税したり約束されのが3770万円で、合計8530万円が回収できそうです。半年で約60%の成果のようです。
後志広域連合は、町村単独では回収できなかった税の滞納整理業務を専門職員が広域で整理しようと作られた組織(来年からは国保や介護保険事業も行う予定です)です。8千万円の予算(H19年)で動いていますので、費用対効果が見られるような仕事を期待したいと思います。

特定用途制限地域

2008年11月13日 | まちづくり
 ヒラフスキー場周辺地区の「特定用途制限地域の指定」の住民説明会が12・13日と2日間に渡って行われました。



 10月に議会の経済建設常任委員会と都市計画審議会に説明が行われていました。
今回、地域住民はもとより町民に対する説明会です。指定される地域の住民の方々には郵便で案内されていたようです。町民には、広報や町ホームページや新聞の行事欄でアナウンスがされていました。昨晩、参加してきたのですが、20人弱の参集で写真でも分るように空席が目立っています。今日は何とか40人ほどが集まったと聞きました。残念ながら、関心が薄いのか、日程が上手くなかったのか、体育館のサブアリーナを会場に用意していた役場としては、肩透かしを食らったようです。
 今年の2月に準都市計画区域に指定された地域に、建築してほしくない建物を特定して、リゾート地域であり閑静な住宅地でもある地域を将来に渡って良好な環境を守っていくためのルール作りの一環であります。
特別に準都市計画区域だけ制限をするというものではなくて、市街地の都市計画区域では、既に用途地域が指定されていて、例えば住宅地域にはキャバレーやダンスホールなどが建てられないという建築物の用途制限がされています。商業地域や工業地域などそれぞれの地域毎に都市機能を集約したまちづくりが行われています。
今回、スキー場周辺が準都市計画区域に指定されましたが、建物の用途制限がまだされていないので、用途的にはキャバレーでもラブホテルでも建設可能なので、それぞれの地区にふさわしい生活環境を守ろうということです。
 地域の分け方は、宿泊や商業施設が建つ集客施設がある観光Ⅰ・Ⅱ地区、田園の中に住宅が点在している田園居住地区、別荘地が建っている観光居住地区、それらと市街地の接点となっている市街地隣接地区の5つのエリアに分かれています。
そして、風俗営業施設、パチンコ店、大きな工場など観光地や別荘地にふさわしくない建物をそれぞれ制限しようというものです。
 一連の説明の後、質疑応答が行われました。
質問の内容を聞くと用途制限には概ね賛同されていて、もっと制限してもいいのではないかというように聞こえました。例えば、「コンテナ」のような仮設物は、地域にふさわしくないので規制をしてほしい。また、条例が施行されるまでの間は、法的な規制が無いので駆け込み建設の心配があるので役場で指導できないか、といった積極的な話もありました。
 2日目には参加できなかったので、どのような意見や質問がでたのか分りませんが、リゾート地にふさわしいまちづくりができるようになればと思います。

景観条例の調査

2008年11月10日 | まちづくり
 昨日までの日本都市計画学会に7月に東京で開催された「市民と議員の条例づくり交流会議2008」の運営を行っていた首都大学東京の饗庭准教授が参加されていて、7月に話していた通り倶知安町に調査に来られました。



 先生は都市計画が専門で「地方議会と都市計画の関係の可能性」について研究をされていて、今年の2月に本町で制定された「倶知安の美しい風景を守り育てる条例(景観条例)」が議員提案で制定されたことを知り、条例制定の経過や議会や行政、市民の対応などを調査したいということでの来町となりました。
 景観条例は、8対7という議会を二分して制定された条例で、まだ1年も経っていないので多少しこり?のようなものが残っている感じがありますが、調査の目的は、条例の良し悪しではなく、条例制定の経緯や議論のやり取りといったところにあるので議員全員や担当の行政部局、議会事務局や町民などにインタビューをお願いされていました。多くの方々の協力を得られましたが、議員の内、条例に反対された方々のインタビューができなかったのが残念であったと仰っておりました。
 地域の方々とは、ひらふのペンションでチーズフォンデューにワインをいただきながら、生の声を聞けたと思います。

 景観条例の評価は、まだまだ先のことになると思いますが、議員立法なり市民提案なり、まちづくりは住民主体であるべきなのでしっかりと取り組んでいかなければと思うのです。

ひらふの景観色

2008年11月08日 | まちづくり
 北海道大学で「日本都市計画学会」が開催され、今までニセコひらふ地域で行われていた景観色WSの発表があるというので参加してきました。



 これまでニセコひらふの現地で住民を巻き込んで「景観色ワークショップ」4回行われてきました。私もできる限り参加してきたのですが、その活動の中間報告でした。「ニセコひらふ地域の持続可能な国際観光リゾートまちづくりに向けたシナリオを考える会」が中心となり、ニセコ倶知安リゾート協議会と倶知安町も共同で行っている活動です。このブログでもWSの紹介をしてきました。
 今年の3月に地区に景観法による地区指定がかかり、建物の形態意匠に制限が加えられました。その中で建物の外観の色彩がマンセル値で規制されました。その色彩について、上質なリゾートの景観をつくるには、どうしたらよいのか、どうあるべきかといった地域の動きをフォローアップする活動です。



 会場では、8件の事業がワークショップ形式で行われておりました。
景観色WSでは、倶知安町の概要やニセコひらふ地域の現状、オーストラリアの観光客が急増し、バブルのような観光開発が行われ、地域の人々が危機感を持ってまちづくりに動き出した経緯が説明されました。また、今年制定された準都市計画地域の指定や景観地区指定といった都市計画制度の導入の説明があり、最後にこれまで4回行われた景観色WSの報告が行われました。
 期待していた、会場とのディスカッションになったのが、残り20分と少ない時間でしたが、北海道以外の方の意見が新鮮に聞こえました。例えば、関西大学の先生から「通り毎に統一感・まとまりをつけるのは、上海の植民地的なまちづくり似てちぐはぐな地域全体として違和感がある。ディベロッパー毎にまちづくりをしているようだ。」また「地域の人とは、どんな人?」と言った問いかけがありました。地区の70%ほどが外国人所有の土地や建物になり、しかも永住しているのはほんの一部で、住民不在のまちとなりつつあります。そこでの、住民とは一体誰を指すのか。重要なポイントを指摘されたようです。

エキノコックス

2008年11月07日 | まちづくり
北海道獣医師会後志支部住民講座「エキノッコクス症を知ろう」がありました。



 倶知安町ばかりではなく全道各地から参加されたようです。
 最初に北海道大学大学院獣医学研究科の奥准教授が「エキノコックスの生態と感染の仕組み」を説明してくれました。1960年代までは礼文島だけに発生していたそうですが、今では北海道中にまん延しているそうです。また、本州にも数例発見されているようです。人間が感染しても潜伏期間が数十年あり、発症すると黄疸等危険な状態でわかる恐ろしい病気だそうです。
 次に倶知安町風土館の岡崎学芸員が「羊蹄山麓におけるキツネの感染実態と駆虫の取り組み」と題してNPO法人のWAOがここ数年行っている「エキノコックス駆除」活動の報告をしてくれました。



 ここ4年ほどで数%程度まで駆逐できているそうです。活動は、キツネにエキノコックスの虫下しの餌を食べさせて、エキノコックスを駆除し、エキノコックスを持たないキツネにして、この地域にエキノコックスのキツネを踏み入れないようにすることだそうです。現在のところ、山麓では成果があがっているそうですが、北海道全体で行わないと、いたちごっこのようです。地道な活動が必要ですが、行政の主体的な動きが必要だと思います。
倶知安町では、住民に対する「エキノコックス症検診」を無料で行っているそうです。