北の杜

ニセコ・羊蹄山麓に暮らす一級建築士の奮闘記

後志の道づくり

2008年11月18日 | まちづくり
 北海道のみちづくりを考えるリレーシンポジウム「後志の道づくり2008」が倶知安町で開催されました。



 北海道横断自動車道黒松内・小樽間建設促進期成会などしりべしに高速道路を実現させる4団体の主催で、「今こそ考えよう!北海道の『みち』と『くらし』」をサブタイトルとしています。
後志管内では、札幌から小樽までは高速道路があり、小樽・余市間も平成30年には高速道路が開通する予定になっています。しかし、余市から黒松内までの後志管内を横断する高速道路は、全然見通しが立っていません。そんな訳で管内の町村や様々な団体が期成会を立ち上げ国への陳情や地域でのシンポジウムなどを行い、高速道路の建設を訴えております。
今回、高橋はるみ知事も来賓として挨拶してくれました。(本来、主催者として名を連ねるべきだと思うのですが・・・。)
 後志総合開発期成会会長の宮谷内蘭越町長の基調報告の後、室蘭工業大学の田村亨教授による「後志を活性化する地域戦略と道路の役割について」と題した基調講演がありました。



 国土の均等ある整備は、費用便益の高いところから進められているので、高速道路を作っても車より鹿が走ると揶揄されている北海道の道路整備は、後退している。日本の中にあって、北海道の人口、面積、GDPなどはオーストラリアやデンマークと同じ規模であり、食料の自給率は200%であり、日本の自給率をUPする役目や東アジアに向けた交流が期待される地域である。政策的、財政的、機能的な自立が求められており、後志地域としての北海道や日本、東アジアに対する地域戦略をもち、そのツールとして高速道路がある。国の道路の評価指標は、費用対効果。走行時間の短縮、走行経費の減少、交通事故の減少。これだけでは真に必要な道路を計れない。緊急医療、農林水産業の振興、観光振興など地域戦略も重要なファクターであるといった話がありました。



 基調講演の後、後志管内の行政、商工業、農業、観光、消防といった各分野の代表の方によるパネルディスカッションが行われ、各分野における高速道路の必要性が訴えられました。
 救急医療として、救急搬送における道路整備の重要性が挙げられました。ドクターヘリも重要であるけれど、羊蹄山麓のH19年の実績は95件だそうで、その外に38件は要請したけれど天候不順でフライとできなかったそうです。そうなると救急車による搬送になり、特に冬期間の雪道での不安があるそうです。地域での医師不足による救急医療体制が整備できない状態では、札幌などの広域的な枠組みに頼るしかないのが現状なのです。そのためにも道路網の整備が必要とされています。
 また、観光としては、ゆっくり景色を楽しむ道路と札幌との行き来に早く走ることができる道路と二通りのニーズがあり、通年で滞在型のリゾート地を目指しているニセコエリアでは、高速道路の位置づけも重要であるとの事です。
 地域の自立した発展のためにも道路は重要な役割を果すので、早期の整備を行ってもらいたいものです。