北の杜

ニセコ・羊蹄山麓に暮らす一級建築士の奮闘記

北海道産木材を使おう!

2011年04月27日 | すまい
 26日に後志総合振興局で「北海道地域材利用推進方針」の説明会がありました。



 難しい題名ですが、北海道で育った木材を使って建物を建てましょうということです。
昨年出来た「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」に基づいて、北海道の方針を決めたと言うことです。
これからは、公共建築物の建設に当たっては木造の利用に勤めることになりましたので、民間の建物も地域の木材を使って建設するように進められることになります。

 私も北海道産のカラマツの使用を言っておりますので、我が意を得たりですが、昨年から入手が困難になりつつありました。また、この度の東日本大震災の影響もありそうなので、供給体制が心配です。
木材に限らず、建設資材の流通が不安定になっているので、建設会社の社長さんたちも心配しています。

 ただ、何でも木材を使えばよいと言うことではなく、適材適所が必要です。また、木材ばかりではなく、北海道産の内装材などの活用も望まれるところです。



参考事例

カラマツのある家 完成

2011年02月09日 | すまい
 昨年から建設していた「カラマツのある家」(A邸)の完了検査を行ないました。





 町内の建設屋(準ハウスメーカー)さんの建設で電気、設備などほとんどが地場の会社で建設しています。
オーナーは30代の夫婦で4人家族です。奥さんの想いがいっぱいこめられています。

 役場建築係の完了検査に合せて税務課の現調もありましたが、最近は、建具の寸法まで測っていくんですね。細かすぎです。



 外壁は、金属サイディングですが、部分的にカラマツを使用しています。街中の住宅地なので防火の関係もあり、なかなか外部に木材を使えませんが、アクセントに使っています。

 冬期施工の為、外構など残工事が残りますが、気密測定やシックハウスの検査など各種試験をしながら、最後の詰めの作業です。引渡しまでもう少しです。

白樺団地

2010年01月26日 | すまい
 倶知安町の町営住宅の「白樺団地」の1号棟の完成を見学に行ってきました。



 生憎の吹雪の日の見学となってしまいましたが、晴天の日より天気の悪い日の方が建物の特徴が分って逆に良かったのかもしれません。
 現在の白樺団地は、昭和42~44年にかけて44戸が建設されており、築40年が経過しているブロック造の平屋の団地で、お風呂も無く、下水道も繋がっていなっかったので、待望の建替え事業だと思います。



 新団地は、2階建て1棟10戸のRC造で3棟が建替えられます。団地の基本コンセプトは、「ユニバーサルデザインの視点に立った住環境づくり、多様な世代が交流し、コミュニティが持続可能な団地づくり、羊蹄山麓地区にふさわしい住環境の形成、環境共生型住宅の整備」を目指しています。
 倶知安町の公営団地は、昭和60年代から平成の初期に掛けては、日本一の豪雪地域にあって雪と共にある住まいを目指して高床の車庫の上に住居を配置した高床のくっちゃん型住宅を作ってきましたが、平成14年頃よりバリアフリーなど高齢化に配慮した住まいづくりが主流となり、現在ではユニバーサルといったどんな人にとっても暮らしやすい住まいづくりとなってきており、この白樺団地は先端を行く思想の基に作られています。






 今年の積雪は例年並みで、現在1.4mほどの積雪です。低い基礎高さなので心配しておりましたが、大きく迫り出した2階の庇によって1階の窓もまだ雪に埋もれていないようです。まだ建物の引渡しが終わっておらずに建設会社の管理下にあるので、建物周囲の除雪も行われているのでしょうけど、庇の効果はありそうな気がします。
 また、この建物は外断熱工法を採用しており、省エネ対応となっています。さらに、1階部分の外壁には道産の木材を使ったりと環境にも配慮されているようです。





 住戸内部もバリアフリーの床で室内に段差がありません。キッチンも車椅子対応にもなっていますし、寝室から直接ユーティリティに行くことができ、ドアの無いWCにいける住戸が4戸ありました。また、コンクリートの壁にも後から手すりを取り付けることができるように工夫が施されています。全体的にWCや脱衣室が広めにしてあり、ユニバーサルを目指している団地でした。ただ、車椅子やベットを使うことを前提としているそうで、タタミの部屋が無いのが寂しい気がします。

 2月から引越しが始まるようです。早く新団地に慣れ、快適な暮らしをしていただきたいものです。

住宅版エコポイント説明会

2010年01月18日 | すまい
 国土交通省による住宅版エコポイントの説明会が札幌教育文化会館で開催されました。



 会場は満員御礼で追加の説明会が28日に開催されるようです。無料だから満員なのではなく、期待が大きい制度だからだろうと思います。
今日から通常国会が開会されましたが、この「住宅版エコポイント制度」は、平成21年度第2次補正予算に組み込まれている制度で、国費1000億円の事業だそうです。家電や自動車のエコポイントの住宅版です。

 説明では、「エコ住宅の新築」と「エコリフォーム」の2本立てで、省エネ基準を満たす新築住宅やリフォーム工事が対象で最大30万エコポイント(30万円相当)が貰えるようです。
昨年の12月8日に閣議決定された「明日の安心と成長のための緊急経済対策」なので、新築は12月8日以降の着工で、リフォームは今年の1月1日以降の着手の物が対象で補正予算成立後に完成しないと対象にならないようです。3月いっぱいまでには成立するのでしょうけど、建築業者さんはこれを追い風として営業に頑張ることと思います。
ただ、家電などと違って個別施工となるので工事証明書や工事写真など、手続きが煩雑なので信頼のおける業者の方にお願いするのが賢明です。

 また、昨年の10月に始まった「住宅瑕疵担保履行法」に伴う「届出手続」の説明もありました。
新築住宅の瑕疵担保保険に加入した物件の報告を3月31日と9月30日に行わなければなりません。その1回目が2ヶ月後に迫って来ています。この制度が始まって最初の手続きなので、混乱がなければよいと思います。

 それにしても、様々な事務処理が増えてきています。

2010年 建築基準法講習会

2010年01月12日 | すまい
 社)北海道建築士会の主催の建築基準法講習会が開催されました。
今年で43回目となります。



 構造偽装事件対策から始まった建築基準法の改正や新制度が毎年のように行われ、講習会への参加者も多くなって来ています。きちんと情報を収集していかないと仕事に支障をきたします。もう建築士であるからといって日々研鑽していないとついていけません。不況で仕事も減りつつありますが、法律で決まったことは守らなければなりませんので常に勉強あるのみです。
 そんな建築基準法も改正により、確認申請の手続きに時間がかかるなど経済減速の原因にもなっていることから、民主党政権になり再度の改正があるかもしれません。昨年10月に国土交通省が建築団体にヒアリングを行ったりと本格化してきています。北海道建築士会の青年委員会でも建築基準法の検証を行ったりしてきました。
 講習では、新しい動きとして、既存建物の増築・改築時に既存部分を現在の建築基準法に合わせなくてはいけないのですが、増築の規模(面積)や既存との取り合いなどによる緩和規定の説明が行われました。しかし、昭和56年以前の建物にはまだハードルが高いようです。

長期優良住宅

2009年06月11日 | すまい
長期優良住宅に関する技術講習会に参加してきました。



 昨年の12月に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が公布されました。これまで、造って、古くなったらまた壊して、新しく造る「スクラップ アンド ビルド」であった日本の住宅システムを、良いものをメンテナンスをしながら長く使い、古くなったらリフォームして更に長く使っていこうというシステムに変えようということです。資源の有効活用やCO2削減など時代の要求や量より質の時代になってきた必然の流れなのでしょう。
 そんな「長期優良住宅」を造る設計事務所の養成のための講習会です。この講習会を受講することで、「長期優良住宅」を設計し、建て主に税の優遇処置を行い、住宅の長寿命化を進めようということです。
また、緊急経済活性化策のひとつでもある住宅ローン減税もあって、国として住宅の長寿命化に力が入っているようです。
ただ、どんな住宅でもいい訳ではなく、構造がしっかりして、耐震性が優れている住宅で、省エネルギー住宅で、維持管理がしやすく、時代の変化に即応できるような住宅であることが求められています。そのためには、しっかりした設計が必要で、そのため構造設計、省エネ設計、維持管理計画といった設計や施工の質が要求されます。
 「良いものを長く使う」昔からあった、極自然な暮らしが見直されているだけのことだと思います。
建築設計者にとってやりがいのある時代になってきたようです。

建築士定期講習

2009年04月15日 | すまい
 建築士定期講習に行ってきました。



 昨年の11月28日に施行になった改正建築士法で建築士事務所に所属する建築士に対して、3年毎の定期講習の受講が義務付けられました(建築士法第22条の2)。講習は、(財)建築技術教育普及センターが行い、春期は(社)北海道建築士事務所協会、秋期は(社)北海道建築士会が協力して行います。私は、両方の組織に所属していますが、今回は支部の事務局も引き受けていることもあって事務所協会の講習を受講しました。
 4月から6月に7会場で実施されますが、1回目の札幌会場には、約600名の建築士さんが受講され、5時間の講習と1時間の終了考査(テスト)を行いました。
講習内容は、平成19年6月施行の改正建築基準法と平成20年11月施行の改正建築士法の解説。建築に関係する特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律など各種法律の改正内容の解説。建築士の職業倫理や社会制度、最近の新技術や重要技術の解説などが主たる講義でした。講義終了後○×式のテストがありました。テストが不合格であれば、再度受講しなければいけないので、皆さん真剣に受講していたようです。テスト問題も数種類あったようで、ズルできないような仕組みであったようです。(姉歯事件以来、建築士の信用は丸潰れのようです)
 国家資格を持っている者に対する更新的な講習に対しては、医者や弁護士はどうなのといった議論はあるけれど、今回の事件を真摯に受け止め、法的な責任と職業倫理を持って、消費者に信頼され建築士としてならねばと思うところです。

住宅瑕疵担保履行法

2009年02月06日 | すまい
住宅瑕疵担保履行法の事業者説明会が開かれました。



 平成12年に住宅の品質確保の促進等に関する法律が施行され、新築住宅の雨漏りや構造に対する「10年間の瑕疵担保責任」が義務付けられましたが、平成17年におこった構造計算偽造事件で売主が倒産して消費者に対する責任を誰も取ることができないことになってしまったため、今年の10月1日以降に引渡しがある新築住宅に対して、売主や請負会社が倒産しても保障できるように、保険に入るか保証金を供託することが義務付けられました。
また、その保険加入や供託の状況も年に2回、知事に届出も義務付けられたので、ズルはできない仕組みです。
 保証金は、1戸当たり2000万円以上(戸数が増えると1戸当たりは安くなるようです)で法務局に預けないといけないので、資金力がないと無理です。殆どが、保険に加入することになるのでしょう。現在、5社の保険法人が国の指定を受けています。1戸当たり7万から9万円の保険金が掛かるようです。それぞれ、内容によって価格が決まるようです。
 また、保険に入ると、完成までに2回の現場検査があるので、性能も保証されたものになると思います。どんな建設業者も雨漏りをさせたいと思って建築するものはいないのですが、保険法人も簡単に保険金を払いたくはないので、第3者として見る事になると思います。
 消費者にとっては、安心して住宅を建てれるようになると思います。
 ただ、保険金の問題があります。住宅の保険なので、建て主が負担するのが自然だと思いますが、営業戦略として、保険金はサービスみたいな業者がいると思います。ここでも企業力の差が出てくるかもしれませんが、ハウスメーカーも大きな負債で倒産している時代です。建築士法の設計監理費の問題もあります。是非、健全な業界になってもらいたいと思います。

建築士法講習会

2009年01月20日 | すまい
 札幌で建築行政情報センター主催の建築士法講習会がありました。



 11月28日に施行になった改正建築士法の「業務報酬基準等の見直し」に関する説明会です。
建築士事務所の建築物の設計、工事監理、建築工事契約に関する事務又は建築工事の指導監督の業務に関して請求できる報酬について、その基準が国土交通省の告示第15号として1月7日に公布されました。
今までも建設省告示第1206号(昭和54年)として、業務報酬の基準が定められていたのですが、30年ぶりに改定されたことになります。
改正の主なものは、
①建築物の類型(パターン)が4類型から15類型に増えた。
②工事費から床面積による表示の変更。
③構造・設備等の専門分野も考慮された。
④人工を日から時間単位に変更。
⑤標準業務に付随する業務も考慮された。
などが大きなところです。
ただ、この告示はあくまでも基準が示されたのであって、この通りにしないと罰則があるというものではないので、どこまで浸透するのか疑問があるところです。
ビルやマンションといったある程度の建築物に対しては、設計料や工事監理料が掛かると考えていても、個人住宅などにも同じように設計料や工事監理料が掛かると思っている建て主さんは、どのぐらいいるのでしょうか。殆どが、サービスと思っているのではないでしょうか。設計施工を行っている工務店やハウスメーカーも設計料はサービスですといった営業をしているのではないでしょうか。
 本来、人の手や頭を使うものには、対価が必要です。安ければ良い、といった思想が一連の耐震偽装を生じさせた原因のひとつでもあるはずです。これまでの、法律改正は、そんな不正を起こさせないために改正されてきたのですから、正当な業務報酬が得ることができる建築設計業界になってもらいたいものです。

建築基準法講習会

2009年01月08日 | すまい
社)北海道建築士会主催の第42回建築基準法講習会が開催されました。



 ここ数年、建築基準法などの改正が頻繁に行われているので、講習会の参加者が結構多くおります。特に、昨年の11月28日に改正建築士法が施行になったので、新しい動きを勉強しようと多くの建築士が参加しておりました。
 マンションなどの耐震偽装事件がおこり、その対策としての法律改正が一応完了したことになります。この度の建築士法の改正は、建築士はほっておくと悪いことをするという性悪説に基づいて行われているようで、建築士の資質や能力の向上・建築士事務所の業務の適正化などで建築士を規制し、消費者(建て主)の信頼を得ようということだと思います。どの世界にも、悪いことを考えたりする者が必ずいるので、彼ら中心の決まりで物事を解決しようというのはちょっと筋が違うと思うのですが、これも世間を騒がせた結果、規制緩和の流れが止められ規制強化にかわってしまったようです。

 建築士の資質や能力の向上として、建築士事務所に所属している建築士に対して3年毎の定期講習が義務付けられました。自動車の免許更新講習と同じ仕組みでしょうか。日々、研修することが必要ですが、法律で定めないとできないとは、情けないですね。これも性悪説の所以でしょうか。建築士会では、日々の自主的能力向上としてCPD事業を展開しておりますので、建築士会会員は、CPDを行っていれば定期講習は免除してもいいようにも思えるのですが。
ただ、設計や監理業務を行っていない施工中心の業務を行っている施工会社に所属している建築士には、定期講習の義務はないようです。これは、建築士の受験資格の見直しで設計・工事監理の実務に狭められた主旨に沿っているようです。
 また、建築士に高度の専門知識を有する新たな資格が創設されました。構造設計一級建築士と設備設計一級建築士です。医師に外科や内科と専門に分かれて治療をしていますが、建築の世界も同じで、専門ごとに分担して建築物が作られています。でも、医師は医師免許でしかないはずなので、分ける必要もないと思うのですが、構造や設備の設計者にとっては、地位向上につながったと思います。
 建築士事務所の適正化については、専属の管理建築士の要件が強化されました。管理建築士になるには、3年間の実務経験と管理建築士講習の受講が必要になりました。今までは、建築士の資格を獲得すると、経験がなくとも建築士事務所を開設できましたが、これからは、経験や実績が必要となります。当然だと思います。その代わり、管理建築士の義務や責任も重くなってきます。
 建て主に対して、管理建築士による「重要事項の説明」が義務付けられました。契約を交わす前に、担当する建築士や作成する設計図書の種類、工事監理の内容、設計料などを事前に説明することになりました。土地や建物の売買のときに、不動産屋さんが行っていることと同じです。設計業務のトラブル防止が主目的ですが、設計や監理にもお金が掛かるということを理解してもらうには、必要なことかもしれません。よく、設計施工の建設会社の見積もりには、設計監理に関しては、諸経費の中に含まらされており、あたかも設計監理はサービスかのような印象を与えていたようです。建築士事務所にとっては、当然のことかもしれません。

 このような内容の建築士法の改正を確認することができました。この改正が、今後どのような影響を与えるのか、良い方向になるといいのですが・・・。