北の杜

ニセコ・羊蹄山麓に暮らす一級建築士の奮闘記

ベランダでお茶

2005年11月11日 | カラマツ住宅
 バルコニー、ベランダ、テラス、ウッドデッキなどいろいろな呼び方がありますが、ちゃんと区別されているようです。
「バルコニー」は、2階以上の階で床から張り出した、手すりに囲まれた屋外のスペース。
また、バルコニーに庇の付いたのが「ベランダ」。
「テラス」は、居間や食堂から直接出入りができ(1階という意味か)、レンガ・敷石などで敷き詰められた戸外の床面。柵や屋根がないのが一般的。
そして、床材が木製のものを「ウッドデッキ」と呼びます。
いずれも住まいと外(庭)との中間的な場所で、ゆとりのある暮らしを演出するスペースといえます。

北国では、庇(屋根)のあるベランダが冬でも使えるので便利です。
雪景色を見ながらホットワインを飲む、などなど冬の暮らしにもバリエーションが増えます。
テラスなんかもいいのですが、雪の多いニセコ周辺では除雪しないとダメです。
1年のうち4ヶ月以上も雪の中で暮らすのですから、外でも楽しむ暮らしをしたいものです。



ベランダの手すりの高さは、1.1m以上という決まり(建築基準法)がありますが、手すりにはいろいろなデザインがあります。
M邸では、タル木を縦格子状にしてみました。
外からは見えづらいのですが、ベランダ側からは透けて見えます。
日本家屋には良く使われているデザインです。



また、K邸では丸見えのポリカーボネード板を一部使っています。
奥様のバルコニーから庭が良く見えるようにという要望に応えたものです。
まだまだいろんなデザインがあります。気にして見ると面白いものです。

床それとも天井

2005年11月08日 | カラマツ住宅
 床なのか天井なのか?
 2階の床材には、35mmのトドマツの床三層パネルを直接張っています。
ですから通常の根太という床下地材や構造用合板を省略しています。
根太がないので直接横架材(梁)に釘打ちとなるので、床の剛性がUPして構造的に粘り強い建物になります。
 また、床の下に天井を作らないで床三層パネルの裏面を仕上げとしています。
ですから通常の天井も省略しています。
よって床と天井を兼ねることによりローコストになっています。
さらに天井がないので部屋の高さが30cmほど高くなり、広い空間になります。
また、カラマツの梁が力強く見えませんか。

でも良い事ばかりではありません、施工者はちょっと大変なのです。
取り付けた床三層パネルが即仕上げ材ですから、傷を付けないように養生をしたりと気を使わなければなりません。
更に照明器具などの配線をどの様にするか悩むところです。
天井がないので配線が丸見えになってしまいます。
そこで露出配線などでよく使うモールをカラマツに溝を付けて取り付けてみました。
黒い円筒状のダウンシーリングが2ヶ所取り付けているところがそうです。
また、2階のコンセントの配線も上の天井から配線となるので、気をつけないといけませんね。
まあ、これらは施工サイドの問題で、オーナーさんのデメリットではないです。
ただ、2階の音が良く聞こえるといったことがあります。
M邸ではリビングに吹抜けがあり、2階と一体の空間になっているので音の問題は承知のことでした。

設計者はデザインばかりではなく電気・設備といったトータルなディテールを考えなければなりません。

階段

2005年11月02日 | カラマツ住宅
住宅の階段は、「けあげ(段の高さ)」が23cm以下と決められています。
また、平成12年の建築基準法の改正で「階段に手すりを設ける」ことが義務付けられました。

M邸では、「けあげ」が17.6cmで16段で上がりきります。
オーナーさんの希望でなるべく緩い階段にしています。
手すりは片側だけですが、オーナーさんに使い心地を実験してみて、高さを決めています。
手すりの高さに決まりはなく、使い人に合わせた高さにするべきです。
また、今回の階段に側板はなく、積み木を組み合わせたような感じで造っています。
物入の上を階段に利用しているといった方が良いです。
結構な収納スペースとなっています。
階段の位置もリビングにありますが、階段らしくない階段にしたつもりです。

ベンチ

2005年11月01日 | カラマツ住宅
玄関に付けたベンチです。
ちょっと腰掛けて靴を履いたり、脱いだりします。
手すり柱に手を掛けて立ち上がります。
ベンチに座らなくても、手すり柱に摑まるだけでも便利です。

壁の羽目板は、ベンチの背もたれです。
珪藻土塗り壁に背中を擦らないように、
他の部屋の仕上げ材の半端(余り)材を使いました。

玄関の床材は、カラマツの柱の輪切りを敷き詰めています。
今回は規格品の木ブロック(ホンモクブロック:カラマツのさとう)を
使いましたが、柱材の半端材でも作れそうです。
多少長持ちしなくても、簡単に取りかえれるなら
ハンドメイドの方が愛着があっていいかもしれません。

ポスト

2005年10月31日 | カラマツ住宅
だんだん寒い日が多くなってきました。
今朝はニセコの山にも雪が見えました。

既製品の郵便箱(ポスト)になかなか良い物が見つかりません。
そこで、外壁の羽目板の半端材(余り物)でポストを作ってもらいました。
取手は、階段手すりの丸棒を2cm切って使っています。
丁番やラッチもホームセンターで売っている安物を使っていますが、
まあ、そこそこに見えます。
昔はこんな牛乳受けがありました。
玄関ドアにポスト口を付けると外に出ないで郵便物を取り出せて便利ですが、
断熱や気密性能を保つのが難しいです。
朝、外の空気を吸いながら新聞を取るのもいいんじゃないですか。

ポーチの床

2005年10月30日 | カラマツ住宅
M邸では、玄関にいたるポーチを板張りにしました。
冬には、雪が積もったり滑りやすいところです。
タイル貼りだと吹き込んだ雪などが取りづらく、
どうしても滑りやすくなってしまいます。
なかなか雪国に合ったタイルがありません。
ヒーティングすればよいのですが、余り機械や設備に
頼らずに自然に暮らしたいので、板張りとしてみました。
雪除けにスコップで突いて多少傷が付いても、
コンクリートの床にボルトで取り付けているので、
傷んできたら取替えるのも簡単です。


クマゲラのご挨拶2

2005年10月29日 | カラマツ住宅
M邸に続きK庵にもクマゲラがやってきました。
今年の1月、最初に訪れたのはK庵でしたから、戻ってきたというのが正解なのかもしれません。(同じクマゲラとしたらだけど)
春からしばらく来なかったものだから、7枚ほど張り替えたのだけど、
今回は断熱材まで突いています。
また、忍耐の日が続きそうです。

周りにたくさん木があるのに、どうしてなんでしょうか?

オール電化

2005年10月28日 | カラマツ住宅
小樽でオール電化セミナーに参加してきました。
いろいろな講演会に参加するのもいいものです。
新たな知識を得たり、自分のやっていることの裏付けを得たり出来ます。

実はM邸もオール電化住宅なのです。
お湯は電気温水器、台所のコンロはIHクッキングヒーター、暖房は電気暖房による床暖房なのです。
温水器やIHなどは比較的採用されやすいのですが、暖房もとなると二の足を踏む方が多いです。
しかし、オール電化にすることによってメリットが倍増します。
電気の契約がグンと優遇されて安い電気代となります。
クリーン、安全、安心はもう定番のメリットですが、その副産物として、火災保険の保険料が安く(AIUで20%OFF)なったり、住宅ローンの金利が優遇されています。



今回、電気ボイラーにしたのは、床暖房の床パネルに低温水式暖房の「うららⅡ」(富士環境システム http://www.fek.jp/)を採用していたのも理由のひとつです。
「うららⅡ」は、管径が太い銅管に熱伝導効率が高い銅パネルを使っているので、ボイラーの温水温度が40℃程度で十分なのです。
電気も余り使わなくてもよく、ボイラーの設置場所を選ばないというのもいいですね。

また、オール電化の最近の売りは、災害に強いことだそうです。
地震等の被害を受けた後、復旧が一番早いのが電気だそうです。ガスや水道は2週間ほど掛かるそうです。
そして、温水器のタンクは、360Lとか470Lの水を貯めているので、2・3日はしのげるそうです。
オール電化には、思わぬメリットがあったんですね。
最近は灯油の値段が倍ぐらいに値上げされてきています。益々、オール電化が普及しそうですね。
北海道ではもう7万戸もオール電化住宅なんだそうです。


2005年10月27日 | カラマツ住宅

建築家 清家清氏によると「窓」は「間のあるところつけた戸」で、
「window」は「風が通るところの戸」であり、日本的な意味合いが
違うそうです。(林昌二氏談)
窓は、風が通るだけではなく間合いといった奥ゆかしさがありそうです。

M邸の「窓」は、木製断熱サッシュ(オリンピアウインドウ)です。
しかも、地元の積丹で採れたカラマツで作っています。
メーカーも小樽の株)新宮商行ですから地ものと言えます。
つまり、地元で採れた材料を地元の会社で作り、地元の人が買う「地材地消」です。
受注生産ですから寸法や塗装もオーダーで今回は赤色(マホガニー)にしてみました。
外壁もカラマツの羽目板ですから、上手くマッチしていると思います。



この窓は、浴室の窓です。
窓が額縁となっり、キャンバスに白樺の木立が映って見えます。
まさに、森林浴です。

ペレットストーブ

2005年10月26日 | カラマツ住宅
今日は昨日とうって変って暖かな日に戻りました。
でも、冬支度は着々としなければなりません。

M邸で、ペレットストーブの試験炊きをしてきました。
主暖房は、電気の床暖房なのですが、春や今時期の一寸暖が欲しい時や
炎を見ながら団欒といった時のためのストーブです。
オーナーは、当初「薪ストーブ」がほしいといっていたのですが、
煙突の設置や薪の用意、メンテナンスを考えてペレットストーブにしました。

ペレットストーブは、木質ペレットを燃料とするFFストーブです。
室内の空気を汚しませんし、大げさな煙突もいりません。
燃焼温度が高いのでCO2も大幅にカットでき、灰も少量です。
灰は肥料に利用できるそうです。
もっとも重要なことは、燃料のペレットが環境に優しいということです。
木屑や樹皮やおが屑など捨ててしまう物を木質ペレットに加工しているのです。
元々吸収しているCO2を燃やしてCO2になりますが、プラスマイナス0です。
そして、林業関係者にお金が回るので、森林の育成に繋がっていきます。

ペレットストーブの横に座り、雪景色を見ながら冷たいビールを飲むなんて良いですね。