私的美遊空間

美しく愛しいものたちへのつぶやき

微笑みの仏様

2014年05月31日 | 神社仏閣・仏像

              これは、我家の木仏様である。
             40年前、京都東山のあるギャラリーの片隅で微笑んでおられた。
             その柔和なお顔に出会い、私の心がふんわりとしたのを覚えている。

             仏教の言葉で言う「顔施(がんせ)」そのもののお姿であろう。
             難しい経文は分からなくても、この笑顔に出会えば心が軽くなり、
             辛いことや苦しいことなどが和らいでゆく。
             温かな微笑みが、どんな薬よりもよく効き、有難いことか、、、

          微笑みの仏像と言えば、江戸時代前期の行脚僧円空上人の「円空仏」が有名だが、
          我家の木仏様はその写しである。
          円空仏の特徴は、簡素なデザイン、ゴツゴツした彫面、そして不可思議な
          微笑みをたたえているところにある。

          円空上人は生涯で12万体の仏像を彫りあげたと言われている。
          北は北海道から南は三重まで、行く先々で人々の悩みを聞き、救済の願いを
          込めて仏像を彫ったという。

          我家の木仏様は、そのうち飛騨高山の千光寺にある「三十一体観音」の
          お姿を写したもののようである。丸太を四つ割りにして四体を刻んだ
          「なたばつり」の素朴な仏様であり、穏やかなお顔が円空仏の特徴をよく
          表している代表作ということだ。

          *なたばつり(なたで荒削りにすること)

          そうして庶民に与えられた微笑みの仏像は、荒削りな仏像にもかかわらず、
          その多くが捨てられることなく受け継がれているとのことである。
          円空上人の慈悲の心は、時を超えて人々に伝えられているのであろう。

                      
                                  
                                           

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