この木鉢は40年以上前に
実家に帰省した折、ギャラリーで購入したもの。
降り積もった雪をスコップで一気にかいたような
力強い掘り面に一目ぼれした。


輪切りにした木を丸々使っていて、
縁からためらいなく刃を入れているのが大胆で潔い。
刃を底に向かって進めていくのに、
わざわざ途中で手を止めて
波のような模様を生み出しているのも
良い景色になっている。

側面にも深く力強い掘りがあり、
全体に線彫りも施されていて
バランスが取られている。

底には浅い掘りがランダムに施されている。
しかも、
深さは浅くとも、やはりタッチは力強い。
40年以上も前に一目ぼれしたこの木皿は、
今見ても惚れ惚れするのである。

濃い色付は、盛るものを引き立てて、
木鉢自身も引き立っている。
ミカンが余計に美味しそうに見えるのは
惚れた弱みか、
持ち主の贔屓目かも知れない。
* * *
雨降りの一日
お気に入り木鉢を眺めながら
つらつらと来し方を思い出していました。
たまには、こんな一日の過ごし方もいいものです。